2月22日、2025年スーパーバイク世界選手権の開幕戦がオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで行われた。特異なサーキットでもある同地では、昨年各メーカーが鎬を削り見応えのあるレースを展開。しかし、今年の開幕戦は王者奪還を狙うドゥカティ勢の圧勝劇となった。

ブレガがレース1を制し昨年の再現

サーキットの路面温度の高さに加え、グリップ力の高いフィリップアイランド。この特性を考慮し、今大会ではピットインとタイヤ交換が義務付けられている。

また、フィリップアイランドで行われた事前テストで転倒し、左足を骨折してしまったジョナサン・レイ(PATA YAMAHA)、そして、スーパーポールで転倒し、こちらも左足を骨折してしまったイケル・レクオーナ(HONDA HRC)が欠場することになった。

グリッドを決めるスーパーポールでは昨年ここでデビューウィンを飾ったニッコロ・ブレガ(Aruba.it Racing – Ducati)がポールポジションを獲得。2番グリッドにトプラク・ラズガットリオグル(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)、3番グリッドにはアンドレア・イアンノーネ(TEAM PATA GO ELEVEN)がつけた。ラズガットリオグルを除く上位6台は全てドゥカティユーザーとポテンシャルの高さを見せつける結果となった。

画像: 序盤から独走するブレガ。

序盤から独走するブレガ。

気温36度、路面温度40度のドライコンディションの中、今季初のレース1がスタート。ポールポジションスタートのブレガがトップをキープする中、イアンノーネとアルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing – Ducati)がスタートを決め、それぞれ2位と3位にポジションアップする。

4位に後退したラズガットリオグルは、続くターン4で3位に浮上。持ち前のブレーキングで勝負を仕掛けていく。

2周目も同じようにラズガットリオグルとバウティスタのバトルが繰り広げられる中、イアンノーネはターン3でラインを外し後退。一方、トップのブレガは3周目に入る頃には2位のラズガットリオグルに3秒近いマージンを築いていた。

4周目に入るとドゥカティ勢の表彰台争いが展開される。スコット・レディング(MGM BONOVO RACING)が3位に浮上し、バウティスタが4位、5位にはダニーロ・ペトルッチ(BARNI SPARK RACING TEAM)がつける。

6周目、ラズガットリオグルがターン1の侵入でラインを外してしまうミスを犯し、バウティスタ、レディング、ペトルッチが先行。パワーと空力性能が求められるこのサーキットにおいて、ドゥカティ勢に先行を許してしまったラズガットリオグルは苦しい状況に。

レースの折り返し時点となる10周目、ブレガをはじめとする上位勢がピットイン。見た目の順位はラズガットリオグル、レディング、アンドレア・ロカテッリ(PATA YAMAHA)、アクセル・バッサーニ(BIMOTA BY KAWASAKI RACING TEAM)、アレックス・ロウズ(BIMOTA BY KAWASAKI RACING TEAM)のトップ5となった。

翌周になるとステイアウト組もピットに入り、12周目には全車ピット義務を消化した。ピットアウト後の順位はブレガ、ラズガットリオグル、バウティスタ、レディング、ペトルッチ、イアンノーネ、ロカテッリ、バッサーニ、アレックス・ロウズ、シャビ・ビエルヘ(HONDA HRC)というオーダーになった。

後半戦は落ち着いた展開になるも、残り3周のターン1でペトルッチがレディングを抜き4位に浮上。その後順位の変動はなく、ブレガがポールトゥウィンを達成した。開幕前の怪我に加え、コンセッションパーツが使えなくなるなど厳しい状況だったラズガットリオグルが2位を獲得、3位にはバウティスタが入った。

以下、ペトルッチ、レディング、イアンノーネとドゥカティ勢が続き、7位にロカテッリ、8位と9位にはアレックス・ロウズとバッサーニが入り、ビモータは初戦から2台揃ってシングルフィニッシュを達成した。

また、HONDA HRCから参戦した長島哲太は14位でポイント獲得を果たしている。

2025 スーパーバイク世界選手権 開幕戦 レース1 結果

画像: ブレガは昨年に続き開幕戦レース1で優勝を達成した。

ブレガは昨年に続き開幕戦レース1で優勝を達成した。

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好調ブレガがハットトリック達成

日曜日も天候に恵まれたフィリップアイランド。午前中に行われたスーパーポール・レースではブレガが連勝しイアンノーネが2位、3位にはペトルッチが入った。

レース1で表彰台を獲得したラズガットリオグルとバウティスタはオープニングラップのターン4で接触し大きく順位を落とした影響もあり、ラズガットリオグルは13位、バウティスタは19位と出遅れてしまった。

気温22度、路面温度36度の中、最終レース2がスタート。ブレガがホールショットを奪い、イアンノーネ、レディング、ペトルッチとドゥカティ勢が上位を占める。

画像: ホールショットを奪い快調に飛ばすブレガ。

ホールショットを奪い快調に飛ばすブレガ。

スーパーポール・レースで19位に落ちてしまったバウティスタだったが、いきなり8位までポジションアップし、9位のラズガットリオグルに先行。両者ともさらにポジションをあげ、バウティスタに関しては6周目で早くも3位に浮上した。

周回数の半分を消化すると各車タイヤ交換のためピットイン。レース後半戦はブレガ、イアンノーネ、レディング、バウティスタ、サム・ロウズのトップ5の順で突入した。バウティスタがすぐに3位を奪い返す中、なんとラズガットリオグルにトラブル発生。やりきれない想いのラズガットリオグルはスクリーンをたたき割ってピットインし、無念のリタイアに終わってしまった。

そんなラズガットリオグルをよそにドゥカティワークスは絶好調。トップのブレガは後続を突き放し独走し、バウティスタもイアンノーネをパスし2位に浮上した。

残り4周、地元のレミー・ガードナー(GYTR GRT YAMAHA WORLDSBK TEAM)がターン1でクラッシュを喫するも、その後大きな動きはなくレースフィニッシュ。ブレガが優勝し、いきなりハットトリックを達成し、これ以上ないシーズンスタートを切った。

画像: 得意のサーキットで誰も寄せ付けない走りを見せらブレガは最高のスタートを切った。

得意のサーキットで誰も寄せ付けない走りを見せらブレガは最高のスタートを切った。

バウティスタはスーパーポール・レースでのミスをリカバーし19位から2位でフィニッシュ。3位にはイアンノーネが入り、連続で表彰台を獲得した。

ドゥカティ圧勝に終わり、ディフェンディングチャンピオンが苦しんだ開幕戦。BMWは前年チャンピオン獲得により優遇措置を外され、前年までのシャシーを使用できなくなった上に、ラズガットリオグルの怪我も完治していない。

一方、ドゥカティはワークスのみならず、サテライトチームも上位を独占する圧倒的な強さを見せつけた。これは今年から性能調整をレブリミット規制から燃料流量制限に変更したことが大きな要因だろう。

開幕戦時点で各メーカー一律47.0kg/hに設定されているが、この性能調整の変更により、最もエンジンが回るドゥカティのレブリミット制限が外れたため、他メーカーが置き去りにされる事態となった。

また、ブレガはフィリップアイランドを得意としており、ラズガットリオグルは苦手としていることもあり、この先開幕戦のような結果に終わるとも思えない。しかし、ドゥカティが頭2つから3つは抜けているといって過言ではないだろう。

次戦は3月28日から30日にかけて行われるポルトガルラウンド。ここはジェットコースターのようなアップダウンと激しいブレーキングが求められるためラズガットリオグルにとっては得意なサーキット。

しかし、ヤマハ時代ではあるが、最終コーナーからホームストレートにかけての全開区間でドゥカティにあっさり抜かれるという苦い経験もした同地。ラズガットリオグルはドゥカティ相手に一矢報いることができるのだろうか。

レポート:河村大志

2025 スーパーバイク世界選手権 開幕戦 スーパーポール・レース 結果

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2025 スーパーバイク世界選手権 開幕戦 レース2 結果

画像: 3戦中2戦でポディウムを独占してみせたドゥカティ陣営。

3戦中2戦でポディウムを独占してみせたドゥカティ陣営。

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