文:西野鉄兵/写真:井上 演
いま注目すべきバイク用アパレルブランドの「BMC」

2024年に2りんかんでジーンズ販売本数No.1に輝き、2025年は新製品ラッシュ
2020年にバイク用品の展開を開始したBMC(ブルー・モンスター・クロージング)は、ベテランライダーにはまだ馴染みの薄いブランドかもしれない。もしあなたがまだBMCのことをご存じなければ、ぜひこの機会に知ってほしい。
BMCというブランド自体は今年10周年を迎えた。代表のローリー青野氏は大学卒業後、大手アパレルメーカーのエドウインでデニム製品を中心とした企画・開発に従事。その後独立し、株式会社ブリッツワークスを創設、自社ブランドBMCを立ち上げた。創立当初は一般アパレル製品を展開していたが、ワークウエアを手掛けた後に、バイクウエア業界にも参入する。それが2020年のことだ。

▲BMC最初の定番製品「街を歩けるライダーデニム」。
アパレル業界を20年以上歩んできた青野氏が打ち出すBMCのバイク用ジーンズやウエアは、ファッション性の高さが特出している。たちまち知る人ぞ知るライダーズアパレルブランドとなった。2021、2022、2023年と順調に売上を伸ばし、知名度もアップ。そして2024年には、日本最大のバイク用品店チェーンである2りんかんで、ジーンズの販売本数ナンバーワンのブランドにまで急成長した。

▲現在2りんかん全店で販売中のBMC「シン・ライダーデニム」。
2025年2月20日には通年モデルの新ジーンズ「シン・ライダーデニム」が2りんかん全店で発売された。初期ロットをこれまでより多く作ったのにも関わらず、早くもサイズによっては手が入りにくくなるほど、売れ行きは好調だという。
売れている理由として、青野氏のセンスのよさや、ファッション性と機能性を掛け合わせるバランス感覚のよさが上げられるだろう。ただ青野氏は「YouTubeの視聴者のみなさまからの声が大きいんですよ」と話した。

▲BMC代表のローリー青野氏。
1978年愛媛県西条市生まれ。筑波大学を卒業後、株式会社エドウインに入社。パタンナー部門で洋服づくりの基礎を学んだ後、企画生産部へ移って数々のヒット製品を手掛ける。2015年に独立し、株式会社ブリッツワークスを創業。ほどなく自社ブランドBMC(ブルー・モンスター・クロージング)を立ち上げた。バイク用ジーンズの展開は2020年に開始。現在ではデニム製品に限らず、アウター、シューズ、バッグ類など多種多様なアイテムを展開中。愛車はホンダ「レブル1100T DCT」とヤマハ「YZF-R25」。
いまのバイクウエア業界をリードするブランドならでは、ともいえるがYouTubeチャンネルでの製品開発秘話の公開だ。新製品を仕掛ける際、企画の段階から隠すことなく、予告を行なっていく。またその場では、視聴者に意見を求めているというのが新鮮かつ柔軟で、独自の手法といえるだろう。
バイク用品にしてもアパレル製品にしても、ユーザーはお店に並んだものを選ぶというのが普通だ。BMCはそのずっと手前、まだサンプルもなく構想段階から、他社に類似品を開発されるリスクを負ってまでして視聴者の反応をうかがっていく。
「自分の中で“これはいい!”と思ったものだけを世に出していますが、視聴者やユーザーのご意見も参考にして、最終的にさまざまな調整をしています」(青野氏)
そのYouTubeチャンネル「ローリー青野のバイクライフch.」では青野氏のものづくりに対する熱い想いが存分に感じ取れる。その熱を受け、視聴者も率直な意見をコメントに書き込んでいく。青野氏のファンになり、応援コメントを送る人も多い。作り手とユーザーがここまで近いブランドも珍しい。

「BMC製品は“一点集中”の機能性を大事にしています。不要な機能を備えて価格が上がってしまっては、ダメですからね。何を求めているのかを把握し、販売価格を決めるのにもYouTubeのみなさまの声はとても影響しています」(青野氏)
BMC製品は年度ごとにモデルチェンジをし、よりよいものへと進化していく。たとえば夏向けの「空冷式ジーンズ」は、2022年にクラウドファンディングサービスで発売されて大ヒットを記録。そのまま継続製品として開発は終えてもよさそうな気がするが、2023年、2024年に改良版を発売した。青野氏が一年穿いて気づいたことを反映するのとともに、ユーザーの声により、さらに完成度を高めていく。
そして「空冷式ジーンズ」は2025年モデルでもさまざまな改良が施されている。ここからは同製品をはじめとした、2025年の“空冷式”三部作を紹介しよう。
▶▶▶YouTube「ローリー青野のバイクライフch.」はこちら
BMC“空冷式”ジーンズ・シャツ・グローブの2025年モデル

BMCは通年で使えるアイテムを揃えながら、季節商品も得意としている。夏場に向けたアイテムは、「空冷式ジーンズ」から始まった、“空冷式”シリーズがそれだ。バイク乗りと親和性の高いキャッチーな名称もあって、いまでは看板製品群となっている。
これまで「空冷式ジーンズ」「空冷式シャツ」が展開されてきたが、2025年は新たに「空冷式グローブ」も追加された。その文字面・響きから察せられるとおり、涼しさの追求に“一点集中”したアイテム群となる。
空冷式ジーンズ

BLUE MONSTER CLOTHING
空冷式ジーンズ
2025年モデル
カラー:ブルーリンス、濃色USED、淡色USED
サイズ:S・M・L・XL・3L・4L・5L
税込価格:1万6980円
販売店:5月20日2りんかん全店発売予定
先行予約受付中:BMC STORES
一般的なデニム生地の2倍以上の通気性を誇るオリジナルのストレッチデニムを使用し、抜群の爽快感を実現。“空冷”というとおり、バイクに乗って走行風を受けることで、より高い通気効果を発揮する。

▲生地をよく見ると、メッシュ構造になっている。これが涼しさの秘密。

▲空冷式ジーンズに使われるデニムの通気性試験結果。2024年モデルで“フィン付き”となり、前年モデルより150%通気性をアップした。2025年モデルもこのデニム生地が採用されている。

▲太もも部分と膝裏にはベンチレーションホールがさりげなく設けられている。もっとも風を取り込みやすい部分から外気を入れ、もっとも蒸れやすい部分から換気する。通気口の数や位置は、テストを重ねて決められた。

▲太もも部分と膝裏にはベンチレーションホールがさりげなく設けられている。もっとも風を取り込みやすい部分から外気を入れ、もっとも蒸れやすい部分から換気する。通気口の数や位置は、テストを重ねて決められた。
シルエットの美しさはBMCならではのもの。傍からみると一般アパレル製品のおしゃれなジーンズにしか見えない。そのため普段穿きもできるというのが大きな魅力だ。


2025年モデルのカラーは、上品な「ブルーリンス」と真夏にぴったりの「淡色USED」。バイクに乗ることだけに特化した一般的なライディングメッシュパンツとは、ファッションアイテムとして使えるかどうかという点が大きく異なっている。


立体構造を採用し、膝を長時間曲げた状態にも対応。ストレッチも効いているため、バイクに跨ったり、自転車をこいだりするのも楽。キャンプや軽いトレッキングなどアウトドアシーンでも使いやすい。
また前傾姿勢を取った際に、腰まわりが浮かないのも特長。ビタッと腰に沿うつくりは独自のノウハウあってのもの。

膝にはソフトプロテクターを標準装備。高さの位置調整も行なえて、外側から脱着できる。洗濯時も楽だ。ちなみに空冷式ジーンズは、その通気性の高さから洗濯後の乾燥の早さも特長となっている。
ポケットもライダー専用の設計。ヒップポケットは、一般的なジーンズよりも外側に配置。これは財布などを入れたときにライディングの邪魔になりにくくするための配慮だ。深底なのでロングウォレットも安心して入れられる。

左太もも部分には、BMC製バイク用ジーンズのアイコンにもなっているスマートフォン用ポケットが備わる。これもポケットの中身が乗車の妨げになるのを解消する配慮で、跨っているときのスマホの出し入れがしやすい。
2025年モデルでは、排熱対策が施された。膝裏から裾までの部分を空冷式デニムの二重仕様にしている。エンジン熱と涼しさのバランスを取った工夫だ。

またシルエット自体も変更された。前年モデルよりゆったりめにすることで、生地と肌に空間が生まれ、より走行風を流しやすくなった。同時に、タイトさで諦めていた人にも対応している。また、これまで股下の長さは、どのウエストサイズでも80cmだったが、82cmに伸ばされた。

これら2025年モデルでの変更点は、ユーザーの声を受けて調整したものだという。
より詳しい内容は、ローリー青野氏が自ら解説する下の動画でご覧いただきたい。
ローリー青野のバイクライフch.
#221 【フィン付き空冷式ジーンズ⑦】走行風を取り込み熱を遮断する『排熱対策』が完成!シルエットも変わり更に空冷式ジーンズがパワーアップしました!これ買いっしょ。25年夏もライダーを救います!
www.youtube.com空冷式シャツ

BLUE MONSTER CLOTHING
空冷式シャツ
2025年モデル
カラー:ブラック、ホワイト、ライトカーキ、ライトブルー
サイズ:S、M、L、XL、3L、4L
税込価格:1万6980円
販売店:6月中旬2りんかん全店発売予定
先行予約受付中:BMC STORES
2024年にクラウドファンディングサービスのCAMPFIREでデビューし、その後2りんかんでも販売され大ヒットした「空冷式シャツ」。そのコンセプトは、「空冷式ジーンズ」と共通で、まるで普段着感覚で着られるのに、すこぶる涼しいというもの。当然ながら空冷式ジーンズとのコーデの相性はいい。

「Tシャツで走るのは危ないし嫌だ、でもバイク用然としたメッシュジャケットほど本格的なのはちょっと……」と考えるライダーにマッチした。さっと羽織って出かけられるため、使い勝手がよく、使用頻度も高くなる。
メインとなる素材はポリエステル。独自の編み方を採用し、メッシュ構造ながら遠目にはそうは見えない生地感を実現している。

▲生地の通気性試験で圧倒的な数値を記録。空冷式デニムも一般的なデニムと比べれば、2倍の通気性を誇るが、その約15倍の通気性を発揮!
肩・肘・背中・胸部には、ソフトプロテクターが標準装備。面ファスナーで装着するため調整や脱着は自由自在。付属のプロテクターは洗濯にも対応しているため、ネットに入れるなどすれば外さずに洗うこともできる。メッシュ素材のため、乾くのもあっという間。

ポケットは両胸元のほか、左右の脇にもファスナー付きのものを備えている。夏場は収納に困るけれど、これなら安心だ。


前合わせはドットボタンとファスナーの両方で閉められる。あえてボタンだけ留めることで、隙間を作り、涼しさをよりアップすることも可能。




2025年モデルでは、袖部分や襟部分にも細かな改良が施されている。袖は腕時計をしたままでもより留めやすい仕様となった。
襟は形状が変更されて、ヘルメットとの隙間を埋め、日焼け対策が施された。なおこの襟はさりげなくボタンダウン仕様となっていて、バイクで走ってもパタパタ暴れない。

カラーは、ブラック、ホワイト、ライトカーキ、ライトブルーの4色が用意されている。いずれもジーンズと相性がよく、着まわしもしやすい。
ローリー青野のバイクライフch.
#217 【空冷式シャツ⑤】完売警報発令「25年はマイナーチェンジします!」より実用的に機能アップデートした空冷式シャツは24年モデルを超えちゃいました…(笑)
www.youtube.com空冷式グローブ

M TECH × BLUE MONSTER CLOTHING
空冷式グローブ
2025年モデル
カラー:グレー
サイズ:M、L、XL
税込価格:4980円
販売店:7月上旬2りんかん全店発売予定
先行予約開始日:4月19日 CAMPFIRE
2025年新たに空冷式シリーズに加わった新作「空冷式グローブ」。グローブを得意とする大阪府にあるワーク用品メーカー・ミタニと共同開発されたもの。
同社の「M TECH」メカニックグローブは、そのフィット感、操作性の高さ、耐摩耗性、グリップ力などに定評がありヒット製品となっている。
その「M TECH」とBMCがコラボレーションし、ライダー向けのサマーグローブを作った。


もともと好評だった「M TECH」のよさを活かしつつ、ローリー青野氏が要望を伝え、バイク用にアレンジ。サラッとした装着感、ハンドルグリップに吸いつくような心地よさ、細かなレバー操作もできる指の動かしやすさを実現した。プロテクションパーツは、こぶし部分と手のひらに備えている。
甲側の素材はメッシュ、手のひら側は通気性の高い国産合成皮革「パーミア」を採用。さらに指の側面にも通気孔が設けられ、あらゆる部分から風が入り込んで抜けていく。その通気性の高さは時速10kmでも感じられるものだという。



生地自体が通電性を持っているため、すべて指でスマートフォンの操作が可能。またメカニックグローブを出自としているため、バイクメンテやキャンプ、ものを運んだり、工作したりする際にも使える。
バイクに乗る機会がそれほど多くない人も一双持っておけば、何かと役立つアイテムが多いだろう。価格がお手頃なのも見逃せないポイントだ。
ローリー青野のバイクライフch.
#236 【M TECH×BMC空冷式グローブ⑤】税込4,980円の衝撃!メッシュグローブは不必要!走行風を取り込むバイク用手袋で夏のバイクライフを快適に!性能とサイズ選びを最終検証しました(笑)
www.youtube.com