タンデムやロングランで快適さを堪能できるタフギア
250ロードスポーツはエントリーユーザーの支持が多く、アドベンチャーはベテランに人気。今回Vストローム250に試乗して伝わってきたのは、250スポーツとアドベンチャー、それぞれの魅力を両立させるための割り切った作り。現実的な使いやすさを優先しつつ冒険心をくすぐる装備を与え、独自のジャンルを開拓したという印象だ。

SUZUKI V-STROM 250
最高出力:24PS/8000rpm
最大トルク:2.2㎏-m/6500rpm
価格:57万240円
発売:2017年7月6日
ベースはGSR250シリーズのハーフカウル版「S」だが、今回ほぼ全ての外装パーツが専用品となり、タフなアドベンチャースタイルに大変身。イメージだけではなく、スクリーンやナックルカバー、キャリア、センタースタンドまで標準装備だから、そのままロングツーリングに出かけたくなるような、夢のあるパッケージングになっている。
割り切りの良さを最初に感じたのがライディングポジション。アドベンチャースタイルではあるが、ハンドル幅もシート高もネイキッドタイプのロードスポーツと変わらず、街乗りが楽。タンク後端とシート前端の幅を絞り込んであるのでニーグリップを効かせやすく、足着き性もいい。着座位置の自由度が高いので、長時間走行なら座面の広いシート後ろ側に座るとお尻も痛くなりにくい。
GSRベースのエンジンはスムーズさと低中回転域トルクの太さに定評があり、発進加速の力強さはクラスナンバーワンと言っていい。タンデムでもクラッチ操作やエンジン回転に気を使うことはないし、3速でも難なく発進できてしまうほど。
回転を上げていっても加速感は変わらず、回転上昇に応じてパワーが出てくる。街乗りなら4000回転台を使っていれば充分で、100㎞/hあたりまではスムーズに速度が乗る。6速・100㎞/hは最高出力発生回転数に近い約7800回転で、高速道路クルージングでもパワー不足は感じない。
スクリーンの効果も大きく、頭と両肩以外の上半身への風圧をしっかり遮ってくれる。ただし7000回転を超えるとハンドルとステップに出る振動が大きくなってくるから、快適速度は90㎞/hあたり。ここにも絶対的なパワーではなく、常用速度内での力強さを優先した割り切りが感じられる。
意外だったのはサスペンション設定。GSRのようにふんわり優しい乗り心地、と思いきや、前後とも張りのあるセッティング。街乗りの速度域では若干硬さを感じるものの、加減速による車体姿勢の変化が少ないのでビギナーでも扱いやすいし、キビキビ走らせることもできる。舗装林道のように荒れた路面を飛ばすとキックバックは大きめに出るが、二人乗りだと格段に落ち着きが増す。これもタンデムや長距離ツーリングで荷物を満載した際のバランスを考慮した結果だろう。
アドベンチャールックでも、中身はツーリング適性を高めたロードスポーツモデル。エントリーユーザーからベテランまで満足させる一台に仕上がっている。

昨年のデビュー以来注目を集めてきたVストロームシリーズの末弟、250がいよいよ国内発売となった! 扱いやすさ、使い勝手の良さはもちろん、タンデムにもロングツーリングにもガンガン使えるタフさも兼ね備え、250アドベンチャークラスの真打として堂々の登場だ。まずは早速さまざまなルートを走りながら、その実力を確かめていこう!


アドベンチャーツアラーのルーツと言うべき「DRビッグ」のイメージをフロントマスク周りに継承したスタイリングは、まさにVストロームシリーズのDNAと言える。
SUZUKI V-STROM 250 主要諸元
全長×全幅×全高 2150×880×1295㎜
ホイールベース 1425㎜
最低地上高 160㎜
シート高 800㎜
車両重量 188㎏
エンジン形式 水冷4ストOHC2バルブ並列2気筒
総排気量 248㏄
ボア×ストローク 53.5×55.2㎜
圧縮比 11.5
最高出力 24PS/8000rpm
最大トルク 2.2㎏-m/6500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 17ℓ
キャスター角/トレール 25度10分/100㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 110/80-17・140/70-17
DETAIL

クチバシ状のノーズがヘッドライトの前方に伸びるデザインは、DRビッグからずっとスズキが踏襲してきた、Vストロームシリーズ全車に共通するアイデンティティ。

GSX250Rと共通の軽量な液晶メーターを採用。見やすさに優れた反転表示や、シフトインジケーター、ハザードランプの標準採用など、ロングツーリングを安全快適にするための充実した機能が満載されている。

肉厚のシートはポジションの自由度を高めてくれる一体型。グラブバーを兼ねたリアキャリアは大きめの設定で、タンデムやツーリングに対する意識の高さをうかがわせる。

パニアケースなどのアクセサリーを装着することも視野に入れており、シート下のスペースはベースのGSRと同等。このクラスでは標準的なものだ。

メーターの左サイドには12V電源を確保できるアクセサリーソケットを標準装備。スマホやナビなど、ツーリング時の拡張性を視野に入れた嬉しいアイテムだ。
RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:60㎏)
高めのハンドルと座面の低いシートで上体はほぼ直立。ステップ位置が低めで、膝や腰への負担が少ないこともツーリング適性アップに貢献している。足着き性は抜群で、150㎝台のライダーでも安心して扱える。バックミラーの後方視界も素晴らしく良好だ。

