2025年4月11日から13日にかけて、スーパーバイク世界選手権の第3戦オランダラウンドが、オランダのTTサーキット・アッセンで行われた。ドゥカティとBMWが勝利を積み重ねてきた2025年シーズン。しかし、伝統の同サーキットでヤマハが復活の狼煙を上げた。

開幕2戦の結果を受けてドゥカティとBMWに燃料流量制限

今季は開幕戦と第2戦でドゥカティとBMWがハットトリックを達成。この結果を受けて、両陣営には燃料流量の制限が設けられることになった。

近年スーパーバイクでは、各メーカーのポテンシャルにひらきが大きくなりすぎないように、シーズン中にも性能調整を行っている。この取り組みは2018年からエンジン回転数の上限を定めることで行われてきたが、今シーズンからは燃料流量を制限することに変更されている。

2大会ごとに変更を受ける燃料流量。第2戦までは各陣営47kg/hであったものの、今回の性能調整によりドゥカティとBMWは燃料流量46.5kg/hで第3戦を戦うことになった。

今年からレブリミット規制から燃料流量で性能調整が行われることになったスーパーバイク。しかし、見方を変えれば他メーカーに比べ、回転数が多いドゥカティへの規制が外れ、優位性を保った状態になる。今年で8年目になるスーパーバイクの性能調整、まだまだ詰めなければいけないのも事実である。

ブレガが圧倒的な速さで今季4勝目をマーク

土曜日に行われたスーパーバイクではサプライズが。昨年からスーパーバイクに参戦を果たしたサム・ロウズ(ELF MARC VDS RACING TEAM)が初のポールポジションを獲得したのだ。ドゥカティのサテライトにあたるMARC VDS RACINGだが、ワークスのAruba.it Racingを差し置いての快挙である。

2番グリッドにはニッコロ・ブレガ(Aruba.it Racing – Ducati)、3番グリッドにはアルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing – Ducati)がつけた。性能調整もなんのその、ここアッセンでもドゥカティの強さは揺るぎないものになりそうだ。

前戦ポルトガルでハットトリックを達成したトプラク・ラズガットリオグル(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)は予選で3番手につけたものの、セッション中にレーシングライン上でのスロー走行をしたとして3グリッド降格のペナルティを受けている。

21周のレース1がスタート。2番グリッドスタートのブレガがホールショットを奪い、アンドレア・ロカテッリ(PATA YAMAHA)が2位、サム・ロウズは3位までポジションを落としてしまう。しかし、すぐさまサム・ロウズが立て直し、ターン5でトップを奪い返してみせた。

しかし抵抗もここまで。続くストレートでブレガが並びかけるとターン6で再びトップに躍り出る。一方、ラズガットリオグルは7位でスタートすると、ターン16の飛び込みでバッサーニを抜き6位に浮上した。

画像: オープニングラップでトップに立つと後続を突き放しにかかるブレガ。

オープニングラップでトップに立つと後続を突き放しにかかるブレガ。

その前方では、ダニーロ・ペトルッチ(BARNI SPARK RACING TEAM)とバウティスタの熾烈な4位争いが展開されており、そこにラズガットリオグルが迫っていく。早い段階で前に行きたいラズガットリオグルはターン16でバウティスタ、翌3周目のターン5でペトルッチを抜き4位に浮上する。

トップのブレガが早くも逃げにかかるなか、バウティスタがペトルッチを抜くと、5周目のターン8でラズガットリオグルをオーバーテイク。

この3台のバトルは激しく、7周目の最終コーナーではラズガットリオグルがうまく立ち上がり、ラズガットリオグルがペトルッチとバウティスタをまとめて抜き、表彰台圏内に入ってきた。

バトルを繰り広げていたバウティスタだったが、ターン9で前を行くサム・ロウズのインをつくも、スリップダウン。サム・ロウズを巻き込んでしまい無念の転倒に終わってしまった。

これでライバルがいなくなったと思われたラズガットリオグルは9周目、2位のロカテッリを抜き2位に浮上。しかし、ロカテッリを引き離すことができず、後方からペトルッチも追いついてきた。

トラブルなのかペースが上がらないラズガットリオグルを、ロカテッリが残り9周のターン5でオーバーテイク。4位に落ちたラズガットリオグルは最終的にペトルッチにもパスされてしまった。

先頭をいくブレガは悠々とトップチェッカー。オープニングラップから先頭に立ち、2位のロカテッリに約8秒もの大差をつけての圧勝劇だった。2位にはロカテッリ、3位にはペトルッチが入り、ラズガットリオグルは最終的に4位でのフィニッシュとなった。

2025 スーパーバイク世界選手権 第3戦 レース1 結果

画像: 昨年のラズガットリオグルがみせた独走劇となったブレガが4勝目。ジョナサン・レイ負傷のなか、チームを引っ張るロカテッリが嬉しい2位表彰台を獲得した。

昨年のラズガットリオグルがみせた独走劇となったブレガが4勝目。ジョナサン・レイ負傷のなか、チームを引っ張るロカテッリが嬉しい2位表彰台を獲得した。

画像1: resources.worldsbk.com
resources.worldsbk.com

好調ブレガにまさかのアクシデント発生、A.ロカテッリが悲願のSBK初優勝!

日曜日の午前に行われたスーパーポール・レースは、雨上がりのため路面はウェット。ここでもブレガが速さを見せるも、ラズガットリオグルが先行し優勝。2位にスーパーポールでポールポジションを獲得したサム・ロウズ、3位にはバウティスタが入った。2位を走行していたブレガはマシントラブルが発生しリタイアに終わっている。

最終レース2のグリッドはスーパーポール・レースの結果が反映されるため、ラズガットリオグルがポールポジション、サム・ロウズが2番グリッド、バウティスタが3番グリッドという並びになった。

天候も回復し、路面も乾いたなかで行われたレース2。気温16度、路面温度23度のドライコンディションの中、21周のレース2がスタートした。

3番グリッドスタートのバウティスタがホールショットを奪うと、ラズガットリオグル、ロカテッリ、レミー・ガードナー(GYTR GRT YAMAHA WORLDSBK TEAM)が続く。

スタートで3位に上がったガードナーが勢いそのままに2周目のターン1で2位に浮上。一方、ラズガットリオグルは4位に後退し苦戦。BMW勢のみハードよりのタイヤを選択したことによるペース不足と推測される。

先頭をいくバウティスタだったが、後続を引き離す事ができず、ポジションを上げてきた7位のブレガまでが先頭集団に。スーパーポール・レースでリタイアとなり、後方からの追い上げを強いられたブレガだったが、周回を重ねるごとにポジションを上げていく。

そして、11周目にはトップに立つとさらに2位以下とのギャップを拡げていく力走を見せた。チャンピオン争いにおいて少しでもポイントを獲得しておきたいラズガットリオグルだったが、周回を重ねるたびにペースダウン。リアタイヤに問題を抱えており、単独7位を走行していたが、8位集団が追いついてきた。

スーパーポール・レースを落とすも、ライバルのラズガットリオグルが苦戦するなか、優勝に近づくブレガ。ランキング上でもさらにポイント差を拡げるチャンスだった。しかし、残り2周のホームストレートでまさかのスローダウン。

スーパーポール・レースと同じ症状がでてしまいマシンはストップ。無念のノーポイントとなってしまった。

画像: 2位を力走していたロカテッリに残り2周で最大のチャンスがやってくる。

2位を力走していたロカテッリに残り2周で最大のチャンスがやってくる。

これでトップに浮上したのがロカテッリ。バウティスタとの間には十分なマージンがあり、しっかりと2周を走り切りトップチェッカーを受けた。ロカテッリにとってこれがスーパーバイク初優勝。ヤマハにとっても久しぶりの優勝となった。

2位にバウティスタ、3位にはガードナーが入り、自身2度目の表彰台獲得となった。ラズガットリオグルは後方集団に飲み込まれるもなんとか8位でフィニッシュ。ブレガとのポイント差を21にまで縮めることになった。

性能調整が行われたものの、ドゥカティ優位は変わらなかった今大会。しかし、ブレガがトラブルにより2レースを落とす結果に。そしてロカテッリの初優勝、ラズガットリオグルの苦戦とドラマの多いレースとなった。

次戦は5月2日から4日にかけてクレモナで行われるイタリアラウンド。ドゥカティ、BMWに続いてヤマハが1勝を挙げた今大会、次戦は新たなメーカーが優勝を果たすのか、それとも。

2025 スーパーバイク世界選手権 第3戦 スーパーポール・レース 結果

画像: ラズガットリオグルがブレガに一矢報いる勝利を挙げたスーパーポール・レース。

ラズガットリオグルがブレガに一矢報いる勝利を挙げたスーパーポール・レース。

画像2: resources.worldsbk.com
resources.worldsbk.com

2025 スーパーバイク世界選手権 第3戦 レース2 結果

画像: 悲願の初優勝を挙げたロカテッリ。3位にはガードナーも入りヤマハ勢が活躍した。

悲願の初優勝を挙げたロカテッリ。3位にはガードナーも入りヤマハ勢が活躍した。

画像3: resources.worldsbk.com
resources.worldsbk.com

レポート:河村大志

This article is a sponsored article by
''.