話題の新型KATANAをじっくり試乗! WEBオートバイ独占企画!
スーパーバイク世界選手権の解説でもおなじみ、元WGPライダーの八代俊二さんが新型KATANAをじっくり試乗! ワインディングを堪能したそのインプレッションを今回はお届けします。他では読めない、WEBオートバイ独占企画です!
初代1100の初試乗は1980年代。時は流れて…
かつてスズキのブランドイメージを牽引していたカタナ。生産終了から18年を経た2018年にケルンで新世代の「KATANA」として甦ったわけだが、そんな新型KATANAに試乗できるとあって、期待を胸に臨んだ。
俺が初めてカタナに試乗したのは1980年代前半で、雑誌のインプレだった。ただ、当時プロレーサーを目指していた俺からすると、初代カタナはとてもかったるいバイク、という印象だった。
なぜなら、当時ロードスポーツが前後17インチタイヤを採用しつつあった中で、初代カタナが履いていたタイヤは、車体の大きさに比べると細身のフロント19インチ、リア18インチのバイアスタイヤ。ハンドリングも車体を倒すと遅れてフロントタイヤに舵角が入る、当時でも「昔風」のハンドリングだったからだ。
ただ、デザインの奇抜さと、タンクを抱え込むようにして垂れ角の大きなハンドルを掴みにいくライディングポジションには、他のどのバイクとも異なる独特な世界観があり、この感性に共感できるライダーには大きな魅力となる強烈な存在感があった。
で、時は流れて新世代KATANAが登場したわけだけど、初めてこの新型のデザインを見たとき「これってカタナなのか?」と思った。もともと細くて長いはずのカタナが、丸くて短くなっていたんだもの。でも、デザインの妙ってやつなんだろうけれど、不思議なもので、そのスタイリングを眺めているうちに「これもアリだ」と思えてきた。
スポーツネイキッドとして良くできている!
試乗してまず感じたのは、オートバイとして非常に良く出来ている!ということ。エンジンはスムーズだし、前後サスペンションも極めてスムーズにストロークし、路面の凹凸や細かいザラザラを見事に吸収してくれる。
今回の撮影の際、同じ条件で試乗したZ900RSが、なぜフロントフォークを倒立にしているのか理解できないくらい動きが雑に感じられたのに対し、新型KATANAは前後サスペンションの動きに上質感があり、軽い倒し込みからのコーナリングはフロントタイヤに先導されるような今風のハンドリングで、オートバイという乗り物の進化を感じさせるものだった。
個人的にはもう少し「クセ」があってもいい
新世代のKATANAはとても良く出来たオートバイ。試乗の感想を一言で言うならこれに尽きる。ただ、個人的には物足りなく感じる部分もあった。
初代のカタナは当時俺の趣味ではなかったけれど、外から見ても自分が乗っていても「カタナに乗っているということ」をヒシヒシと感じさせる強烈なオーラがあった。それと比べてしまうと、素直な新型KATANAはある意味無味無臭にも感じられ、自分が何に乗っているのか分からなくなる時があるのだ。
出来が良すぎてつまんない!っていうのは、なんだか難癖をつけているみたいだけど、良くも悪くも、初代カタナには「クセ」があった。だから、個人的には新型KATANAにもそうした「クセ」が欲しかったなー、と思うのだ。
文:八代俊二/写真:南 孝幸・森 浩輔
スズキ KATANA 主なスペックと価格
SPECIFICATIONS
全長x全幅×全高 2130x835x1110mm
ホイールベース 1460㎜
シート高 825㎜
最低地上高 140mm
車両重量 215㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 999㏄
ボア×ストローク 73.4x59mm
圧縮比 12.2
最高出力 148PS/10000rpm
最大トルク 10.9kg-m/9500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 12L
キャスター角/トレール 25度/100mm
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ310㎜ダブルディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/50ZR17
価格 151万2000円