飛躍的に進化したスタイルとパフォーマンス
モンスターの新しいトップモデルがこの1200。ディアベルと同系列のテスタストレッタ11°DSエンジンを搭載。
空冷から水冷になり、パワーも126馬力にアップ。フレームの縦剛性は倍ほども強く、ねじれ剛性も約6割強度を増した新レイアウトだ。
エンジンの電子制御系はドゥカティらしく充実しており、パワー、レスポンスモードが3段階。
それにパッケージングされてトラコン介入度、ABS介入度も変化するようになっている。
エンジンの基本的な応答性が滑らかなため、最もライダーの操作に敏感な「スポーツ」モードでも、街中でストレスは感じないだろう。
大袈裟な話ではなく、ストリート系のミドルスポーツに乗っているライダーなら違和感なく操作できるレベルだ。
ただし、秘めたパワーは強力。調子に乗って開けていると、コーナーからの立ち上がりで簡単にパワーリフトしてしまったりする。
まぁ、トラコンなどのアシスト機構が、すぐさまフォローしてはくれるが…。とにかく、扱いやすいが、パワーはモリモリだ。
今回試乗したのは前後サスがオーリンズの1200S。カヤバ製ショックのSTDに対しては、その作動特性だけでなく、剛性バランスも違うモデルとなっている。
さすがにその効果は絶大で、小さなギャップや、緩やかに起伏するウネリなどの乗り越えはまるでツアラーのように滑らか。
そのくせ、ワインディングではSSを追いかけ回すほどのペースで走ってもネを上げない。バンク角も深く、まるでSSの足回りだ。
ただ、そういう高荷重を受けた時、サスの激しく速い動きを伴ったギャップ通過では、それまでの表情とは一転、かなり硬くて強い反力を感じる。
高速と低速ダンパーの設定上の特性だから、自分でリセッティングすればこの移行も滑らかになるとは思うが…。
モンスター1200は「そのままで乗る」より「わかって乗る」ことができるかどうかで接し方を大きく変えてくれる奥深さがある。これまでの1100EVOとは何もかもが違う。
嬉しいのは、パンチみなぎる、スムーズで扱いやすい新エンジンだ。ただ使いやすいだけではなく、イザというときのための底力を秘めているのがいい。
走りは、ツーリング、街中、峠道の全てで身軽に、カッチリしたタッチで機敏に動くようになった。キープコンセプトの正常進化だが、進化具合は飛躍的である。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2156×NA×1117㎜
ホイールベース 1511㎜
シート高 745/770㎜
車両重量 209㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブL型2気筒
総排気量 1198.4㏄
ボア×ストローク 106×67.9㎜
圧縮比 12.5
最高出力 126PS/7250rpm
最大トルク 12.2kg-m/7000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 17.5 L
キャスター角/トレール 24.3度/93.2㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ245㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17
RIDING POSITION
●身長:176㎝ ●体重:68㎏
低いシートに高めで後退気味のステップに対し、ハンドルは位置的に程よいのだが、広く、ウデが開き気味。
前軽度は弱いが、しっかりと下半身でホールドしないとウデに体重が乗りやすい。
足着きがいくらか悪くなろうとも、走りを求めるならオプションのハイシートがお勧めだ。
DETAILS
先代の1100より大きめのベゼルを持つヘッドライト。
ライト自体はハロゲン球だが、ポジションランプはLEDだ。
搭載されるエンジンは、ディアベルと同系統のテスタストレッタ11°DSユニット。
最高出力は126PSで、STD、Sともに同一だ。フレームはこのエンジンをメンバーの一部とした構造で、トレリス部とシートレールはエンジンに直接ボルト締結されている。
メーターはスポーツ、ツーリング、アーバンの3モードに対応。
スポーツでは高回転域を見やすくしたタコメーターとし、ツーリングではタコメーターを扇状に、そしてアーバンは時計とスピードのみの表示に切り替える。
Y字スポークのホイールはアルミキャスト製だが、上級グレードのSでは仕上げを際立たせるため、鋳造後に切削加工を実施。
ひと手間加えて上質さに磨きをかけている。
MONSTER HUNTER VERSION
日本での大ヒットゲームのひとつ「モンスターハンター」。
「モンハン」の名で親しまれ芸能人にもファンの多いゲームだ。
この「モンハン」が今年で10周年を迎えることと、ドゥカティのモンスター1200が新登場するタイミングがちょうどマッチしたこともあり、今回誕生したのがこの「モンスターハンターバージョン」である。
イメージモチーフはゲームを代表する火竜の「リオレウス」。
タンク上には竜の背中を、サイドには灼熱の炎をイメージしたペイントが施され、スペシャル感満点の仕上がりになっている。
完全なハンドペイント仕上げで、価格は181万円。2014年10月31日までの受注生産となっている。
●PHOTO:南 孝幸/赤松 孝 ●TEXT:宮崎敬一郎