前年王者が得意のサーキットでブレガを撃破

圧倒的な勝率を誇る得意のサーキットで復活を遂げたラズガットリオグル。
開幕戦で為す術なくドゥカティに敗れたディフェンディングチャンピオンのトプラク・ラズガットリオグル(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)とBMW。コンセッションパーツが使えなくなり、開幕前にはラズガットリオグルが怪我をするなどの事態があったものの、早速改善が必要なのは明らかだった。
第2戦を前に今大会の舞台であるアルガルヴェで行われた公式テストでは、ラズガットリオグルが2日間を通してトップタイムをマーク。ラズガットリオグルにとって得意なサーキットではあるものの、この結果はBMWにとって希望の光となった。
土曜日に行われたスーパーポールでは、テストの勢いそのままにラズガットリオグルがポールポジションを獲得。しかも、レコードブレイクしての1番時計だった。
開幕戦を圧倒的な速さで制したブレガが2番グリッドを獲得。3番グリッドにはダニーロ・ペトルッチ(BARNI SPARK RACING TEAM)が入った。
アンドレア・ロカテッリ(PATA YAMAHA)が4番グリッドでヤマハ最上位、サム・ロウズ(ELF MARC VDS RACING TEAM)が5番グリッド、6番グリッドにはシャビ・ビエルヘ(HONDA HRC)が入り、ホンダ最上位となった。
気温26度、路面温度37度のドライコンディションの中、20周のレース1がスタート。トップのラズガットリオグルが出遅れ6位にまでポジションを落とす中、2番グリッドスタートのブレガが好スタートを切りトップに浮上した。
スタート直後のターン4では、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing – Ducati)とスコット・レディング(MGM BONOVO RACING)のドゥカティ勢2台が転倒する波乱のスタートとなった。
オープニングラップはブレガ、ロカテッリ、サム・ロウズ、ペトルッチ、ビエルヘのオーダー。しかし、出遅れたラズガットリオグルが遅れを取り戻そうといきなり仕掛けていく。
1周目のターン13のブレーキングでビエルヘをパスし5位に上がると、2周目のターン9ではペトルッチを外側から豪快にオーバーテイクし4位に浮上。
3周目のターン1ではブレーキングでサム・ロウズ、同じく4周目もターン1でロカテッリを攻略し2位にまでポジションを回復した。
オーバーテイクをしながらもファステストラップを刻みながら周回するラズガットリオグルは、トップのブレガよりコンマ2秒速いペースで走行。そして7周目のターン13でついにブレガを抜きトップに返り咲いた。
ここからは昨年タイトルをかけて争った2台による激しいトップ争いが展開された。ブレガがドゥカティのストレートスピードを駆使してトップに立てば、ラズガットリオグルがブレーキングで抜き返すという展開に。

序盤から終盤にかけて行われたラズガットリオグルとブレガの優勝争い。
www.worldsbk.com接近戦を繰り広げる2台はラズガットリオグルを先頭にファイナルラップに突入。ブレガは最後まで喰らいつくも、ラズガットリオグルがトップの座を死守しトップチェッカーを受けた。
開幕戦で心が折れかけたラズガットリオグルだったが、第2戦レース1で今季初優勝。ブレガの開幕4連勝を阻止してみせた。3位にはロカテッリが入り、ヤマハが今季初表彰台を獲得。4位にはペトルッチ、5位にはビエルヘが入り、ホンダ最上位を獲得している。
2025 スーパーバイク世界選手権 第2戦 レース1 結果

ラズガットリオグルが今季初優勝。今年もブレガとのタイトル争いになる予感。

ラズガットリオグルがブレガとのバトルを制しハットトリック達成!
日曜日も快晴に恵まれたアルガルヴェ。午前中に行われたスーパーポール・レースでもラズガットリオグルとブレガの一騎打ちとなった。
ここでもラズガットリオグルが優勝を果たすも、2位ブレガとの差はわずか1000分の55秒とレース1以上に僅差でのゴールとなった。3位にはレース1でリタイアを喫してしまったバウティスタが入っている。
最終レース2のグリッドはスーパーポール・レースの結果が反映されるため、ラズガットリオグルがポールポジション、ブレガが2番グリッド、バウティスタが3番グリッドという並びになった。
気温23度、路面温度35度のドライコンディションの中、20周のレース2がスタート。

レース2でもスタートを決めたブレガが先頭を引っ張る展開に。
各ライダーはミスすることなくスタートを決めるも、トラクションが効いたブレガがホールショットを奪いトップに浮上。以下、ラズガットリオグル、バウティスタ、ロカテッリのオーダーでレースは進んでいく。
3周目、ラズガットリオグルの僚友であり、アルガルヴェでの優勝経験もあるマイケル・ファン・デル・マーク(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)が5位につけ、4位のロカテッリに仕掛けていく。
ターン1のブレーキングで前に出るも、ややオーバースピードだったこともあり、ロカテッリを抜くまでには至らなかった。
後方ではアンドレア・イアンノーネ(TEAM PATA GO ELEVEN)が 8位までポジションを上げるも、ジャンプスタートの判定が下り、痛恨のダブルロングラップペナルティが科されてしまった。
5周目、6位にまでポジションを上げていたビエルヘが無念の転倒。チームメイトのイケル・レクオーナ(HONDA HRC)が代わりに6位に浮上した。
3位のバウティスタを置き去りにしたトップ2がハイペースで周回。序盤からブレガが逃げにかかるも、10周目にはラズガットリオグルが真後ろにつき、レース2でも2台の一騎打ちとなる。
そんな中、ジョナサン・レイの代役として参戦していたジェイソン・オハローラン(PATA YAMAHA)がターン1で転倒。この際、エアフェンスが破損したことで赤旗が掲示された。
フェンス修復のためレースは中断。再開後は残り11周のスプリントレースとなった。2回目のスタートではロカテッリが好スタートを切り2位に浮上、ブレガ、ロカテッリ、ラズガットリオグル、バウティスタの順番となる。
2周目のホームストレートでラズガットリオグルが2位に浮上し、トップのブレガに迫っていく。
3周目、ターン1でラズガットリオグルが強烈なブレーキングを見せトップに浮上。しかし、翌周のホームストレートでブレガが再び首位を奪いかえし、3位に上がったバウティスタも2台に迫る。
最高速は意外にもそこまで差のないドゥカティとBMW。しかし、スリップストリームの効きがドゥカティの方がよく、直線では相変わらずの強さを誇っている。
ラズガットリオグルも諦めておらず、ファステストを叩き出し、ブレガの真後ろにつける。残り6周では抜きつ抜かれつのバトルを披露するも、ブレガが首位の座を明け渡さない。
ブレガは直線で、ラズガットリオグルはターン1やターン13のブレーキングで抜くという展開が終盤にかけて続いていった。

3レースともラズガットリオグルとブレガの一騎打ちとなったポルトガルラウンド。
一騎打ちの様相はラズガットリオグルがトップでラストラップに突入。ラズガットリオグルのラストスパートに加え、ブレガのタイヤが摩耗し横滑りが大きくなったこともあり勝負あり。
ラズガットリオグルがトップチェッカーを受けポルトガルでハットトリックを達成した。また、今回の優勝でスーパーバイク60勝を達成。カール・フォガティを抜き歴代3位の優勝回数となった。
ブレガが2位、3位にバウティスタが入り、スーパーバイクと同じ表彰台の顔ぶれに。次戦は伝統のTTサーキット・アッセンで行われるオランダラウンド。名物ダッジウェザーが勝敗に左右するかもしれないが、次戦もラズガットリオグルとドゥカティ勢の戦いになりそうだ。
2025 スーパーバイク世界選手権 第2戦 スーパーポール・レース 結果

1000分の55秒差という僅差でスプリントを制したラズガットリオグル。

2025 スーパーバイク世界選手権 第2戦 レース2 結果

3勝ずつで勝利数に並んだラズガットリオグルだが、開幕戦の取りこぼしもあり、ブレガが29ポイントリードでランキング首位となっている。
レポート:河村大志