車体の熟成が生み出したカッチリ感が絶妙!
HONDA CB1300 SUPER FOUR
ホンダというより、日本を代表する「高級ビッグバイク」だ。
どこを見ても、オトナのバイクマニアが納得できる上質な造り込みで仕上げられ、走りもパワフルかつオールマイティ。
大柄な車体だが、それがウソのように扱いやすく、素直なハンドリングを活かした快活な身のこなしと、ビッグバイクらしいどっしり感が見事に融合している。
大型高級バイクたる感触や質感、力のゆとりを誰もが楽しめるトータルバランスのいいバイクだ。
こうした特徴は歴代CB共通の魅力。それはこの新型にもしっかりと受け継がれている。
とは言っても、今回の新型も見た目が激変することはなかった。
なにしろCBはビッグバイク界の「孤高のキング」。この走り、それにこの姿をまとめてひとつのブランドとし、絶大なる信頼を得てきたのだ。
キャラクターや姿は大きく変えられない「宿命」がある。だが、中身はけっこう進化している。
今回のモデルチェンジでの表立った変更点は、オーバードライブを意識した6速ミッションの採用と、重積載に対応したフレームの剛性アップ。
それに伴ったフレーム全体バランスの取り直し。そしてエンジンの制御マップの更改だ。
変更点は以上のはずなんだが、乗ってみたら、まるで足回りを一新したかのようにハンドリングが違っていた。
もう少し詳しく言うと、強引に素早く切り返した時のフロントの接地感、それに節度が大幅に良くなっている。
もともと、どっしりとはしていたが、フロントにカウルという荷重が載っているSBと比べればやはり軽く、SFは安定性も少し希薄な傾向だった。
個人的にはこれがかなり気に入らなかったのだが、新型はまるでノーズをちょっと落とした姿勢に変え、トレールを増やしたかのような「カッチリ感」がプラスされていたのだ。
しかも、これで舵角が強く付くようになりすぎたり、無駄にフロントが粘るようなオマケが全くない。
…試乗後、技術者に「フロントサスも換えたでしょ?」と思わず聞いたほどだ。でも、そうではなかったのである。
この乗り味、シートレールの補強にバランスさせてフロントの剛性も上げたことが上手く作用したものらしい。
SFについては、この接地感と接地性の向上による、乗りやすさ、運動性能の進化がイチバンの違いであり、すばらしい進化を遂げたパートだと思っている。
間違いなく、これまでのモデルより峠道が楽しくなっているし、ツーリングも気楽になっているハズだ。
RIDING POSITION ●身長:176㎝ ●体重:68㎏
シート前方はスリムで足着きが良く、そのすぐ後ろには充分な肉厚と幅の広さが合ってロングランも楽。
ステップとの距離も絶妙で、ヒザにストレスが溜らない。
前傾度は極々自然で高速に風圧にも耐えられるし、ツーリングでリラックスもできる。
自由度のある完成されたライポジだ。
主要諸元 ※( )内はEパッケージ
●全長×全幅×全高:2200×795×1110(1125)㎜
●ホイールベース:1520㎜
●シート高:780㎜
●車両重量:267(268)㎏
●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●総排気量:1284㏄
●ボア×ストローク:78×67.2㎜
●圧縮比:9.6
●最高出力:101PS/7000rpm
●最大トルク:11.7㎏-m/5500rpm
●燃料供給方式:PGM-FI
●燃料タンク容量:21ℓ
●キャスター角/トレール:25度/99㎜
●変速機形式:6速リターン
●ブレーキ形式 前・後:φ310㎜ダブルディスク・φ256㎜ディスク
●タイヤサイズ 前・後:120/70ZR17・180/55ZR17
DETAILS
ノンカウルのSFは、従来どおりH4バルブを使用したマルチリフレクタータイプの丸目1灯ヘッドライト採用している。
日本車としては量産初となるLEDヘッドライトを採用。
ヘッドライトの輪郭を縁取るU字型の導光帯が、独創的な顔つきを実現。
SBと共通のアナログ2眼メーターは、高級感があり視認性にも優れる自発光タイプ。
ギアポジションや燃費計、外気温も表示される。