優しいトルクを楽しみながら「旅」を楽しむ頼れる1台
ロイヤルエンフィールドと言えば、名車「ブリット」のメーカーというイメージが強い。今なお生産されるブリットは正真正銘のクラシックバイク。そのオーラは強烈で、根強いファンがいる。
そんなロイヤルエンフィールドのニューモデルがこのヒマラヤン。「本気」を感じさせる様々なガード類、タイヤもオフ指向の強いピレリのMT60。サスはオフ車みたいにソフトで、伸び側のストロークも長め。ストリートモデル中心のロイヤルエンフィールドにあって、これはかなりキャラが違っている。
ロイヤルエンフィールドのエンジンはほとんどがOHVだが、これはOHC。排気量は411㏄なので普通二輪免許では乗れないが、最高出力は最新の250クラスと比べても低めの約25馬力/6500回転。
やはりアドベンチャーの雰囲気を楽しむファンバイクなのか、はたまた、ドコでも走れるホンモノのアドベンチャーなのか? 試乗してみると、色々なパートがこれまでのロイヤルエンフィールドとは異なっていた。
エンジンの回り方はまさしく現代のバイク。2000回転まではトルクの波動が車体を揺らし、大排気量車のよう。これはロイヤルエンフィールドらしい部分。だが、3000回転を超すと、ほとんど振動はなく滑らか。スローに走れる限界は4速だと2000回転あたりで40㎞/hほど。トップ5速でもドコドコと回るが、実用的なトルクを発揮するのは、速度で言うと60㎞/hあたりから。強烈な瞬発力や伸びやかなパワーではないが、優しく十分に実用的で、味もある。
得意なのはのんびり流すような走りだ。エンジンだけでなく、ハンドリングにも趣がある。なにしろ、タイヤ、ホイール、サスまでもが柔らかい。機敏ではないし、節度もカッチリというわけではないが、大きな車体を軽い操作で思い通りに動かせる。
ダートに入ると、また別の表情を見せる。4速40㎞/hで自由に流せるトルクがあり、車体もムダにはねたりしないので、結構乗り心地がいい。3速ならかなり速度を落しても粘りながら走れるし、2速でエンジン回転数を上げて走れば快活な機動もできる。
ヒマラヤンは、あまり荒れてないダートなら、なかなかの走りを楽しめるモデル。スポーティというわけではないが、従順で思い通りに使いこなせる。趣のある、タフで頼れるツーリングバイクだ。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2190×840×1360㎜
ホイールベース 1465㎜
最低地上高/シート高 220㎜/800㎜
車両重量 185㎏(半乾燥)
エンジン形式/総排気量 水冷4ストOHC2バルブ単気筒/411㏄
ボア×ストローク/圧縮比 78×86㎜/9.5
最高出力 24.5BHP/6500rpm
最大トルク 3.2㎏-m/4250rpm
燃料供給方式/燃料タンク容量 FI/15L
キャスター角/トレール量/変速機形式 NA/NA/5速リターン
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 90/90-21・120/90-17
DETAILS
PHOTO:赤松 孝