個性際立つスタイルとプラスされた実用性が嬉しい
販売台数の減少、外国車の台頭、ライダーの高齢化。これまで経験したことのない厳しい環境にある国内二輪業界は、新たなユーザー層の開拓に力を入れている。
アニメから飛び出したようなルックスと、スクーター的なイージーライディングを具現化したNM4の投入も、そうしたアプローチのひとつだ。
NM4-01から2か月遅れで市販が始まったのがこの「02」。
両車の違いは、ホンダがEパッケージと呼ぶETC+グリップヒーターの標準装備と、LEDウインカーがビルトインされたサイドボックスの採用程度。NC750系から派生したエンジンと車体、DCTなどの装備は共通だ。
NM4の特徴である個性的なルックスは、フロントまわりのボリューム感を強調した01に対して、02は車体前後のバランスが取れていて、ライダーが乗ると全体が調和して、走る姿に気品がある。
NM4のメイン車種は02かと思えるほど、キレイにまとまっている。
サイドボックスを蹴らないように注意してまたがり、バックレストを立てて背中を当てる。
着座位置は車体の後ろ寄りになるが、ハンドルが手前に引かれているので腕が伸び切ることはないし、ステップボードの前後長に余裕があって足を置く位置の自由度も高い。
足着き性もすこぶる良好だから、身長160㎝そこそこから180㎝程度まで、ライダーの体格を問わずに乗れるだろう。
走行フィーリングは01と変わらず、スルスルと穏やかに発進し、熟練ライダーが行なうのと変わらないタイミングで自動的に変速していく。Vベルト変速のようなスリップ感はなく、エンジンブレーキもしっかり効く。
ピークパワーは54馬力と控えめだが、常用回転域で充分なトルクを発生するセッティングなので動力性能は充分。
急な登り坂でもタンデムでもグイグイ加速する。人が乗っているとスクーターのようにも見えるが、ハンドリングは通常のネイキッドモデルに近い自然なもの。
車体剛性も確保されていて、バンクセンサーが接地するまで寝かせたり、S字でクイックに切り返しても不安はない。背中にトラクションが伝わってくるというのも新鮮で楽しい感覚だ。
片側7・5L容量のサイドボックスは左右への張り出し量が少なく、スタイリッシュなうえに渋滞路でも邪魔にならないことが魅力。
ツーリングはもちろん、通勤・通学も楽しく快適にこなせる一台だ。
SPECIFICATION
●全長×全幅×全高:2380×810(サイドミラー両端幅993)×1170㎜
●ホイールベース:1645㎜
●シート高:650mm
●車両重量:255㎏
●エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
●総排気量:745㏄
●ボア×ストローク:77×80㎜
●圧縮比:10.7
●最高出力:54PS/6250rpm
●最大トルク:6.9㎏-m/4750rpm
●燃料供給方式:PGM-FI
●燃料タンク容量:11ℓ
●キャスター角/トレール:33度/110㎜
●変速機形式:6速DCT
●ブレーキ形式 前・後:φ320㎜ディスク・φ240㎜ディスク
●タイヤサイズ 前・後:120/70ZR18・200/50ZR17
RIDING POSITION ●身長:176㎝ ●体重:60㎏
腰のサポート+足を前に伸ばした姿勢はクルーザー的でリラックスできる。
加えてワンタッチで引き起こせるバックレストに背中を当てれば、NM4独自の浮遊感を味わえる。
専用フレームの採用で足着き性の良さは文句なく、身長150㎝台のライダーでもOK。
DETAILS
エッジの効いた、近未来的なデザインのマスク。
ヘッドライト、左右のビルトインウインカーはともにLEDだ。
視認性と多機能を兼備した液晶メーターパネル。
バックライトとリング色はDTCの走行モードと連動するが、25色の中から選択も可能。
ボディラインにマッチし、さらなる実用性と迫力あるリアビューを与えるNM4-02専用デザインのサイドボックス。
容量は7・5Lだ。
ホールド性にも優れる大型シート。
タンデムシートはバックレストとしても使用でき、3段階の角度調節、4段階の位置調整が可能。
●PHOTO:赤松 孝