これまでの魅力をそのまま活かしつつ、気配りの行き届いた改良で熟成!

本誌の用品テスト、タイヤテストで頻繁に誌面に登場している僕の個人所有車が2012年型ニンジャ1000ABS。選んだ主な理由は「高速道路走行が快適で、ライダーの操作に車体もエンジンも小気味よく反応する」オートバイが欲しかったから。

僕のライディング環境は、首都高を使った自宅から編集部までの往復が月に5~6回、高速道路+峠道のツーリングが年に3~4回。全体としては高速道路クルージングが6割、峠道と市街地が2割。大型ネイキッドやメガスポーツのように大きくて重いオートバイは性に合わないし、スーパースポーツモデルは姿勢的に辛く、ツーリング途中の峠道を走る程度ならスポーツ性能を持て余す。

その点、いい意味で中庸なニンジャ1000は僕の好みと用途にぴったり合っていて、新車購入から5年経った現在でも大いに満足しているが、メジャーアップデートを受けた新型は気になる存在。そこで、僕の2012年型と乗り比べながら違いを探ってる。

画像1: これまでの魅力をそのまま活かしつつ、気配りの行き届いた改良で熟成!

5馬力ほど上がったエンジンパワーを公道で感じ取ることは難しいが、低中回転域ではスロットル開け始めのレスポンスが優しくなり、アクセルを大きく開いたときの加速感もリニアで、市街地や峠道でのギクシャク感が減った。加えて2016年モデルから採用されている、アシスト&スリッパークラッチでクラッチ操作が嘘のように軽く、コーナリング中にシフトダウンを強いられるシーンでも挙動が乱れにくい。このあたりは誰もが感じるメリットだろう。

アップデート内容の中で特に注目すべきは大きく進化した電子制御。ボッシュ製の最新IMU(慣性計測装置)搭載で、加速、減速、コーナリング中まで、車体姿勢を検出できるようになり、トラクションコントロールとABSが状況に応じて緻密に制御されるようになった。実感しやすいのはABSの進化で、介入タイミングが自然になってハードブレーキングの邪魔をせず、ABS作動時の挙動も穏やか。コーナリング中にフロントブレーキを使った時の車体の急激な起き上がりが減り、初期の食いつきが強くなったフロントブレーキとのマッチングもいい。

画像2: これまでの魅力をそのまま活かしつつ、気配りの行き届いた改良で熟成!

この新型IMUの採用でトラクションコントロールとABS、パワーモードが高度に連携し、市街地やクルージング中は安全性と快適性が、ワインディングではスポーツ性(コントロール性)が確実に高まっている。

だが、旧型ユーザーとして羨ましいのが、実用面での多岐に渡る改良。前側シート座面の前下がり形状が緩和されて長時間ライディングでも尻の痛みが起こりにくくなり、足着き性も向上。タンデムシートも肉厚になってパッセンジャーの快適性も増した。スクリーンの形状変更で風防効果も向上するなど、全体にツーリング適性が底上げされている。

細かいところでは、燃料計が格段に正確になったことと、ギアポジションインジケーターの装備、瞬間/平均燃費や外気温の表示機能や、標準装備となったETCの警告灯もビルトインされたことも嬉しいポイント。ただ、液晶モニターに表示される要素が増えたため、ひとつ一つの表示が小さく、ゴチャ付いている感じ。カラー液晶で色分け表示してくれれば、もっと直感的に判ると思う。

トータルで見ると、新型ニンジャ1000は「スポーツライディングも楽しめる上質なツアラー」というキャラクターを踏襲したまま、かゆいところに手が届く改良を随所に加えた仕上がり。それでいて価格は127万台と、内容を考えれば実質大幅値下げ。ニンジャ人気が再び盛り上がることは間違いないだろう。

画像: ECUのセッティングなどを見直した1043㏄エンジンは141PSにパワーアップ。スロットルレスポンスも一層スムーズになった。

ECUのセッティングなどを見直した1043㏄エンジンは141PSにパワーアップ。スロットルレスポンスも一層スムーズになった。

画像: 走行中の車両状況を正確に検知することで、細やかな電子制御を可能にしたIMU(慣性計測装置)を今回から新採用。

走行中の車両状況を正確に検知することで、細やかな電子制御を可能にしたIMU(慣性計測装置)を今回から新採用。

画像: メーターは完全新設計。ギアポジション表示や、回転数に応じてタコメーターの針の色が変わるインジケーターも装備する。

メーターは完全新設計。ギアポジション表示や、回転数に応じてタコメーターの針の色が変わるインジケーターも装備する。

画像: シート高は5㎜低い815㎜となり、足つき性が向上。前後ともに座面形状も見直され、座り心地も大きく改善されている。

シート高は5㎜低い815㎜となり、足つき性が向上。前後ともに座面形状も見直され、座り心地も大きく改善されている。

2017年 Ninja1000ABS 主要諸元
全長×全幅×全高 2100×790×1185(ハイポジション1235)㎜
ホイールベース 1440㎜
最低地上高 130㎜
シート高 815㎜
車両重量 235㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 1043㏄
ボア×ストローク 77×56㎜
圧縮比 11.8
最高出力 141PS/10000rpm
最大トルク 11.3㎏-m/7300rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 19ℓ
キャスター角/トレール 24.5度/102㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ300㎜ダブルディスク・φ250㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/50ZR17

RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:60㎏)

シートの座面形状が変更され、従来型の弱点だった長時間ライディングでの快適性が高まった。同時に足着き性もわずかながら良くなっている。ハンドルやステップ位置は変わらないが、新型ニンジャのキャラクターならステップ位置はもう少し低くてもいいと思う。

画像1: RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:60㎏)
画像2: RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:60㎏)

今回試乗した新型ニンジャ1000は、MSLゼファーの「パフォーマンスエディション」

国内仕様をベースに、アクラポビッチ製スリップオンやフレームスライダー、エンジンガードなど、欧州純正アクセサリーを多数装備。写真はK's STYLEのKRTカラー仕様がベースで、価格は税込み157万6800円。ノーマルベースなら税込み146万8800円となる。

画像: [MSLゼファー] 東京都練馬区谷原5-32-1 TEL.03-3867-2194 http://www.msl-japan.com/

[MSLゼファー] 東京都練馬区谷原5-32-1 TEL.03-3867-2194 http://www.msl-japan.com/

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