レッドゾーンまで回してみれば、4気筒ならではの気持ち良さと走りを楽しめる!

今、欧州市場では600㏄のスーパースポーツに代わり、それより排気量が少し大きい2気筒のスポーツモデルが注目されてますよね。カウルの付いているCBR650Fと、そのストリートファイター仕様とも言えるCB650Fは、それらの2気筒スポーツモデルと競合する商品ですが、やはり「4気筒搭載」と言うのは大きなセールスポイントになると思います。

もしCBRとCB650Fが2気筒だったら、僕はあまり興味ないというか、欲しいとは思わないかもしれません。男は黙って4気筒! でしょう(笑)。なんでそう言うの? と聞かれることがありますが、やっぱり若い頃に4気筒に乗って覚えた感動が、脳裏に刻まれているんでしょうね。

当時17歳か18歳のとき、僕が初めて乗った4気筒は、80年代のホンダCBX400Fでした。あのエンジンは本当に最高でしたね……。エンジンの回り方がスゴかった。まるでクラッチが滑っているみたいにブワーっと吹け上がる。あれは気持ち良かった。上の回転域でグーンと吹け上がるんですよ。

画像: ホンダは4気筒ならではの魅力をもっと強くアピールしても良いのではないでしょうか。(伊藤) 「OEMタイヤとのバランスは良いですが、ハイグリップタイヤを試してみたくなるシャシーとエンジンですね」とは伊藤さんのCB650F評。前号のNC750Sには劣るものの、2名乗車で31.5㎞/Lの燃費性能も好印象。

ホンダは4気筒ならではの魅力をもっと強くアピールしても良いのではないでしょうか。(伊藤)
「OEMタイヤとのバランスは良いですが、ハイグリップタイヤを試してみたくなるシャシーとエンジンですね」とは伊藤さんのCB650F評。前号のNC750Sには劣るものの、2名乗車で31.5㎞/Lの燃費性能も好印象。

あの頃は峠に通いましたが、ナナハンと競るときはV4のVF400Fを借りて乗りました。確か53馬力くらいでしたっけ? あれは速かったですね。CBXは速さではVFに劣っていましたが、エンジンは素晴らしかったです。CBXはワープするみたいに上で伸びるのですが、そのあとのCBR400FにはCBXで感じたあの感動はなかったですね。

ちょっと昔話が長くなってしまいましたが(苦笑)、このCBR/CBの650㏄エンジンもレッドゾーンまで回してみると、4気筒ならではの気持ち良さがあります。スロットルを開けて、上の回転域を使って走るのが楽しいオートバイだと思います。

650〜700㏄のクラスは世界的に販売の激戦区だと思いますが、エンジンにコストがかかっていて、高回転域の活き活きした走りを楽しめる4気筒ということを、ホンダはもっと強くアピールして良いんじゃないかと思います。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高:2110×780×1075㎜
ホイールベース:1450㎜
シート高:810㎜
車両重量:208kg
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:648cc
ボア×ストローク:67.0×46.0㎜
圧縮比:11.4
最高出力:90PS/11000rpm
最大トルク:6.5kg-m/8000rpm
燃料タンク容量:17L
キャスター角:25゜ 30′
トレール量:101㎜
タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・180/55ZR17
ブレーキ形式(前・後):φ320㎜ディスク・φ240㎜ディスク
価格:価格:92万3400円

重厚感のある足まわりのセッティングと4本のエキパイが見えるネイキッドスタイルが魅力

スーパースポーツのCBR600RRほどの高回転エンジンではないですけれど、CB650Fのエンジンは50㏄排気量が上がっている分トルクもあって、使い勝手の良い4気筒エンジンだと思いました。CBR1000RRは別格ですけど、レーサーベース以外の4気筒モデルの中では、ホンダ車で今一番良い4気筒かもしれませんね。一番良い、と言うと他の4気筒車担当している開発者の方からお叱りを受けそうですけど……。

CB1300系やCB1100系はちょっと乗り出すときに気合がいると言うか、650系よりは気軽には乗れる感じではないです。あとホンダにはCB400SF系がありますが、やはりヨンヒャクはヨンヒャク……で物足りなさがある。CB400SFは新型になりましたが、どんな仕上がりか、早く乗って試してみたいとは思います。その点で650はヨンヒャクの4気筒のような線の細さは感じないし、リッタークラスの4気筒のように乗り出すときに気後れすることもない。650は必要にして十分な排気量だと思いました。

画像1: 重厚感のある足まわりのセッティングと4本のエキパイが見えるネイキッドスタイルが魅力

重厚感のある足まわりのセッティングと4本のエキパイが見えるネイキッドスタイルが魅力

過去の連載でCBR650Fはテスト済みですが、CBRとCB650Fでは、スタイリングとしてはCBの方が好みですね。CBRにはカウルが付いていますが、ウィンドプロテクション効果が際立って高いというわけでもないので、それならばネイキッドスタイルのCB650Fで良いかな、という選び方ですけど。カウルが付いていないことで、凝ったデザインのエキゾーストパイプがよく見えるというメリットも、CBの方にはありますね。

前回の連載ではネイキッドのNC750Sに乗りましたが、NCの69万120円〜の価格に対してCBは92万3400円なので、ちょっと高いなという印象が試乗前にはありました。でも、実際に跨ってみてちょっと走っただけで、CBの方がずっと高級だなと思いまし

フロント側はどちらもショーワ製デュアルベンディングバルブフォークを採用していますが、Cbの方が作動感が良いんですよね。CBとNCではフォークスパンやサス設定、そしてスイングアームなどリアまわりとのマッチングなどが違うわけですが、Cbの方が乗っていて高級感を実感できます。だから、両車の価格差も納得できましたね。

画像2: 重厚感のある足まわりのセッティングと4本のエキパイが見えるネイキッドスタイルが魅力

グリップ特性がより良いタイヤを履いて峠道などで試してみたいですね(伊藤)

北米市場以外、CBR600RRは継続販売されず廃盤になりましたが、それの代替となるモデルとして考えれば650系の90万円越えという価格も高くはないとのかもしれません。CB650Fの操縦安定性は、NC系と比べると明確にスーパースポーツ系のそれですね。前から回り込んでいくハンドリングで、アルミのスイングアームもいい仕事をしています。 欲張った考えですけど、フレームがスチールじゃなくて高剛性のアルミフレームだったらな、と思ってもしまいました。かつてのCBR600Fも最初は鉄でしたが、F4からはアルミフレームになって走りが良くなりましたよね。まぁそうするとコストが高くなって、コストがかかっている4気筒だと更に高額な価格になってしまうので、難しいのはわかりますけど。

画像: 今回のCB650Fのテストは、伊藤さんの地元宮城の定番ツーリングコースのひとつ、女川コバルトラインで実施。なお夜は、"国分町6時間耐久呑み会"が開催されました(笑)。

今回のCB650Fのテストは、伊藤さんの地元宮城の定番ツーリングコースのひとつ、女川コバルトラインで実施。なお夜は、"国分町6時間耐久呑み会"が開催されました(笑)。

気になったのは、ステアリングの切れ角が意外と少なくて、最初にUターンを試したとき思いのほか小回りできなくてちょっと驚いてしまいました。ウィリーしたり、振り回すような走りをするストリートファイターのスタイリングなので、その見た目のイメージとのギャップなんですけどね。もう少し補機の取りまわしやハンドルストッパーを追い込めると思うので、切れ角を増やしてもらえたら良いなと思います。

以前もこの連載でお話したと思いますが、馬力はあればあるだけ良いと思っていますけど(笑)、CBの90PSという最高出力は十分なものですね。カウルがないので高速道路を高速で巡航するようなモデルではないですが、大排気量車と一緒にツーリングに行っても遅れをとるようなことはないです。CBR1000RRは公道でその高性能を使い切ることはできないですけど、それに比べればCB650Fは使い切れる馬力、という感じで、刺激もあるのが良いです。

もし自分がCB650Fのオーナーになったら、使い方は街乗りメインで、気ままに峠とかに走りにいく、という感じになるでしょうかね? このシャシーとエンジンなら、もっとハイグリップなタイヤを履いても十分イケると思うので、ぜひタイヤを交換して試してみたいな、と思いました。CB650Fはそういう楽しみ方もできるスポーツバイクですから。

画像: フロントフォークとブレーキのフィーリングが良い、と伊藤さんはCB650Fの走りを評価。ただ、クラッチをミートさせるときに「クンッ」と繋がるフィーリングは、ちょっとお気に召さなかった様子でした。

フロントフォークとブレーキのフィーリングが良い、と伊藤さんはCB650Fの走りを評価。ただ、クラッチをミートさせるときに「クンッ」と繋がるフィーリングは、ちょっとお気に召さなかった様子でした。

HONDA CB650F <ABS>

画像: HONDA CB650F <ABS>
画像: 最小回転半径は2.8mだが、ハンドル切れ角は見た目の印象より少ないのが伊藤さんはちょっと気になったそうだ。「もうちょっとハンドル切れると、ジムカーナ的な走りがもっと楽しめると思いますよ」とコメント。

最小回転半径は2.8mだが、ハンドル切れ角は見た目の印象より少ないのが伊藤さんはちょっと気になったそうだ。「もうちょっとハンドル切れると、ジムカーナ的な走りがもっと楽しめると思いますよ」とコメント。

画像: コンパクトなバイザーの背後にマウントされるメーター。「CBR650Fの回のときも取り上げましたが、二眼式とも言えるこのメーターのデザインは面白いですね」。

コンパクトなバイザーの背後にマウントされるメーター。「CBR650Fの回のときも取り上げましたが、二眼式とも言えるこのメーターのデザインは面白いですね」。

画像: 「エキゾーストパイプが綺麗ですが、バランスを考えるとラジエターもカバーなどで綺麗に見せると、もっと良いかも」と伊藤さんは指摘。

「エキゾーストパイプが綺麗ですが、バランスを考えるとラジエターもカバーなどで綺麗に見せると、もっと良いかも」と伊藤さんは指摘。

大関さおりのタンデムレポート!

今回は高速道路からワインディングまで、幅広いシチュエーションでタンデムさせて頂きましたが、ヒザの曲がり角度も窮屈ではないし、テールカウル横にグリップもあったので、伊藤さんに密着しない状態でも、不安は感じませんね。シート形状自体はタンデムシートの部分がちょっと高いですが、座った印象だと、そんなに腰高な印象はありませんでした。座り心地も上々でしたよ。

画像: 大関さおりのタンデムレポート!

写真:松川 忍

公式サイト

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