クラスをリードするクルーズ性能とダートでも安心感のある足回り
結論から言ってしまうが、アドベンチャーを「オンロードでの高い快適性と力強い走り、そしてダートもそこそこ行けるバイク」という視点から評価するなら、このヴェルシス―Xはクラスで頭ひとつ抜けている。ライバルがトレールバイクやロードモデルがベースなのに対し、ヴェルシスは専用設計フレームを採用。完成度も非常に高いのだ。
高速道路でのクルージング性能はクラスを超えたもので、33馬力を発揮する先代ニンジャ譲りのパラレルツインと剛性の高いシャシーで、ライバル車より高い速度域をキープして走り続けることができる。トップ6速での100㎞/h巡航は7800回転で、これは同じ並列2気筒モデルのV―ストロームとほぼ同じ。もちろん250ccゆえ、ここからの加速はビッグバイクのようにはいかないが、高回転域でもまだまだ元気に伸び続け、いつの間にか巡航速度はハイペースになる。ウインドプロテクションやロングランを想定した硬めのシートも秀逸で、400クラスなみの車格が落ち着きのある走りを生み出している。
ノイズの少ないオンロード寄りのタイヤや元気はつらつとしたエンジンは、ワインディングでも軽快な走りをもたらす。ボリュームを感じさせないキビキビとしたハンドリングで、急激なシフトダウンでもリアタイヤのホッピングを防ぐアシスト&スリッパークラッチの搭載も頼もしい。軽いクラッチは、ストップ&ゴーを繰り返す街乗りでもありがたい。
フロント19インチはオン/オフのバランスがとれていて、ダートへ向かう途中に出くわす、苔むしていたり、アスファルト上に濡れた落ち葉や土砂がたまっている、荒れた舗装林道でもハンドリングが穏やか。想定外の未舗装路にも対処できる安心感がある。舗装路では滑らかに動いた前後サスペンションは、ダートでは若干の硬さを感じるが、それでもロードバイクよりずっとよく動き、フラットダートならアクセルをどんどん開けて突き進める。大柄な車体で低速トルクも薄めなので、シングルトラックや狭い場所でのUターンは苦手だが、広いフィールドならダートも肩の力を抜いて長い距離を走り続けられるだろう。テクに自信があれば、脇にある細い林道にも果敢に入っていける。
アドベンチャーというカテゴリーに求められる要素を250ccクラスで満たした、称賛に値する1台だ。
■Specifications※( )はTOURER
全長×全幅×全高 2170×860(940)×1390mm
ホイールベース 1450mm
最低地上高 180mm
シート高 815mm
車両重量 175(183)kg
エンジン形式 水冷4 ストDOHC4 バルブ並列2 気筒
総排気量 248cc
ボア×ストローク 62×41.2mm
圧縮比 11.3
最高出力 33PS/11500rpm
最大トルク 2.2kg-m/10000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 17L
キャスター角/トレール 24.3 度/108mm
変速機形式 6 速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ290mm ディスク・φ220mm ディスク
タイヤサイズ 前・後 100/90-19・130/80-17
Details
Riding Position<身長:175 cm 体重:64 kg>
ライディングポジションにもゆとりがある。ラバーマウントのハンドルは広めでダートでも操
作しやすい。シートは座面が大きく、硬めのクッションがゆえに長距離も疲れない。両足を地
面に出すと、カカトは若干浮く。
写真/南 孝幸
※記事は『オートバイ 250&125cc購入ガイド2018』より
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