斬新なアイデアと独創のテクノロジーを満載し、トリシティ125がデビューした2015年。待望の国内仕様は、抜群の乗り味と衝撃の価格での登場となった。当時の試乗レポートをどうぞ!

抜群の接地感と安心感で構えることなく扱える!

ようやく日本からも前2輪がスイングする3輪バイクが登場した。

このタイプはトライクなどとは違い、一般的なバイクと変わらない操縦感覚のまま、これまでのバイクでは不可能だった走破性を生み出すことができる。ただ難点が二つある。

重くなることと、パーツが増えてプライスが跳ね上がることだ。

ヤマハはその対策を上手にやってみせた。

画像: 最高出力:11PS/9000rpm 最大トルク:1.0kg-m/5500rpm 価格:35万6400円 発売:2014年9月10日

最高出力:11PS/9000rpm
最大トルク:1.0kg-m/5500rpm
価格:35万6400円
発売:2014年9月10日

タイで生産することと、サス周りに既存の技術である、テレスコピックフォークを組み合わせることでコストを抑えた。

なんと価格はマジェスティSとほぼ変わらない、税抜33万円! こちらが心配になるほど安い!

しかも、一般的なフォークを使うことで、減速時にノーズダイブするときや、フルバンク状態で左右の車輪が別々のギャップを越えたときなどの挙動がいい。

おもにフロントまわりの動的なキャスター・トレールの変化が一般的なバイクに近いからだろう。

画像1: 抜群の接地感と安心感で構えることなく扱える!

まるで普通のバイクだが、フロントまわりには、普通のバイクではあり得ない接地感がある。

重量はさすがに少し重めだが、それでも同クラスのスクーターより30㎏重い程度。

上手く造ったものだと思う。だから決して遅くないし、身のこなしも鈍重ではない。

画像2: 抜群の接地感と安心感で構えることなく扱える!

注目の走りだが、左右へのリーンは、少し手応えはあるが、その舵角の付き方はまるで普通のバイク。ごく自然だ。

故意に切り込んでも安定しているし、Uターンもすごくしやすい。普通の2輪バイクと思って乗ればいい。

2輪の2輪バイクと違うのは、段差などを斜めに乗り越える時だ。

左右のフロントタイヤはシーソーのように動き、片輪ずつ、生き物のようにそれを乗り越える。この時、片輪が弾かれても、もう1輪が踏ん張ってくれるので滑りにくい。

画像3: 抜群の接地感と安心感で構えることなく扱える!

雨天などで滑りやすい、レールと凸凹の花崗岩を敷き詰めた路面電車の軌道敷きなどを斜めに横切るような状況での威力は絶大だ。

ちょっとしたスリップによって、フロントタイヤは破綻しやすいのだが、3輪バイクであるトリシティはリアよりも滑りにくい。

同クラスのスクーターにこれだけの頼れる接地感を持ったバイクはない。

画像4: 抜群の接地感と安心感で構えることなく扱える!

これが走りや常識を変える、大きな理由だ。トリシティはそんな異次元の走りを、極めて手頃なプライスで提供してくれる。

ビックリするほど頼れる走りのコミューターなのだ。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 1905×735×1215㎜
ホイールベース 1310㎜
シート高 780㎜
車両重量 152㎏
エンジン形式 水冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量 124㏄
ボア×ストローク 52.4×57.9㎜
圧縮比 10.9
最高出力 11PS/9000rpm
最大トルク 1.0㎏-m/5500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 6.6ℓ
キャスター角/トレール 20度/68㎜
変速機形式 Vベルト無段変速
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 90/80-14・110/90-12

女性ユーザーにも楽しんで欲しい気品ある佇まいを目指しました

画像: 野口浩稔氏 ヤマハ発動機株式会社 デザイン本部 製品デザイン部

野口浩稔氏
ヤマハ発動機株式会社
デザイン本部 製品デザイン部

前2輪というレイアウトということもあって、フロントセクションが大きく見えてしまいがちなので、このトリシティではフロントノーズをシャープにし、側面のパネルもえぐった形状にしたり、スリットを設けてみたりして、フロント周りをスッキリ見せる工夫を施しています。

また、このトリシティは、オシャレな女性にも乗っていただきたいという想いから、上質さを感じていただけるような仕上げにも重点を置いています。

インナーパネルも単なるブラックとせず、ボディ同色パーツを大きく配置したり、ホイールのスポークをリボン状のデザインとするなど、優しさと気品を感じられるような造りにもこだわりました。

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