まとめ:斎藤ハルコ/写真:井上 演
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2025年3月号に掲載したものを一部編集して公開しています。
桐島ローランド×佐々木優太 開運ツーリングトーク

「僕はいちど『やる』と決めたことは絶対にやりとげるんですよ」(桐島ローランド)
「ローリーさんの行動力と実現する力には圧倒されてしまいます」(佐々木優太)
「幸福」を意味するカフェは葉山での出会いから生まれた
佐々木優太(以下、佐々木) ローリーさんが手掛ける「フェリシティ・カフェ」、素敵なお店ですねぇ!
桐島ローランド(以下、桐島) 地元の方達や女性も入りやすいカフェにしたかったんです。実際、一人でゆったりコーヒーを飲みに来る女性も多いですよ。
佐々木 お店の前にバイクを停められるし、クルマの駐車場も充実してますね。
桐島 葉山は都心から約1時間だし、海沿いはそんな寒くないので、冬でも走りたいときにちょうどいいんですよ。
佐々木 ローリーさんは前から「カフェをやりたい」と考えていたんですか?
桐島 いつか、やってみたいなとは思ってたかな。葉山に引っ越して、この建物と出会えたから、今ならやれると思えた。
佐々木 この建物はもともと、閉店したカスタムショップ「幸福商會」の店舗をフルリノベーションしたんですよね?
桐島 そうです。ヴィンテージトライアンフの伝説のカスタムショップの店舗跡を引き継いだので、幸福商會のスピリットも継承したくて、店名を「幸福」を意味するフェリシティにしたんですよ。
佐々木 店内に置いてあるバイクは、ローリーさんの愛車ですか?
桐島 1階のトライアンフTR6は僕のですね。もともと幸福商會さんが作った最後のバイクで、それを鎌倉にあるビルダー「RE&Works」さんに、フェリシティ・カフェの1stバイクとして作り直してもらいました。2階に展示している古いモトグッツィは「46Works」のバイク。今後は、カスタムビルダーさん達に、うちのカフェを展示スペースに使ってもらうのも面白いかな、なんて考えてます。

佐々木 そういえば、ローリーさんとバイクの付き合いは何年になるんですか?
桐島 僕たちの世代は、16歳になったら全員バイクに乗るものだったんですよ(笑)。だから今年でバイクに乗って40年ですね。でも一時期離れてて、リターンしたのが30歳の頃。それも「絶対またバイクに乗る!」とか意気込んでたわけじゃく、たまたま。自分のルーツを巡る旅がしたくて、母方のルーツである四国の高知に行こうとしたら、ちょうどお盆の時期だったんです。クルマで渋滞はダルいし、久々にバイクに乗ってみようと思い立って。発売されたばかりのトライアンフの新車を買って、納車の日にそのまま高知に旅立ちました。僕は城マニアでもあるので、四国ではバイクで城巡りをしたら楽しくてね。その後、城巡りを目的にバイクで全都道府県を回りました。
佐々木 すさまじい行動力ですね……。
桐島 僕、行動力と頭がおかしいんですよね(笑)。このカフェもそうだけど、やると決めたら絶対やるんですよ。決めたら悩まないし、人の意見も聞かない。
佐々木 パリダカに挑戦したのも、そんな感じの勢いだったんですか?
桐島 30歳でリターンして、高知を走った後に、今度はドゥカティのムルティストラーダを買ったんですね。でもスキル不足で上手く乗れなくて、サーキット走行会に行くようになって。でもだんだん腕が上がってくると、今度はテールが滑るようになってきちゃった。僕はとにかくハイサイドが恐怖で、なんとかスライドコントロールができるようにしようとオフロードでの練習を始めたんです。でもオフロードのコースって、結構ハードコアでしょ? そこをぐるぐる周回するのがどうも好きになれなかったんです。そんな時、雑誌でモンゴルラリーの広告を見かけて、「ラリーレイドに出てみたら楽しいかも」っていきなり出ちゃったんですよ。ラリーだったら、ツーリング感覚で誰でも出られるじゃないですか。
佐々木 いやいや、ツーリングじゃないです! それにしても、全部にちゃんと理由はあるけど、物事が進んでいくスビード感がやっぱりすごいですね(笑)。
桐島 ほら、やれる時ってやろうと思ったタイミングしかないから。ダカールだって、今やろうとしても体力的に無理。あの時に挑戦しておいて良かったと思います。しかも本当は2007年じゃなくて、2008年の出場を考えていたんです。ちゃんと準備してから出ようって。でも〝ダカールの鉄人〟菅原義正さんに「お前じゃどうせ完走できないし、準備もクソもないから、とにかくエントリーしなさい。出ることがいちばんの練習になるから」って言われたんです。その言葉通りに挑戦してみたら、運良く完走できた。そのうえ2008年のダカールは、現地の治安悪化で開幕前日にキャンセルですからね。僕はすごくラッキーでしたし、菅原さんには感謝してます。
佐々木 すごい話です。バイクでのチャレンジはもうやりきった感じですか?
桐島 もう引退モードで、あとはゆるく走れれば。命がけはもういいや。楽しく走って、最後はイタリアのシチリア辺りをベスパでツーリングしたいですね。
佐々木 引退モードすら格好いい(笑)。

桐島 でも今はその前にカフェですね。始めるときに「飲食は儲からないよ」って周りに言われたけど、本当に儲からなくて(笑)。店に来てくれる人達が喜んでくれるので、それだけが嬉しいです。ただ、せめて赤字にはならないようにしたいかな。今後は、整備もできるレンタルガレージも兼ねた人数限定のメンバーシッププログラム「フェリシティ・ライダーズクラブ」を本格的に始動していく予定ですし、クラブと連動して、ライダー用アパレルも本格的に展開予定です。
佐々木 僕は今日、葉山がこんなにツーリングにいい場所なんだと知って驚きました。また走りに来たいですし、その時はまたカフェに寄らせてください。
桐島 ぜひ、また来てください! そうだ、2階は貸切もできるので、神社のトークイベントとかもやってくださいよ。
佐々木 本当ですか!? やりたいです!
今回の食事処はこちら

Felicity Cafe
神奈川県三浦郡葉山町上山口2432-3
店名の「Felicity」は“幸福”を意味する英語。「いっぱいの幸せ」をテーマにしたカフェでは、厳選した豆を使ったハンドドリップ式コーヒー、イタリア製高級エスプレッソマシンによるアレンジコーヒーなど、こだわりのドリンクが楽しめます。ローリーさん秘伝のレシピによるグルテンフリーのワッフルメニューも絶品! アパレルやカフェグッズ、オリジナルコーヒーの販売もしています。


まとめ:斎藤ハルコ/写真:井上 演
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2025年3月号に掲載したものを一部編集して公開しています。