世界初のオーバー100PS、世界初のオーバー200km/h、そして世界初の空冷6気筒スーパースポーツ。「X」はCBの世界を大きく飛翔させた金字塔なのだ。
1000ccの生産終了直前に兄弟車CBX400Fがデビュー
CBXブランドの第2弾となったのが、81年11月にデビューのCBX400F 。4気筒エンジン搭載のCB400FOURが生産中止となり、代わって登場したのは2気筒エンジンのホークⅡ/Ⅲ。
ホーク系は他メーカーの4気筒車を上回る動力性能を備えていたが、4気筒エンジンを望む中型車市場ではセールス的に弱かった。
そこで登場したのがアルミスイングアーム+プロリンクのリアサスペンション、アンチダイブ機構を備えたセミエアタイプのフロントフォーク、効きとタッチの良さを両立した前後インボードディスクブレーキをはじめとする斬新な装備の車体に、クラス最強の48PSを発生するDOHC16バルブ並列4気筒エンジンを搭載したCBX400F。
発売と同時に大ヒットし、翌82年には日本で初めてハーフフェアリングを標準装着(それまでは法律によりカウリングの装着が認められていなかった)したCBX400Fインテグラ、そのエンジンをスケールアップしたCBX550Fインテグラ、CB650の後継車となるCBX650カスタムもシリーズに加わり、国内でのCBXブランドを確立した。
その後CBXシリーズは125ccから750ccまで広がっていったが、スポーツ適性の高い車種はCBRシリーズ、ベーシックなモデルはCBシリーズという分類が進み、93年型のCBX125Fを最後にCBXの名前は消滅した。
だが、CBにもCBRにも当てはまらないジャンルの新機種が登場すればCBXブランドの復活はありえる。
CBX(1000ccモデル)やCBX400Fのように、時代をリードするセンセーショナルな構成の新・CBXの登場を期待したい。
文:太田安治