イグニッションON! まずはクラッチの使い方を知る!
エンジンをかけてもいきなりアクセルは使いません!
まずは半クラッチのトレーニングとしてアクセルを使わずに発進と停止を行ないます。
10mほどの短い距離から始めて、だんだん距離を伸ばし2速に入れて、止まる。
半クラッチのトレーニングは多くのバイクスクールが取り入れている、いわば必須共通科目。クラッチの意味を理解することが上達への近道となるのです。
長く乗っている方でも、意外といい加減な操作をしている人は多いと聞きました。美環ちゃんのように「基本をおさらいしたい」という方にもおすすめできるでしょう。
半クラを思い出したのち、慣熟走行となりました!
久しぶりにバイクに乗る緊張感はまだ少し残っていますが、みなさんそれよりも楽しさを感じている印象です。
続いてブレーキのレッスンに移ります。自分がどれくらいの距離で止まれるかを自己判断した後に、決められた位置に的確に止まる練習をします。スピードの指定はなく、パイロンで作られたラインの手前にピタリと止まるトレーニングです。
回数をたくさんこなせるように、ここで2グループに分かれました。そしてこのレッスンの新たな魅力に気づきました。
インストラクターが多い!
1人当たりに付くインストラクターの人数が、おそらくどこのバイクスクールよりも多いのではないでしょうか。この日はだいたい、参加者3人にインストラクター1人の割合で付いていました。
その分、もらえるアドバイスの量も増え、上達は早くなります。
アドバイスは丁寧かつ的確、そして口調がとっても柔らかい。
レッスン後、美環ちゃんにどんな内容の話していたのか聞くと「いっぱい褒めてもらいました!」とのことです。
美環ちゃんが上手いからというわけではありません。スピーカーマイクから聞こえてくる内容は、半分以上が誉め言葉。
やっぱり褒められながら成長したいですよね。県内で1~2番に厳しいと評判だった教習所にうっかり通ってしまった筆者は何だか羨ましく感じました……。
さて、ここまでで開始から約2時間、15分の休憩となります。
だいぶ慣れてきたところで複合的な内容に移りました。直線からスタートし加速、ブレーキをしっかりかけてコーナーへ。それを止まらずに外周をぐるぐる回ります。
慣熟走行のときとはちがい、みなさん早くもメリハリが出てきました。
さらに、面白いトレーニングに移ります。
パイロンでひょうたん型の小さなコースを作り、今度はそこを回ります。こういったトレーニングの基本として、よく「8の字」走行があります。
最初、「8の字で回ると複数人だと危ないもんなー」と見ていたのですが、違いました。
ひょうたん型も左右真ん中のパイロンをよけなくてはならないため、公道を想定した練習としてふさわしいそうです。
そしてもうひとつの理由が!
しばらく、ひょうたん型を反時計回りに走り続けた後、「では逆回転をしてみましょー!」と聞こえました。
みなさん、周回するペースがガクッと落ちます。
あっ、今日のレッスンで初めての「右カーブ」!!
ここまでのトレーニングはすべて左カーブのみでした。バイクに乗り出してから約1時間半後の11時過ぎ、右カーブを解禁したのです。
〈左は得意・右が苦手〉と感じる人が多いのは、「子どものときから徒競走で左回りの方が慣れているから」とか「左カーブの方が曲がっている最中アクセル操作がしやすいから」とか「心臓が左にあるなど人間の構造上の問題」とかいろいろ言われています。
インストラクターの方が面白い豆知識を披露していました。
「右カーブが苦手という理由は定かになっていませんが、右側通行の国でもバイクのスタンドは必ず左に付いています。これは軸足が左足という人が圧倒的に多いからだそうですよ」
なるほど。たしかに右側通行の道路の場合、バイクも路肩側に倒れた方が便利そうですが、そういうことなんですね。
参加者からの質問の受け答えはもちろんですが、ときどきこんな話を交えているので、ガツガツ練習! という雰囲気にはなりません。
終始、温かい空気感で進行していきます。
ひょうたんコースで右カーブも学んだあとは、このレッスンでもっとも難しい内容となった「Uターン」のトレーニングに移りました。
かなり狭めに設定されています。普通の2車線(片側1車線)道路くらいの幅ですね。これは上級者でもなかなか手ごわい……。
実際は、こうでした!
足つきOK。これは公道でのUターン訓練ではありません。自分がどれくらいの半径で転回でできるのか、その確認と、広い駐車場などでの転回に役立つトレーニングです。
こちらもやりやすい左から始め、右も行なわれました。最初はペタペタ足を付きながら回り、できる人はケンケンを推奨。そして最後は「足付かなくてもいいですよー!」とステップアップしていきました。
そのときも「いま、足付いたのがよかったね!」と褒め上手。何ともやる気にさせてくれるレッスンです。
その後、再び軽い外周走行を挟み、短い休憩を取りました。
12時前、ここから午前中のクローズドコースでのトレーニングのまとめに入ります。
「総合走行」として、直線・左カーブ・右カーブ・S字・停止・Uターンをすべて含むコースが会場に作られました。
まるでマジックです。
朝は発進に手こずる人も多かったのですが、みなさん伸び伸びと走っています。
リターンの方は、勘をすっかり取り戻した様子で、ベテランライダーのように。ビギナーの方々も乗車姿勢から修正され、見ていて安心できる安定感を得ていました。
美環ちゃんも楽しいコースが作られ、水を得た魚のようにライディングを楽しんでいます。
ミニバイクレース経験がある彼女、逆に「少しやりすぎ、公道ではそんなに攻めちゃダメですよ」と注意を受けていました(汗)。
ここまでが半日コースの内容です。ここでお弁当を食べ、希望者は試乗会に参加し終了となります。これだけでも充分すぎるほど上達できます。