ライバルの猛追を受けながら進化したロングセラー
2スト復権の先駆けとなったRZ250だが、日本国内で急速に盛り上がりを見せつつあり、RZ登場とほぼ同じタイミングに巻き起こった、RZが火をつけたともいうべき一大バイクブームの影響により、4メーカーが熾烈な販売競争、開発競争に突入。4ストながらRZ250のライバルとなったホンダVT250Fなどのライバルが登場してくる。これらに対抗して、RZ250はデビューから3年あまりしか経っていないのにも関わらず、後継モデルのRZ250Rへとモデルチェンジすることになった。
エンジンは基本的なレイアウトやボア・ストロークなどはRZ250から受け継いだが、市販レーサー・TZからフィードバックされた排気デバイスのYPVSを採用したことが大きな変更点。ポートの排気タイミングをエンジン回転数に応じて変化させることで、最高出力を43PSにまで引き上げつつ、フレキシブルさも両立。フレームもTZ風のダブルクレードルタイプを新設計、リアのモノクロスサスはリンク式にグレードアップ。さらにフロントブレーキのダブルディスク化、リアブレーキもディスク化など、車体まわりも大幅にグレードアップ。ビキニカウルを標準装備して、スタイルもよりレーシーにイメージを一新していた。
しかし、RZ250Rの登場と時を同じくして市販車初のアルミフレーム、フルカウルを備えたスズキRG250Γがデビューし、時代はよりレーサーに近い高性能を追求した本格的レーサーレプリカの時代へと向かっていく。続々と登場してくるレーサーレプリカのライバルに対して、RZ250Rは販売面でも、国内で盛んになっていたプロダクションレースでも苦戦を強いられるが、45PS化などの細かなモデルチェンジを繰り返しつつ販売を継続。そして1986年にはヤマハ初の2スト250レプリカ・TZR250の登場によって姿を消すかと思われた。しかしその完成度の高さからか、タンクの変更、シートレールの形状変更などの改良を施された上で、2ストスポーツのリーズナブルなベーシックモデルとして販売は継続。1988年に前後ホイールの17インチ化などの足まわりのリフレッシュを受けながら、最終的にはR1‐Zの登場のさらに後、1992年まで販売されるロングセラーモデルとなった。
DETAIL
YAMAHA RZ250R[1983] SPECIFICATIONS
エンジン型式 水冷2ストローク・ピストンリードバルブ並列2気筒
総排気量 247㏄
内径╳工程 54.0╳54.0㎜
圧縮比 6.4
最高出力 43PS/9500rpm
最大トルク 3.4㎏-m/8500rpm
燃料供給方式 キャブレター
変速機型式 常時噛み合い式6速リターン
全長 2095㎜
全幅 710㎜
全高 1170㎜
軸間距離 1385㎜
シート高 790㎜
乾燥重量 145㎏
キャスター 26°30′
トレール 99㎜
燃料タンク容量 20.0L
タイヤサイズ(前) 90/90-18
タイヤサイズ(後) 110/80-18