鼓動とゆとりを楽しむワイルドなスクランブラー!
SCR950は、クルーザーのボルトをベースとしたスクランブラー風のストリートモデル。フレームからエンジンまでボルトとほぼ共通で、車格はかなりの大柄だ。またタイヤサイズが変わって最低地上高が上がり、フロントのアライメントなどはクルーザーというより一般的なロードスポーツタイプ。
そんな手直しをされて生まれ変わったSCRのことを「クルーザーのような、のんびりとした走りだろう」と思う人もいるだろう。それはきっと間違いではない。だが、このSCR、ボルトよりいろいろ面白く変化した、なかなか個性的なキャラクターなのだ。
クルーザーのようなパルス感を楽しみながら、重心の低さと長さが活きて、外乱に強い安定性と、アメリカのスポーツクルーザーを越える身軽なフットワークを楽しめる。加えて、ボルトよりいくらか許容リーンアングルが深くなった。ビッグネイキッドのようなスポーティな走りをするには辛いが、それを除けば使い勝手もよく「クルーザーだから…」という前置きはいらない。普通にロードスポーツとして楽しめるのだ。
自然体で走りを楽しめる個性的で上質なロードモデル
最高出力は55PSだが、極低回転から非常にトルキーなエンジンは、トップ5速・60㎞/hから、スロットル操作に応えて自在に加速してくれる。トルキーな空冷Vツインのパルスを楽しみながら、交通の流れをリードし、流している400クラスのスポーツバイクなどよりずっと力強い加速をする。
そのまま加速しても、高速道路の法定速度をちょっと越えるペースくらいならイヤな振動は出ず、角が丸く、心地よいVツインならではのパルスを感じる事ができる。これはボルトから受け継いだ「良い遺伝」だ。
だが、ボルト同様、リアショックのストロークはオンロードモデルとしては少ない。大きなギャップを越えると大きく突き上げられる。基本的に大きな凸凹は苦手ということだ。しかし、その衝撃を乗り手にはあまり感じさせない。車体の重さも緩衝材になっているのだろうし、車体の中心部に近い場所に配された小さな2本ショックのボトム緩衝材がいいのか、意外にマイルドな感触だ。
このSCRは一般的な常用速度レンジを、エンジンをそれほど回さずに自在に走れる。その加速もなかなか強力で、ストレスを感じない。車格は大きめだが、クルーザーたちよりもずっと軽快で安定感もある。なので、街乗りから峠道のクルーズ、高速道路のクルーズといった、ゆったりとしたペースで長距離を走ることが大得意。13リッターという燃料タンク容量の少なさが玉にキズだが、ロングランでも疲れを感じにくい。周りの景色を楽しみながら気負わず、気楽に距離を伸ばせるのも大きな魅力なのだ。
あともうひとつ。このSCRはオシャレなストリートバイクとして、外観のデザインや造りが綺麗で上質。プライス以上のルックスなのも大きな魅力だ。
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2255×895×1170㎜
ホイールベース 1575㎜
最低地上高 145㎜
シート高 830㎜
車両重量 252㎏
エンジン形式 空冷4ストOHC4バルブV型2気筒
総排気量 941㏄
ボア×ストローク 85×83㎜
圧縮比 9.0
最高出力 54PS/5500rpm
最大トルク 8.2㎏-m/3000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 13L
キャスター角/トレール 29度/130㎜
変速機形式 5速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ298㎜ディスク・φ298㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 100/90-19・140/80R17
DETAIL
RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)
ボルトから生まれたにしては見た目の車格は小さくまとまっている。少しステップの左右幅の広さに違和感を感じるが、全体としては椅子に座っているような、リラックスしたポジション。クルーザー譲りの車体のおかげで足着き性は非常にいい。