カウル装着でよりレーシーに変身
RG250Γ以降、続々と登場するライバルのレーサーレプリカたちに対抗するために、RZ250Rのバリエーションモデルとして1984年の2月に追加されたのがRZ250RRだ。外見上の大きな違いはRZ250Rのようなビキニカウルではなく、エンジンのサイドまでを覆った、まさに市販レーサー・TZ250のようなレーシーなイメージのカウルが標準装備されていることだろう。このカウルは、RZV500用のアッパーカウルと共通のものだ。さらにオプションでフルカウル化、シングルシート化もチョイス可能で、さらにレーシーさを強調することもできた。
改良されたポイントはスタイリングだけではなく、ポテンシャルの要であるエンジンにもその手は及んでいる。強制開閉式パワージェット付きキャブレターの採用と、ポート形状を見なおしたシリンダーという大きな改良によって、最高出力を当時の自主規制上限値ぎりぎり、ライバルたちと同じ45PSにまでパワーアップ。マフラーもよりチャンバー的なイメージの別体サイレンサータイプのデザインに変更されている。
足まわりでも、フロントブレーキキャリパーが片押しタイプから対向ピストンタイプへと変更されて制動力、コントロール性を改善。またメーターやカウルもRZ250Rのハンドルマウントからフレームマウントとなったために、フロントまわりの軽快感も大きく向上。その他にも機械式から電気式へのタコメーター変更、ウィンカー形状の変更、トップブリッジ上側にマウントされた、よりレーサー的なイメージのセパレートハンドル採用もこのモデルから。また通常のカラーバリエーションには存在しないカラーリングを採用し、さらにフルカウル&シングルシートが標準装備という、YSPショップのみでしか販売されなかった、限定2000台のYSP仕様モデルも存在した。
1992年まで長く販売されたRZ250Rとは異なり、このRZ250RRは1986年の本格的なレーサーレプリカであるTZR250のデビューでその役割を終えて、静かに姿を消していった。
YAMAHA RZ250RR[1984] SPECIFICATIONS
エンジン型式 水冷2ストローク・ピストンリードバルブ並列2気筒
総排気量 247㏄
内径╳工程 54.0╳54.0㎜
圧縮比 6.4
最高出力 45PS/9500rpm
最大トルク 3.5㎏-m/9000rpm
燃料供給方式 キャブレター
変速機型式 常時噛み合い式6速リターン
全長 2095㎜
全幅 670㎜
全高 1190㎜
軸間距離 1385㎜
シート高 790㎜
乾燥重量 165㎏
キャスター 26°30′
トレール 99㎜
燃料タンク容量 20.0L
タイヤサイズ(前) 90/90-18
タイヤサイズ(後) 110/80-18
DETAIL
YSP仕様も!
RZ250RRのYSP仕様は、スタンダードモデルには存在しない、白地に青いストロボラインというカラーリングが特徴。本来はオプションのアッパーカウル、シートカウルも最初から装着されているのもYSP仕様ならでは。