唯一無二のカスタムルックだけではなく
1200スポーツならではの力強い走りも魅力!
飾り気のないサドルシートに腰掛け最初に感じるのは、車体が見た目以上にコンパクトであること。低重心で両足が地面にベッタリ踵まで届き、取り回しに不安を感じることはない。
この安心感は女性やビギナーには大きな魅力だろう。
とはいえ、エンジンは1201㏄もある。
両脚で抱え込むようにしたVツインに目をやると、スリムな車体からシリンダーヘッドやプライマリーチェーンケースが溢れんばかりにはみ出し、大排気量車であることが改めてわかる。フレームにラバーマウントされ、アイドリングで小刻みに震えるロングストロークエンジンは迫力があって、見ていて飽きない。
エンジンは大きいが車体はナローに見せるというこの手法は、ハーレーのカスタムでは定番のひとつだ。
「チョッパー」もそうだが、フロントフォークを寝かせたりエイプバーを用いないフォーティーエイトの場合は少し異色で、ワイドフェンダーや太いタイヤでボリューム感をアピールする「ファットカスタム」ともやはり違う。
そういう意味ではまったく新しいスタイルを提案していて、これがユーザーに受け入れられている。
ディーラーで聞けば、2011年モデルでラインアップに加わって以来、引っ張りダコの人気だとか。どのジャンルとも言い切れない、唯一無二のスタイルが人気の秘密のようだ。
スタイルばかりではない。走らせても、他のモデルでは味わえない独特の乗り味がある。
まず、ハンドリングにクセがあり、コーナーで寝かし込むにはエイヤッと体からイン側に入る感覚が求められ、これがまた面白い。
車体は軽いし、前後16インチの足まわりはそもそも接地感があって旋回性に優れるから、車体が傾き出しさえすればオンザレールで安定したコーナリングとなる。
ただし、バンク角とサスペンションストロークには、物足りなさを感じがちに。これから向きを変えていこうとするところでバンクセンサーが路面を擦ってしまい、ひと筋縄ではいかない。大きな段差を乗り越えたときもフルボトムを感じ、踏ん張りきれないダンパーがもどかしい。
これをどう捉えるかは乗り手次第で、これもまたフォーティーエイトの醍醐味と割り切れば楽しさが増す。
ハーレーのモデルは全般的にそうだが、国産スポーツバイクの評価尺度と見方を変える必要があるのだ。
エンジンはクラッチをミートさせる極低速から力強く、ワイドレンジだから神経質さのかけらもない。
2000rpmも回っていれば加速力に不足はなく、街乗りやツーリングで多用する常用回転域(1800〜3500rpm)でじつに扱いやすく、スロットルレスポンスも充分にクイック。
気軽に乗れるフレンドリーなキャラクターは街乗りメインで、週末には少し遠出。そんな使い方が見えてくるが、これこそ多くのユーザーのバイクライフ・スタイル。
日本国内でのハーレー一番人気、つまり輸入車ナンバーワンであり続ける理由が、乗り込むほどにわかってきた。
SPECIFICAITON
全長×全幅×全高 2200×850×1060㎜
ホイールベース 1530㎜
シート高 710㎜
車両重量 250㎏
エンジン型式 空冷4ストOHV2バルブ V型2気筒 (Evolution)
最大トルク 8.87㎏-m/3750rpm
総排気量 1201㏄
ボア×ストローク 88.9×96.8㎜
燃料タンク容量 7.9ℓ
レーク角/トレール 30度/107㎜
変速機形式 5速リターン
ブレーキ形式 前:ディスク 後:ディスク
タイヤサイズ 前:130/90B16 後:150/80B16