この排気量拡大はFIMスーパーバイク世界選手権で1299が出場資格を得られないことを意味する。
アイデンティティのひとつであるレースを捨ててまで、この排気量へと進化した理由とは何か?
それは最高の1台を求めた結果「レースよりも優先すべきもの」を見出したからに他ならない。

排気量アップと電子制御の進化で誰もが楽しめる理想のスポーツへ

はじめに1299パニガーレの情報を入手したとき「えっ?」と思ったドゥカティファンは数多いことだろう。

排気量が1200㏄を超えるということは、すなわちスーパーバイクレースに出場できないことを示すからだ。

しかし、ドゥカティの狙いはまったく別のところにあった。

画像: ■1299 Panigale 244万9000円 ■1299 Panigale S 299万9000円

■1299 Panigale 244万9000円
■1299 Panigale S 299万9000円

1199をベースにボアを4㎜拡大して1285㏄にスケールアップされたスーパークアドロエンジンは、フルパワー仕様で最高出力は大台を超える205hpをマーク。

騒音規制の関係で最高出力が抑えられる日本仕様も1199の135hpから175hpへと大幅にアップ。

この数値だけを見れば、誰もが「パワーアップのための排気量拡大」と思うだろう。

しかし、それはあくまでも付加的なもので、真の目的は低中回転域のトルクアップによる扱いやすさの向上にあったのだ。

画像1: 排気量アップと電子制御の進化で誰もが楽しめる理想のスポーツへ

事実、フルパワー仕様の性能曲線を見ると、最高出力が5%ほどのアップなのに対して5000〜8000回転域ではパワー、トルクともに15%前後もアップしている。

扱いやすさを高めるための改良はエンジンだけにとどまらない。

キャスター角を24・5度から24度に立て、スイングアームピボット位置を4㎜下げることで、基本的な旋回性とコーナー脱出時のトラクション性能を高めたうえで、新たにオーリンズ製スマートECサスペンションを採用し、ライダーの走りを多角的にサポートする電子制御デバイスもさらなる進化を遂げた。

スマートECはパニガーレSに標準装備されるサスペンション。

画像2: 排気量アップと電子制御の進化で誰もが楽しめる理想のスポーツへ

オーリンズ製の前後ショックとステアリングダンパーに、走行状況に応じてリアルタイムに変化する可変ダンピングシステムを組み合わせたセミアクティブサスだ。

選択された5種類のモードをベースに、状況に応じてダンパー特性が変化することから、基本セッティングをソフトにすることができ、これが一般公道における乗りやすさに大きく貢献する。

電子制御デバイスは、前後/左右/上下の動きを検出するIMUを搭載。

これにより、既存の機能の精度を高めると同時に、ウイリーコントロールやコーナリングABS、クイックシフトダウンといった新機能も追加。

画像3: 排気量アップと電子制御の進化で誰もが楽しめる理想のスポーツへ

イージーで安全なライディングにさらに磨きがかけられた。

クオリティやパフォーマンスをそのままに、明らかにユーザーフレンドリーにシフト。

かつて、半端なライダーは寄せ付けない雰囲気もあったドゥカティ・スーパーバイクは、すべての走りを愛する人々のために新たなステージへ走り出したのだ。

もう我慢する必要なんてない1299はライダーを拒まない

リッタースーパースポーツは、スーパーバイクレースのホモロゲーションを取得する意味もあり、すべてのモデルがレースレギュレーションに沿った4気筒1000㏄、2気筒1200㏄に設定されて来た。

それはそれで、スーパーバイクレーサー直系レプリカとして、オーナーの所有欲を満たして来た訳だけれど、一般ユーザーが、多様なシチュエーションに遭遇する公道を走らせるという観点に立つと、必ずしも良い面ばかりではなかったのも事実だろう。

常用回転域のトルクが細い、サスが硬いといったネガティブを、ライダーたちはある意味、我慢して走らせて来たわけだ。

画像1: もう我慢する必要なんてない1299はライダーを拒まない

そんな現状を鑑み「レースに合わせた排気量設定は、一般ユーザーにとってメリットがあるのか?

スーパースポーツの楽しさを本当に味わうには、もう少し余裕が欲しい」という考えから生まれたのが1299パニガーレなのだ。

1299パニガーレの変化は、走り出してすぐにわかる。

画像2: もう我慢する必要なんてない1299はライダーを拒まない

最もパワーの出るレースモードでもスロットルレスポンスが過敏すぎず、全閉からパーシャル、パーシャルからオープンが、かなり気軽に操作できるようになった。

低中速トルクが太ったことで、1速高いギアでもアクセル開け始めでギクシャクする現象は消え、流すような走りでも恐怖感やストレスを感じることがない。

スマートECも公道走行レベルで「操ってる感」が感じられる大きな要因になっている。

画像3: もう我慢する必要なんてない1299はライダーを拒まない

1199パニガーレが登場した時に、それまでの1098に対して、かなりしなやかになった印象を受けたが、1299はそれに輪をかけてサスペンションの動きがいい。

流すようなペースでも前後サスがちゃんと動いてくれるので「サスを入れる動作」を意識しなくても十分に曲がってくれる。このサスペンションは秀逸だ。

その基本性能の上で、ライディングモードやトラクションコントロール、ウイリーコントロールなどの介入度合いを選択すれば、サーキット走行会での本気の走りから、峠道でのなりきりペース、市街地走行まで、自由自在の走りが楽しめる。

画像4: もう我慢する必要なんてない1299はライダーを拒まない

1199でだいぶ優しくなったとは言え、やはり乗り手を選ぶ孤高の存在だったドゥカティ・スーパーバイク。

1299はそんな概念を打ち破った。オートバイでスポーツすることを愛するすべての人が「楽しい!」と感動できる。

理想のための、この英断に拍手を贈りたい。

ツーリングだって問題なくこなせる
1199譲りのフレンドリーなポジション

画像1: ツーリングだって問題なくこなせる 1199譲りのフレンドリーなポジション

シート高は830mmだが、何しろ軽く小さいので足着きや取り回しに不安は皆無。

画像2: ツーリングだって問題なくこなせる 1199譲りのフレンドリーなポジション

前傾姿勢もきつすぎない。ライダー身長176cm。

DETAILS

画像1: DETAILS

世界の最先端を走るドゥカティの電子制御デバイス。

1299には、1199スーパーレッジェーラで実績を積んだIMU(慣性計測ユニット)を新たに搭載することで、ABSやトラクションコントロール、エンジンブレーキ、ダウン操作を含めたクイックシフター、ウイリーコントロールなど、多彩かつ高度なライディングサポートを実現している。

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ボアを4mm広げて1285ccまでスケールアップされた新しい水冷L型2気筒スーパークアドロエンジン。

+87ccのアドバンテージを低中速トルクの向上に配分することで、一般公道走行におけるドライバビリティを向上させている。

ゴールドに塗色されたヘッドカバーやクランクケースカバーはマグネシウム合金製で、エンジン重量軽減に大きく貢献している。

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車体左側に水平にマウントされた特徴的なリアサスペンション。

パニガーレS標準装備のスマートECでは、オーリンズ製電子制御式TTX36が装備される。

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フロントサスペンションにはφ43mmのオーリンズ製NIX30倒立フォークを採用。

カーボンファイバー製フロントフェンダーもパニガーレSの専用装備だ。

撮影/柴田直行 文/安藤佳正

公式サイト

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