扱いやすさはそのままに機敏なフットワークに進化!
新型MTー07の変更点は、ヘッドライトとシュラウドまわりが新デザインになったのと、前後の足回りを一新したこと。エンジンやフレームに変更はない。コトバだけだと従来型をそのまま正常進化させただけのようだが、これが大違い。新しいサスの味付けが大幅に違っていた。
07はコンパクトで、まるで400クラスの車格。そして軽く、ミドルクラスでありながら、小柄なライダーにも容易に取り回せる。パラツインエンジンは73PSを発揮。動力性能は900㏄クラスに迫るほど強力だ。常用域での乗り心地の良さもすばらしく、かなりスポーティな走りまでこなせる足回りを持っている。ハンドリングにもクセがなく、強力な旋回性や安定性をバランスよく発揮。扱いやすさもこのクラスの中で秀でており、ワンパクな兄貴分の09とは大違い。こういった「使える動力性能」が07の魅力だ。
今回試乗した18年型の足回りはかなりスポーツ性を意識した性格。これまでより強いバネとダンパーがセットアップされており、前後サスとも乗り心地がいくらか硬くなっている。だが、切り返した後にすぐに旋回力を発揮するようになっていたり、荒れた路面での接地性が、先代モデルと比べ格段に良くなっていたりする。コレがスゴい。切り返しの軽さでなく、身のこなしが機敏。凸凹した路面でリーンさせている時など、これまでのモデルではまず滑るか、跳ねてラインを外へ向けるようなベースでも、思いどおりのラインに乗ってくれる。
決して神経質になったわけではない。エンジン、ハンドリングの扱いやすさはこれまで通り。ただ、強引な操作を含め、スピーディな動きができるようになったのだ。薄っぺらい言い方だが、結果、より速く走れるようにもなっているということ。スポーツライディングを楽しめる速度レンジが速い方に広がり、これまでより多くのパワーをコーナリング中に使えるようになったと思えばいい。
ただ、MTー09のSTDとSPほどの大きな違いではない。今回の07の進化は、スポーティな足回りになったことで、いくらかワンパクな性格のバイクへシフトしたのだ。それでいて、従来通りの扱いやすさや、ハンドリングバランスの良さをキープしてくれているのが新型07の光るところだ。
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2085×745×1090㎜
ホイールベース 1400㎜
最低地上高 140㎜
シート高 805㎜
車両重量 183㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 688㏄
ボア×ストローク 80×68.5㎜
圧縮比 11.5
最高出力 73PS/9000rpm
最大トルク 6.9㎏-m/6500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 13ℓ
変速機形式 6速リターン
キャスター角/トレール量 24度50分/90㎜
ブレーキ形式 前・後 φ282㎜ダブルディスク・φ245㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・180/55ZR17
DETAIL
RIDING POSITION(身長:176㎝、体重:68㎏)
身長176㎝のライダーが跨がるとコンパクトさが際立つ。小柄なライポジだが、ステップが少し前に配置されているので、ヒザへの負担が少なく、制動時に下半身のズレを抑えやすい。街中から峠道まで使い勝手がいい。
写真/南 孝幸