ホンダ好きの有志でつくった「BIG-1」
CB1000スーパーフォアが初公開された1991年近辺は、オートバイ人気に非常ベルが鳴り響いていた時代だった。
その頃まで市場人気を引っ張っていたレーサーレプリカモデルの勢いに陰りが見え始めていた頃。メーカーもファンも「次の新しいもの」を探していたのだ。
そこでホンダが提案したのが、ホンダらしい並列4気筒エンジンのスポーツバイク。なにしろ当時のホンダは、当時国内最大排気量の750㏄クラスにヒット商品を持たず、90年にはVFR750F、アフリカツイン、PC800しかラインアップがなかった。スティード600とBROS、という時期さえあったほどで、とても「ナナハン」を創出したメーカーの商品群とは思えなかった。何せ、並列4気筒モデルが見当たらなかった!
そんな状況を打破するべく、社内有志が立ち上がった。通常マーケティングからスタートするはずの新型車の開発を「ホンダは4気筒! 魅力あるスポーツバイクを作りたい!」というエンジニア発信で始めたのだ。ホンダらしい堂々としたスタイリング、並列4気筒、新しい基準となる1000㏄エンジン—そうして出来上がったのが、実にホンダらしい、CBシリーズの血統を感じさせるCB1000スーパーフォアだった。
CB1000SFはその後、1300㏄にスケールアップして今も健在。あれから四半世紀。新世代のCB1000Rは、新しいホンダの顔になれるだろうか—。
PHOTO:松川 忍