これはMT-09のドレスアップ&ハイグレードバージョンだ!
MT-09ベースのネオクラシックモデル…ではないな。出で立ちこそ、歴史的なUSストロボカラーがコーディネイトされているが、タンクの造形見たって古さに媚びてない。テールランプやメーターこそ、「ボルト」のものを流用し、丸いヘッドライトなどもアレンジしているが、丁寧なデザインのシャレたパーツにこそ見え、古さに固執してるようには見えない。たぶんヤマハが「クラシカル」を本気で謳うなら、もっと違うはずだ。だから「ネオ・レトロ」などと謳っているのだろう。
XSR900は「ネオクラシック」の名を借りたMTのドレスアップ、ハイグレードバージョンだ。これは勝手な解釈かもしれないが、MTー09と両方を試乗したライダーならそう思うはずだ。見ての通り、外観意匠が違うだけでエンジンやフレームはMTのまま。16年型のMTと同じくトラクションコントロールを装備し、スリッパークラッチも付いている。各部のアライメントなども変わってない。でも、足回りが違う。前後レイアウトも同じだが、そのセッティングが違っていた。
ワイズギアKYBのサスペンションキットが減衰の変更と作動性を良くすることで、ピッチングの少ない挙動を実現し、コーナリング中の対ギャップ、衝撃吸収性能を飛躍的に向上させていた。あのサスほど硬くは感じないが、250のオフ車のようなフワフワした動きをするMTとは大違い。キットの硬さとMTの中間的な硬さとでも言おうか、しっかりと減衰が聞いてて凸凹を力強く吸収するし、飛ばしてる時は格段にしっかりとしたコシの強さで踏ん張る。ふわーっと雲の上を浮いてるような走りのMTに対してXSRは接地感を直に感じられる上、乗り心地が悪いわけではない。MTよりずっと足の踏ん張りがいいから高速域でも機敏に切り返しができる。クイックな切り返しでも、足回りがすぐに落ち着いて切り返した後、即座にスロットルを開けてもピッチングが出たり、滑ったりしないのだ。足の動きに落ち着きがあるため、MTより走りそのものが上質になった感覚にもなれる。
加えて、動力性能はMTの暴れん坊DNAを受け継いでいる。6速100㎞/hは4000回転を少し越えたくらい。振動も少なく、そこからスロットルを大きく開ければ独特のトリプルサウンドが唸りながら、猛烈にダッシュする。パワーモードを強力なAモードにしておけば、スタートダッシュのフル加速でフロントをリフトさせずに加速するのが難しいほど。コーナーからの立ち上がりでも同じ。…それがXSRだ。それでいてクラシカルなカラーリング…ジョーク満点のバイクだと言っていい。カラーリングがカラーリングだったので、ネオクラシックなバイクに乗る時のウェアを用意して試乗した。したんだが、会社を出て、街中を移動している時点で、スライダー付きのパンツにすればよかったと後悔した。
で、このバイク、なかなかリーズナブルなことも忘れないで欲しい。それも魅力だ。
YAMAHA XSR900 60th Anniversary
全長×全幅×全高 2075×815×1140 mm
ホイールベース 1440 mm
シート高 830 mm
車両重量 195 kg
エンジン型式 水冷4ストロークDOHC 4バルブ並列3気筒
総排気量 845 cc
ボア×ストローク 78 . 0×59 . 0 mm
圧縮比 11 . 5:1
最高出力 110 PS/ 9000 rpm
最大トルク 9 . 0 kg-m/ 8500 rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 14ℓ
キャスター角/トレール 25 °00 ´/ 103 mm
変速機形式 6 速リターン
ブレーキ形式(前・後) ダブルディスク・ディスク
タイヤサイズ(前・後) 120 / 70 ZR 17・180 / 55 ZR 17