そのC125をストリートからショートツーリングまで、様々なシーンで実力をチェック。メカニズムや装備も含めて、C125をあらゆる角度から検証するぞ!
さらに完成度を高めた上質さとゆとりの走り
日本経済が飛躍的に成長を遂げた戦後高度成長時代の真っ只中である1958年に登場したスーパーカブ。
その経済成長を支える商工業の移動手段として、また、通勤通学の足として、洒落っ気のあるコミューターとして、それからの時代背景を反映しながら様々な形で愛されてきた。
そして新たに登場したC125は、初代から受け継がれてきたライダーフレンドリーなキャラクターに現代にマッチする付加価値を溶け込ませ、新時代のコミューターとして作り込まれている。
ベースになっているのは現行モデルのスーパーカブ110だが、外装パーツの多くが専用デザインされているため、エレガントまたはラグジュアリーといった形容詞がキレイに当てはまる雰囲気。それだけにスーパーカブ110との走りの違いも気になるはずだ。
エンジン自体はグロムやモンキー125に搭載されているものと基本的に共通だが、スーパーカブらしく変速機構は自動遠心クラッチに4速ロータリー式ミッションという組み合わせ。
自動遠心クラッチは構造的にシフト操作のタイミングが遅れると「ガション!」といった大きめの音とショックが出てしまうが、C125はこれらが小さく、滑らかなシフトフィール。これならタイヤやドライブチェーンといった消耗品や、エンジン内部の駆動系パーツの負担も減るだろう。
エンジンノイズ自体も水冷かと思うぐらい静かで、走行中の共振音も抑えられているから、スーパーカブに付きものだった動力系のガチャ付き感はほぼ解消されている。
しっとり快適な乗り心地に実用的メリットをプラス
スーパーカブC125のパワーフィールは、同系エンジンを搭載するグロムと同様に低回転からスムーズに一定の加速感を保つタイプで、自動遠心クラッチとの相性は良好。
高回転まで引っ張ってもパワーの盛り上がりは希薄だが、C125の穏やかなキャラクターにマッチしていてネガティブな印象は受けない。
最も感心したのは乗り心地の良さ。スーパーカブシリーズは荷物の積載やタンデム(アセアン地域では3人乗り、4人乗りも珍しくない)を考慮してサスペンションを硬めに設定しているため、1名乗車時は段差通過時の突き上げが大きいが、C125はサスペンションストロークを伸ばして柔らかめのスプリングをセットしてあり、リアはダンパーもしっかり効いているので、1人乗りでもしっとりと快適な乗り心地になっている。
熱心なスーパーカブファンからはキャストホイール+ディスクブレーキという装備に違和感を覚えるという声もあるが、好みを別にすればC125の魅力を削ぐものではない。
むしろパンクに強いチューブレスタイヤを採用できたことによる実用的なメリットを喜ぶべきだし、多様な状況下で確実な制動力を発揮するディスクブレーキも車格や速度域、安全性を考えれば納得できる装備であるのだ。
「カブのようでカブじゃない」動力性能とハンドリング、「カブそのもの」のオリジナリティあふれる存在感がC125の魅力。
タイでは若いライダーに人気らしいが、国内でもスーパーカブを知らない新規ユーザーを獲得しそうだ。
文:太田安治・編集部/写真:南 孝幸
〈主なスペック〉
全長x全幅×全高:1915×720×1000㎜
ホイールベース:1245㎜
シート高:780㎜
車両重量:110㎏
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量:124㏄
ボア×ストローク:52.4×57.9㎜
圧縮比:9.3
最高出力:9.7PS/7500rpm
最大トルク:1.0㎏-m/5000rpm
燃料供給方式:PGM-FI
燃料タンク容量:3.7L
最低地上高:125㎜
変速機形式:4速リターン
ブレーキ形式 前・後:ディスク・ドラム
タイヤサイズ 前・後:70/90-17・80/90-17
メーカー希望小売価格:税込39万9600円