幾多の名車・ヴィンテージが生まれた昭和と
技術革新でオートバイが急速に進化を遂げた平成。
しかし、もうすぐ新元号。新しい時代に突入する前に
歴史に残る名車烈伝をお送りします。
いつまでも忘れない、今でも乗りたい珠玉の名車たち。
いつまでも色あせない永遠の名車の条件
昭和44年にホンダ・ナナハンが登場して以来、日本にも出来上がったビッグバイクマーケット。打倒ナナハンを狙ったZ1に続き、スズキはGSを、ヤマハはXSを発表し、これで国産4メーカーの4気筒ビッグバイクが出揃うことになる。いわば、これが1巡目。
2巡目のトップバッターはカワサキだった。GPZ1100で一巡目を終えた時、Z1の903㏄は1089㏄となり、82PSだった出力は120PSへ、そして230㎏だった車重は260㎏にまで巨大化してしまった。
新世代の世界最速バイクを作ろう——その思いでスタートしたのがGPZ900Rニンジャ! 出力との兼ね合いで難しくなったエンジン冷却に水冷方式を選び、排気量はまさかの900㏄。これは多分にZ1の再来を意識したもので、カワサキはこの「Z1の再来」のロードスター発表に、Z1と同じアメリカ・ラグナセカサーキットを選んでいる。
水冷エンジン、アルミシートレールを使用したダイヤモンドフレーム、アルミスイングアーム……。最高速245㎞/h、ゼロヨン10秒を軽々とマークするニンジャは一足飛びに時代を進めたのだ。
ニンジャは旧世代の空冷巨大エンジン〜カタナ、Z、CBたち〜を一瞬のうちに抜き去った。ここから、ビッグバイクスポーツも戦争状態に入るのだけれど、後発のライバルに性能面で遅れをとっても、ニンジャの輝きは色褪せなかった。これぞ、ナナハン、カタナ、そしてZ1と共通する名車の条件である。
PHOTO:長野浩之