ダンロップの誇るスポーツタイヤ「SPORTMAX α-14」の登場から8年。その後継モデルとして最新技術を投入し、満を持してリリースされたのが「SPORTMAX Q5S」だ。今回は幅広いシチュエーションで、その実力を検証した!

α-14が最新の技術で大幅進化! マルチに使えるスポーツタイヤ!

現在のロードスポーツバイクはサーキット指向のSSモデル、アクションライディングに対応するストリートファイター、ツーリング指向のツアラーやネイキッドと、セグメントが細分化されている。となれば同じ『スポーツタイヤ』に分類されていても、狙い所の異なる製品が求められるのは必然だろう。

ダンロップはこうした要求に対し、レース用スリックタイヤの技術をフィードバックしてサーキット性能を高めた『Q5』と、ワインディングロードから街乗りまでに幅広く対応する『Q5A』で応えているが、その中間のポジションに加えられたのが『Q5S』。街乗りでの快適性とサーキット性能のバランスが高く評価されていたα-14のコンセプトを受け継ぎながら、最新の技術によって性能を底上げし、25年2月に発売された新製品だ。

画像: テスト&レポートを担当するのは、本誌テスター歴40年以上の太田安治。ツーリングを通じて、「SPORTMAX Q5S」の魅力を堪能できた様子。

テスト&レポートを担当するのは、本誌テスター歴40年以上の太田安治。ツーリングを通じて、「SPORTMAX Q5S」の魅力を堪能できた様子。

テストを行ったのは2月末で、最高気温が10度、路面温度は高いところでも15度程度。空気圧は車両指定のフロント250kPa、リア290kPaに調整。テスト車は前後に作動性に優れたオーリンズのサスペンションと、軽量なマルケジーニの鍛造ホイールが装着されている21年型ZX-10RRだから、ウォームアップ性能からハンドリング特性、グリップ力まで、タイヤ本来の性能を把握しやすい環境が整った。

新品タイヤだけに慎重に走り出したが、市街地を交通の流れに乗って5分ほど走ると加減速でのグリップ感が上がり、郊外のワインディングロードを10分ほど流すように走った段階で不足のないグリップ力が出てきた。

最初に感じたのが乗り心地の良さ。スポーツライディング向けのタイヤは加減速GとコーナリングGで大きな荷重を受けた際に過剰に変形しないよう、タイヤのケース剛性が高めに設定されている。この剛性の高さと引き換えに衝撃吸収性は下がるので、路面に様々なギャップがある公道ではゴツゴツとした乗り心地の硬さを感じることが多い。しかしQ5Sの乗り心地は昨年BMWのS1000R・Mパッケージに履かせてテストした同社のQ5Aと大差なく、スポーツタイヤとしてはかなり優しいフィーリング。SSモデルとの組み合わせだから、峠道の舗装が荒れた部分や路面の段差を超える際には相応の突き上げが来ることを覚悟していたが、実際は硬さを感じず、コーナリング中のギャップで弾かれる量も想定より小さいので肉体的にも精神的にも疲れない。

画像: 今回の試乗に使用したのはカワサキのスーパースポーツモデル「ZX-10RR」。タイヤの空気内圧は車両の規定値であるフロント250kPa、リア290kPaで走行した。

今回の試乗に使用したのはカワサキのスーパースポーツモデル「ZX-10RR」。タイヤの空気内圧は車両の規定値であるフロント250kPa、リア290kPaで走行した。

スポーツを意味する「S」は初めて走る峠道も楽しめる!

峠道を気持ちよく流すペースで感じたのは接地感の高さだ。特にフロントタイヤの接地感が掴みやすく、直立状態から深いバンク角までロール方向の手応えが一定で、タイヤに掛かる荷重やステアリング舵角を意識しない、いわゆる「フワッと乗っている」状態でも自然に綺麗なコーナリングラインを描く。出口が回り込んだコーナーで、バンクさせたままフロントブレーキを使わざる得ない状況でもフロントが切れ込んでしまう不安がなく、深いバンク角では路面にペタッと張り付くような安定感があるから、初めて走るワインディングロードでも緊張することなく楽しめる。

画像: スポーツを意味する「S」は初めて走る峠道も楽しめる!
画像: 高速道路での巡航テストや、ワインディングでの走行フィーリング確認も行なった。試乗は2月末だったため最高気温も10℃程度だったが、特に不安要素は見つからなかった。

高速道路での巡航テストや、ワインディングでの走行フィーリング確認も行なった。試乗は2月末だったため最高気温も10℃程度だったが、特に不安要素は見つからなかった。

公道テストなのでフルバンクでのエッジグリップを評価することはできなかったが、ダンロップの社内テストデータによるとサーキットのラップタイムはα-14以上とのことだから、走行会やスポーツ走行枠で走ってもグリップ不足を感じることはないだろう。

テスト前は「Q5とQ5Aがあるのに、さらにもう一種類追加する必要があるのか?」と疑問だったが、その疑問は丸一日走り回って解消した。Q5は本来の性能を堪能するために空気圧や温度管理が重要になり、路面状況が大きく変わる公道では気を使う。逆にQ5Aは公道での扱いやすさに優れている分、スポーツライディングの高い荷重域では物足りなさを感じるシーンもあるかもしれない。その観点からすると、Q5Sはスポーツタイヤの王道と言えるキャラクター。製品名の末尾に、スポーツを意味する『S』が付けられていることが納得できる。

ツーリング先のワインディング区間で爽快な走りを楽しむ、あるいは自走でサーキットに行き、走行会やスポーツ走行枠で走りを楽しんだ後に自走で帰宅する、といった使い方にベストマッチするタイヤだ。

画像: タイヤウォーマー不要でも十分なグリップを発揮するので、季節を選ばず、普段の街乗りでも安心だ。

タイヤウォーマー不要でも十分なグリップを発揮するので、季節を選ばず、普段の街乗りでも安心だ。

画像: メーカーが公表しているタイヤごとのポジショニングイメージ。「SPORTMAX Q5S」はサーキットでの走行会とワインディング走行を中心にしながら、ツーリングや街乗りでの走行もカバーするようなポジションとなっているため、多くのライダーにとって満足感の高いタイヤとなっている。

メーカーが公表しているタイヤごとのポジショニングイメージ。「SPORTMAX Q5S」はサーキットでの走行会とワインディング走行を中心にしながら、ツーリングや街乗りでの走行もカバーするようなポジションとなっているため、多くのライダーにとって満足感の高いタイヤとなっている。

「SPORTMAX Q5S」のレポートを動画で見る

画像: - YouTube youtu.be

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SPORTMAX Q5S サイズ表

画像: 【検証!!!】ダンロップ「SPORTMAX α-14」後継モデル、「SPORTMAX Q5S」をツーリングテストしてきた!

FRONT
110/70ZR17M/C(54W)
120/70ZR17M/C(58W)

REAR
140/70ZR17M/C 66W
150/60ZR17M/C(66W)
160/60ZR17M/C(69W)
180/55ZR17M/C(73W)
190/50ZR17M/C(73W)
190/55ZR17M/C(75W)
200/55ZR17M/C(78W)

SPORTMAX Q5S 公式サイト

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