感性を擦り合わせた先にたどり着いた、それぞれの個性。
2014年、人気のCB1100シリーズに新たにラインナップされたのがCB1100EX。アルミリムのワイヤースポークホイールや、2本出しマフラー、クラシカルなデザインの専用シートなど、それまでのスタンダードモデルよりもトラディショナルな雰囲気をプラスしている。特に、イメージカラーとも言えるキャンディーアリザリンレッドは、往年のCBをイメージさせる色合いと言えるだろう。ただ、カラーや各所のパーツデザインを換えているだけでは、このCB1100EXのこだわりのスタイリングは生まれない。各部パーツの形状や取付角度などにも工夫をし、水平基調でシンメトリーデザインを実現することで、シリーズとして統一感は保ちつつ、伝統的なCBスタイルを表現している。また、これまでのCB1100ユーザーからの声を、開発に反映していることもあり、新形状の燃料タンクを採用。容量は17ℓと従来のモデルと比べ3ℓも大きくなった。見た目にも少し大きくなっているが、一度の給油で航続距離を求める人には車種選択の大きな理由となるだろう。
EXの登場でベーシックなスタンダードモデルとなったC B1100。2012年のマイナーチェンジでは、網状のクッション「e-cushion」の採用や、ハンドルタイプをアップハンに統一するなど、細部の変化だけであったが、2014年のMMCでは、各部の熟成を図り、トランスミッションを6速に変更。その恩恵として、燃費性能や、高速走行時の静粛性が向上している。さらに、PGM–FIのセッティング変更を施し、スロットルの開け始めからトルクフィーリングを見直し、低回転域では一層骨太なエンジンフィールが楽しめるので、市街地では特に変化が感じられるだろう。それに合わせ、最大トルク値は発生回転数はそのままで0 .1㎏f–m向上している。スタンダードモデルの燃料タンクは変更されておらず14ℓのままであるが、おかげでスリムで直線的なラインのデザインは健在だ。その他、ギアポジションの表示や、燃費表示を追加した新型のメーターを採用しており、これらはCB1100 BLACK STYLEにも同様の変更が採用されている。
Honda CB1100 VS CB1100/EXの違いはココだ!
CB 1100とCB 1100 EXは、ここで紹介しているように意外と違う点が多い。基本的なものは共通にしているものの、それぞれの個性に合わせてパーツを車体専用に開発したり、セッティングを施している。同じホンダでもCB 1300 SFとCB 1300 SBのように、フロントカウルがついているかどうかの違いのようなものだと思ってはいけないのである。スポークホイールはEX用にイチから開発されており、2本出しマフラーはより重めのサウンドとドロドロ感を求めた結果として採用されている。シートも表皮デザインだけが違うというわけではなく、シートそのものが厚く形成されているのである。タンクにしても同様で、ユーザーからの声に耳を傾け航続距離を求めた結果、今のタンク形状が誕生したのだ。