実用的でスポーツ性も兼ね備えた懐の深さ
『YZF』という車名に手強さを感じるライダーもいるだろうが、R25はスポーツライディング時の鋭さよりも市街地での扱いやすさ、クルージングでの快適さを重視し、これに俊敏さというスパイスを効かせたキャラクター。免許取り立てのライダーでも扱いやすく、サーキットでは本格的なスポーツランも楽しめる懐の深さが魅力だ。

ヘッドライト上部がオーバーハングした睨みの利いた表情やレイヤー構造のサイドカウル、そして切れ上がったテールまわりはYZF-Rシリーズならでは。YZR-M1のセンターダクトも受け継いだ。
走り出してすぐ実感するのは上質なハンドリング。動き始めがソフトでストローク奥でのダンピングを効かせた設定の前後サスペンションと適度なしなりを持つ車体の組み合わせで、どの速度域でもタイヤのグリップ状態がしっかり伝わってくる。スロットルを閉じて寝かし込んでいくときの素直で安心感のある一次旋回性と、スロットルを開けてリアに荷重が移ってからもう一度グッと曲がる二次旋回性はヤマハ伝統の味付けだ。
35PSの2気筒エンジンは実効パワーバンドが広く、ギアの選択をミスしても失速しない力強さが魅力。サーキットより峠道、峠道より市街地でその真価を発揮するタイプと言える。
扱いやすいエンジン特性、安心感のあるハンドリング、快適なポジションと足着き性の良さで、誰もがストリートコミューター適性の高さを実感できるが、プロダクションレースでの活躍が実証しているように、秘めたスポーツ適性は未だにトップレベル。エントリーユーザーからエキスパートライダーまでを満足させる1台だ。

主要諸元
●全長×全幅×全高 2090㎜×720㎜×1135㎜
●ホイールベース 1380㎜
●最低地上高 160㎜
●シート高 780㎜
●車両重量 167(ABSは170)㎏
●エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
●総排気量 249㏄
●ボア×ストローク 60.0×44.1㎜
●圧縮比 11.6
●最高出力 35PS/12000rpm
●最大トルク 2.3㎏-m/10000rpm
●燃料供給方式 FI
●燃料タンク容量 14L
●キャスター角/トレール量 25°00′/95㎜
●変速機形式 6速リターン
●ブレーキサイズ(前・後) ディスク・ディスク
●タイヤサイズ(前・後) 110/70-17・140/70-17
■価格:56万7000円/61万200円(ABS)
DETAIL

180度クランクの2気筒エンジンは“タンブル”と呼ばれる混合気の縦渦を燃焼室で発生させ、燃焼効率を向上。低中回転域での扱いやすさ、高回転域での高揚感を両立した。

ユニークな3角形形状の3段膨張式ショートマフラーを採用。リアサスペンションはリンクを廃し、そこにチャンバーをレイアウトしたことで、軽量化とマスの集中化を果たしている。

41㎜のインナーチューブ径はニンジャ同様で、今回比較している250スポーツ勢の中でもっとも太い。ブレーキはピンスライド片押し2ピストンキャリパーとφ298㎜真円ディスクの組み合わせ。

左右非対称のスチール製スイングアームに、中空式のアクスルでセットされるアルミ鋳造10本スポークホイール。リアサスは唯一リンクレスだが、イニシャル調整は7段階と充実している。
センターダクト風のデザインでYZF-Rシリーズらしさを主張するフロントマスク。コクピットもスポーティで、左に指針式のタコメーター、右にデジタル表示の速度計を配し、中央上にはシフトタイミングインジケーターも配置する。ギアポジションも表示可能で、機能面も充実している。

鋭い表情を演出する2眼逆スラントヘッドライトは、ロービームで左目、ハイビームで両目点灯。

フル反転液晶メーターパネルは、ギアポジション、平均燃費計、オイルチェン警告灯まで装備。

切れ上がった軽快なテールまわりに、被視認性に優れるLEDテールランプをV字に配備する。

RIDING POSITION(身長:176㎝、体重:60㎏)
SS的なデザインだが、ライディングポジションは意外なほどアップライト。小柄なライダーでも無理のない姿勢が取れ、低めのシート高により、160㎝程度の身長でも足着きに不安を覚えることはないだろう。


ライバル比較ガイド・250スポーツ
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