水冷Vツインなのにこんなに「カタナ」!
新生KATANAがインターモトで世界デビューを果たした2018年秋。
しかしその時、ひそかにもう1台の「カタナ」が出展されていたことを知る人は少ない。
それが、フランスのカスタムバイクメーカー「S2コンセプト」が製作したTANTO、つまり短刀。
SV650に装着するカタナカウルキット車だ。
「あのSVベースのカタナを見たときに、すごくバランスがいいように見えて、いい作品だな、と思ったんです。調べたらフランスの小さいメーカーが発売しているようだったから、最初は数セット、輸入してみたんです」とは、モトフィールド・ドッカーズ(MFD)の岡本代表。
手元に来たSV用カタナキットは、よくで出来てるなと感じる反面、仕上げももうひとつ、塗装済みの色さえ、純正色と説明されていても、微妙に発色が違っていたのだという。
「これは少し修正が必要だな、って。逆に言えば、少しの修正できれいに新しいカタナの姿が出来上がるな、と思ったんです」
取り付けは、合わせ面スキマや微妙な取り付け角度などの既存パーツとのフィッティングを修正して組み上げ、塗装も純正色を使ってリペイントした。
結果、出来上がったSV650「短刀」は、ご覧のようなニューミドルカタナ!
海外のショー写真で見るだけでは、カタナとはいえ、スリムなSVをベースに、水冷でVツインエンジンにカタナのボリュームが出せるのか——と思えたものの、実物を見ると……これはカスタムを越えた「カタナ」だ!
名車SV650をベースとしているだけに、運動性能や信頼性、耐久性やパーツ供給に問題はなし。
オリジナルカタナに乗る時に問題になるような乗りっぱなし、毎日の酷使にもじゅうぶん耐えられる。
これはクラシック・リスペクトモデルなのだ。
「SVがベースということで、女性や小柄なライダーにも問題なく乗れるカタナです。新しいKATANAと一緒に走らせたいですね」
この「短刀」キット、一部の輸入通信販売でも入手可能だが、取り付けの微調整と修正や、純正カラーとの発色違いはいかんともしがたく。
それを知ってMFDにオーダーしてくるお客さんも少なくないのだという。
カタナの歴史上、GAGベースや油冷GSX-R、バンディットや1400ベースのカタナが存在した。
この650短刀は、その中でも1〜2を争う再現度だ。
モトフィールドドッカーズ神戸店
第二神明・大蔵谷ICからクルマで約10分、最寄り駅はJR神戸線・明石駅のMFD神戸。
スズキ正規取扱店だが、広い店内に各種中古車も取り扱う、エリア有数の大型店だ。
TEL:078-974-8878
兵庫県神戸市西区伊川谷町潤和1084-1
PHOTO & TEXT:中村浩史 取材協力:モトフィールドドッカーズ神戸店