文:大冨 涼/写真:石神邦比古
ホンダの本気が子どもの夢になる! “ホンダコライドン”がお披露目

トヨタ社“ミライドン”の次はホンダ製“コライドン”! 子どもに夢を与える二輪モビリティが誕生
子どもから大人まで、幅広い世代に愛されているゲーム『ポケットモンスター』(通称:ポケモン)。1996年にシリーズ初代の『ポケットモンスター 赤・緑』が発売され、以来アニメやグッズなど、幅広く展開されている。日本に留まらず、海外での人気も高い。
今回ホンダは、株式会社ポケモンとコラボレーションし、2022年に発売された同ゲームの9作目『ポケットモンスター スカーレット』に登場する“伝説のポケモン”「コライドン」の姿をしたモビリティを開発した。
同社の技術を取り入れた「ホンダコライドン」は、2025年3月7日から9日までの期間限定で、Hondaウエルカムプラザ青山にて展示される。

ホンダコライドン

ホンダコライドン
この「コライドン」は、作中において主人公を背中に乗せると“しっそうけいたい”に変化し、冒険中の移動を手助けしてくれる。
現実でもゲーム世界のようにコライドンに乗って自由自在に移動できたら……という想いを発端とし、今回のプロジェクトが計画された。

「ホンダコライドンプロジェクト」推進責任者の坂本順一さん。
ホンダといえばレーシングマシンなどで用いられる赤・青・白のトリコロールカラーが象徴的。「コライドン」のカラーに親和性を感じたことや、トヨタ社の「ミライドンプロジェクト」などもプロジェクト発足に至った経緯のひとつだと責任者の坂本順一さんは語った。

〈参考〉2024年3月に「トヨタミライドンプロジェクト」で発表された「TOYOTA Engineering Society MIRAIDON」。
“子どもをターゲットとした新しいモビリティ”である「ホンダコライドン」のプロジェクトは、同社の二輪・パワープロダクツ事業と先進技術研究所から社内公募で集まったメンバーで始動した。
開発責任者の萩原和也さんは、プロジェクト発足の前段階で、夜な夜な『ポケットモンスター スカーレット』をやり込んだという。
「子どもや奥さんに、『お父さん、いつまでゲームしているの?』って何度もいわれちゃったんです。プロジェクトのことは言えないので、ポケモンが大好きなんだよ、って言って何とか追求を逃れていました……(笑)」

「ホンダコライドン」開発責任者の萩原和也さん。
40名のプロジェクトメンバーによって製作がはじまった「ホンダコライドン」は、バイクの形に近い“しっそうけいたい”をモチーフに、約8カ月の期間を経て制作し、今回の形に至った。
製作チームのスタッフは全員がポケモンのファンであることから、「作るからには実際にキャラに限りなく近いモノを……」と、熱い想いを持って打ち込んだそうだ。
作中のコライドンとほぼ同じサイズ・重さでつくられ、各部のディテールはすべて技術者の手作業によって整えられた。ゲーム内で移動時になびいてゆく触覚部分は、再現度を上げるために柔らかなウレタン素材を採用。実物を目の前にしても、まるでゲームの世界から飛び出してきたかのようなクオリティの高さに驚かされた。

「ホンダコライドン」は、実際に背中に人を乗せ、時速10km/hほどで走行することを目標に製作が進められている。
キーポイントとなるのは、モビリティそのものの自立性と、生き物らしさを演出する手足や首、顔の動きだが、この点に関してもしっかり開発。
バイクのバランス制御技術である「ホンダライディングアシスト」で本体の自立性を図り、各部の動きは、ヒューマノイドロボット「ASIMO」の技術が投入されるそうだ。

ライディングアシスト搭載デモ車

ASIMO
最後に坂本さんは、「1日でも早く皆様にお見せできるよう、チーム一丸となって進めていきます」と力強く語った後、2025年夏頃を目途に「ホンダコライドン」を完成させたいと述べていた。

“生き物らしさ”を出すため、クチバシ部分の鱗のような模様はすべて技術者が手作業でつけたもの。瞳もホンモノのようなきらめきだ。

タイヤの様に見えるのは浮袋。「ホンダコライドン」では、この中にミニサイズの車輪が隠されている。顔周りと同様、細やかなディテールは技術者の手作業によるもの。

タイヤの様に見えるのは浮袋。「ホンダコライドン」では、この中にミニサイズの車輪が隠されている。顔周りと同様、細やかなディテールは技術者の手作業によるもの。

開発メンバーの方々。プロジェクトのロゴが入ったおそろいのウエアで発表会を見守った。
【公式】「ホンダコライドン」初公開 !-YouTube
文:大冨 涼/写真:石神邦比古