待望の国内デビュー! 最強・最速RR、ついに発進!!
発表と同時に注文が殺到し、すでにバックオーダーを抱える人気となっているCBR250RR。一方で、「この車名で2気筒?」とか「650~750クラスよりも高い!」という声も聞く。4気筒45馬力のエンジンをアルミフレームに搭載した初代CBR250RRを知る者としてはその不満も判るが、ホンダがこの車名と価格で発売したのは、そうした批判を覆す自信があるからだ。
まず目を惹くのが、ライバルとは一線を画したデザイン。レーサーレプリカが機能に徹した単純な面構成だったのに対し、RRはカウル、タンク、シートカウル、マフラーまでに複雑な面構成を採り入れてボリュームを出し、精悍というよりも凄みが効いている。倒立フォークやアルミスイングアーム、凝ったマフラーも他のモデルとは明らかに異なり「ただ物ではない」雰囲気を漂わせる。
圧倒的なオーラ、走りはもはやライバルとは別次元!
となれば走行性能に対する期待が膨らむが、その走りは、一言で片付けるならライバル車とは次元が違う。完全新設計のエンジンはクラストップの38馬力を1万2500回転で発生するが、ストリートでも高回転・高出力型ゆえの低中回転域トルクの細さはない。ゼロ発進が楽で、6000回転も回っていれば、追い越し加速も充分で扱いやすい。
8000回転以下で余分にスロットルを開けると不協和音的な吸入音が結構な音量で響くが、それ以上の回転域ではスロットル開度に忠実に反応し、パワーの盛り上がりとシンクロしてメカノイズと排気音が高まってくる。この吸入音が気にならなくなる1万1000~1万3000回転あたりの弾けるようなパワー感はライバル車と決定的に異なり、43馬力時代のVT250Fにも似た豪快なフィーリング。現在の厳しい規制に適合させながら、ハッキリとした特性を持っている。
もう一つ、期待以上のパフォーマンスを見せてくれたのがハンドリング。コーナーの入り口では素直にバンクし、バンク角に関わらずフロントタイヤの接地感が高い。意図的な操作をしなくても素直に旋回するし、スパッと寝かせてスロットルを開けば前後タイヤが協力してグイグイと向きを変えていく。ステップのバンクセンサーが接地するような深いバンク角での安定感も文句なしに高く、フルバンク中にスロットルをオン/オフしても姿勢変化が少ないのでライン変更がしやすいことも特徴。これは標準装着タイヤがストリート向きのラジアルタイヤ、ダンロップGPR300で反応が穏やかということもあるが、サスペンション設定を含めた車体剛性が高過ぎず、峠道レベルの荷重に合っているからだ。
ルックスから漂うオーラ、厳しい規制の縛りを感じさせないパワーフィール、スポーツライディングの楽しさを堪能できるハンドリングを実感すれば、2気筒だの高価だのといった批判は的外れに思える。先入観を持たずに乗れば、新世代のRRに相応しいパッケージングに魅せられるはずだ。
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2065×725×1095㎜
ホイールベース 1390㎜
最低地上高 145㎜
シート高 790㎜
車両重量 165(ABSは167)㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 249㏄
ボア×ストローク 62×41.3㎜
圧縮比 11.5
最高出力 38PS/12500rpm
最大トルク 2.3㎏-m/11000rpm
燃料供給方式 PGM-FI
燃料タンク容量 14L
キャスター角/トレール 24度30分/92㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ310㎜ディスク・φ240㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 110/70R17・140/70R17
DETAIL
RIDING POSITION
低めにセットしたハンドルで車体とライダーの一体感を高めたポジション。だがグリップ位置はさほど遠くないので、シートの前側に座れば上体が起こせ、ストリートライディングでも窮屈さはない。シート高は標準的で、身長が160㎝程度あれば両足が接地する。