ヤマハの意気込みを感じる使い勝手の良さ
リバーストライク(前2輪、後1輪)構造が生む抜群の安定性と高い制動力が優れたコミューター適性を発揮し、加えてオートバイらしい旋回性も備えているのがトリシティ。14年の発売以来、着実に支持者を増やしているが、18年モデルはエンジンから車体に至るまで大きなアップデートを受けた。
エンジンは吸気バルブ作動を切り替えるVVA(可変バルブ機構)付き4バルブに進化。クラッチのミートタイミング、オートマチック変速の最適化で、発進加速性能は12馬力・約160㎏という数値からは想像できないほどスムーズで力強い。80㎞/hを超えると速度の伸びが鈍化するが、高速道路を走るわけではないし何ら不満なし。ストリートにぴたりと合わせた変速セッティングだ。
車体は兄貴分の155とほぼ共通となり、直進安定性と切り返しの反応が向上。引き換えに極低速域でのハンドリングが前モデルより重く感じるが、トリシティのユーザー層と使われ方を考えれば、機敏さよりも安定性を重視した新型がマッチしている。
グレードを高めたリアサスペンションユニット、ゆったりした足元スペースで快適さも高まったし、約23Lの大容量シート下スペースに加えてヘッドライトのLED化、12V電源ソケット内蔵の小物入れの装備で実用性もアップした。ヤマハのLMWモデルに掛ける意気込みが、現実の使い方の中でユーザーに実感できる仕上がりだ。
SPECIFICATIONS
●エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ単気筒
●総排気量:124㏄
●最高出力:12PS/7500rpm
●最大トルク:1.2kg-m/7250rpm
●車両重量:159/164(ABS)kg
●燃料タンク容量:7.2L
●シート高:765㎜
●タイヤサイズ(前・後):90/80-14・130/70-13
Details
RIDING POSITION 身長:176㎝、体重:60㎏
シート形状の工夫によってシート高が前モデルより15㎜も低くなり、小柄なライダーでも不安なし。着座位置の自由度も大きく、タンデムライディングでも窮屈さはない。
写真/赤松 孝