圧勝、完勝、ぶっちぎり! 全日本ロードレース第2戦「鈴鹿2&4」は、まさにTeamHRCと高橋巧の独り舞台でした。きのう土曜日のレース1で、2位以下に16秒もの大差をつけて今シーズン初優勝を挙げたのに続き、きょう日曜日のレース2も図ったかのように16秒の大差をつけての連勝。さらにさかのぼれば、金曜の公式練習も、土曜の公式予選もトップタイム。おまけに日曜朝のウォームアップ走行までトップタイムと、全セッションを制圧した高橋の見事な完封勝利でした。
日曜のレース2、好スタートを決めて飛び出したのは、やはり高橋。きのう土曜日のレース1で転倒を喫し、巻き返しを図りたい中須賀克行(ヤマハ)はスタートをミスし、高橋の後方に渡辺一馬(カワサキ)、加賀山就臣(ヨシムラスズキ)、水野涼(ハルクプロホンダ)が続きます。
高橋はオープニングラップからハイペースで飛ばし、2周目には2番手以下にもう2秒もの差をつけます。この時点でもう、レースはトップ高橋と2番手以下、というオーダーに固定され始めます。
この後も高橋がハイペースで逃げ、カズマ、水野、加賀山、カズキ、中須賀が2番手争いするものだから、ますます高橋と2番手グループの差は広がっていき、3周目には6秒、4周目には10秒の大差がついてしまいます。4周目に10秒とは、ちょっと最近見たことがないほどの独走劇です。
「とにかくスタートして3周、5周が勝負だと思っていたので、そこに集中していました。スタートが決まって、2番手以降が離れたのをサインボードで確認してからは、ペースを落とさないよいうに、2分05秒台で周回することをテーマに走っていました」と高橋。
高橋の独走もあって、レースの興味は熾烈な2番手争いへ。水野、カズマ、野佐根航汰(ヤマハファクトリー)、加賀山、岩戸亮介(カワサキ)の集団から、1台また1台と後退し始め、レース中盤以降はカズマ、中須賀、野佐根が2番手争いグループを形成。この中から終盤に中須賀がポジションを上げ、高橋の15秒以上後方に中須賀、野佐根、水野、カズマ、カズキの順でフィニッシュ。
結局レースは、終盤にペースを落とした高橋が、それでも16秒の大差をつけて昨日のレース1に続くダブルウィン。中須賀、野佐根は全く歯が立たないと言っていいほどの完敗でした。
「今日は巧くんにやられました。2番手グループにいて、マシントラブルもあったのでペースを上げられなかったけど、その中では最良の結果で終わることができました」と中須賀。ほんの2週間前の開幕戦・もてぎ大会では、立ち向かってくる高橋を何度もハネ返して、憎たらしいほどに強かった絶対王者・中須賀の、久しぶりに見る「完敗」のシーンでした。
「中須賀さんより先にフィニッシュして優勝したのは、去年の最終戦以来ですね。それ以外は、中須賀さんが転んだり、二人とも雨で表彰台に上がれなかったりで、僕が優勝、中須賀さんが2位っていうのは……ちょっといつぶりかわかんないくらいです。優勝したのは本当にうれしいし、今回は事前テストからの好調を、ずっと決勝まで持続できたのがよかったと思います」と高橋。
これで中須賀vs高橋は2勝2敗。今回は高橋の強さばかりが目立ちましたが、ほんの2週間前には中須賀の強さばかりが目立ちました。それでも高橋が一方的にやられっぱなしだった'18年シーズンとは明らかに違う'19年シーズン。ふたりのライバル物語は、どうやら新しい章に突入したようです。
■全日本ロードレース 第2戦 鈴鹿2&4 レース2正式結果
①高橋 巧 TeamHRC 37分49.976s
②中須賀克行 ヤマハファクトリーレーシング +16.857s
③野佐根航汰 ヤマハファクトリーレーシング +20.010s
④水野 涼 MuSASHi RTハルクプロホンダ +20.055s
⑤渡辺一馬 カワサキTeamグリーン +20.461s
⑥渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTUL +20.714s
⑦加賀山就臣 ヨシムラスズキMOTUL +26.734s
⑧岩戸亮介 カワサキTeamグリーン +32.158s
⑨秋吉耕佑 auテルルMotoUP +45.467s
⑩ザクワン・ザイディ ホンダASIAレーシングSHOWA +58.086s
撮影・文責/中村浩史