イタリアの名門オフロードメーカー、ファンティックの新ブランドがCABALLERO(キャバレロ)。1969年に登場し、当時の若者を虜にした傑作マシンの名を冠したシリーズだ。今回試乗したスクランブラーは、そんなキャバレロの魅力を体現する一台。早速その実力を試乗チェックしていこう。

各部の上質な造りに感じるファンティックの「本気」

1968年にイタリア北部で創業し、70年代から80年代までエンデューロ界やトライアル競技で世界に名を馳せたファンティック。

その性能と品質は高く評価されていたが、90年代中盤から経営破綻→再建を繰り返したこともあり、日本国内ではこれまであまりなじみがなかった。

画像1: 各部の上質な造りに感じるファンティックの「本気」

だが、今回新たにサインハウスが日本代理店となって新生ファンティックの取り扱いを開始。中でも売れ筋となりそうなのが、この「スクランブラー250」だ。

ルックスは最近流行のレトロスクランブラーだが、車体をじっくり観察するほどにファンティックの「本気度」が伝わってくる。

画像2: 各部の上質な造りに感じるファンティックの「本気」

クロモリ鋼管にアルミ削り出しプレートのスイングアームピボットプレートを組み合わせたセンターチューブ型フレームに、倒立フロントフォークとリアのリンク式モノショックが奢られ、前19・後17インチのアルミリムを採用。

アロー製のステンレスマフラーなど、車体構成はロードモデルをベースに外装を変えた「スクランブラー風」ではなく、本物のスクランブラーとして仕上げられている。

画像: スラッシュカットされた右2本出しのエキゾーストはアロー製。レースシーンではおなじみの一流ブランドを奢っている。

スラッシュカットされた右2本出しのエキゾーストはアロー製。レースシーンではおなじみの一流ブランドを奢っている。

車体は兄貴分の500㏄モデルとほぼ共通のため250㏄としては大柄で、140㎏という乾燥重量もオフロードモデルとしては重い部類だが、細身の車体に体を寄せやすく、取り回しは想像以上に軽い。

画像3: 各部の上質な造りに感じるファンティックの「本気」

ライディングポジションは幅広ハンドルと前後に長いフラットなシートで積極的な荷重移動がスムーズに行なえ、車体が暴れても抑え込みやすいように設定されているが、アイポイント、着座位置の自由度ともに高いので、ストリートライディングにも合っている。

イタリアで設計されたオリジナルエンジンは高回転まで回してパワーを稼ぐタイプではなく、中回転域での鋭いピックアップと粘り強さが持ち味。

画像: 水冷のシングルユニットは25HPを発揮。エキパイのヒートガードは高品質な綾織りのドライカーボン製を採用している。

水冷のシングルユニットは25HPを発揮。エキパイのヒートガードは高品質な綾織りのドライカーボン製を採用している。

ダートも走ってみたが、高回転をキープするよりも、早めにシフトアップしてトルク変動を抑えながら走るとトラクションを得やすい。この特性もストリートライドやのんびりツーリングに適したものだ。

画像: 41mm倒立フォークは150mmという余裕のストロークを確保。ブレーキも320mm径のペータルディスクを採用している。

41mm倒立フォークは150mmという余裕のストロークを確保。ブレーキも320mm径のペータルディスクを採用している。

フロントに走破性の高い19インチホイールを採用しているが、バネ下重量が軽いためかハンドリングは素直で、クイックな寝かし込みでフロントの追従が遅れることもなく、曲がりくねった峠道もタイヤのグリップを感じながらスイスイ駆け回れた。

画像4: 各部の上質な造りに感じるファンティックの「本気」

レトロなルックスはストリートにも似合うが、実力は生粋のスクランブラー。オフロードも存分に楽しめる一台だ。

文:太田安治/写真:森 浩輔・南 孝幸

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