高速道路の出口を乗り過ごしたときに「特別転回証明書」を発行してもらうことで、本来請求される料金を免除してもらえる制度がある。
※Webモーターマガジンの人気企画【くるま問答】より

ETC利用時、特別転回証明書は発行されない?

「乗り過ごし」というと、電車で居眠りをして目的地より先に行ってしまうことを連想する人が多いだろう。しかし、みずから運転するクルマにおいてもまれにやってしまうことがある。

そう、高速道路だ。とくに、複雑に絡み合った首都高速の分岐やインターチェンジが苦手である。

「あれ、どっちだっけ」と迷い、何度ルートミスをしたことか。ドライバーの中には、降りるべき出口を見過ごしてその先へ行ってしまったという人もいるのではないだろうか。

画像: 高速出口に気付いた時にはすでに遅く、乗り過ごしたなんて経験は?

高速出口に気付いた時にはすでに遅く、乗り過ごしたなんて経験は?

そんなとき次の出口料金所で料金を支払い、もう一度高速に乗り直し「ああ、余計な高速料金を支払ってしまった」と思うかもしれない。

しかし、実はこんなミスをカバーしてくれる規則が高速道路運営会社のいくつかに存在する。東名高速道路をはじめとする有料道路の管理・運営する企業、NEXCO中日本の高速道路営業規則にはこう書かれている。

高速道路営業規則 第7章 特別な通行をした場合の料金

第4節 インターチェンジ等の間で転回した車両(入口発券方式の高速道路)

・利用者の事情による転回
第48条 入口発券方式の高速道路において、タイヤチェーンの不保持その他利用者の事情により本線上で転回する場合は、当社は利用者が退出するインターチェンジ等(本条において「指定インターチェンジ等」といいます。)を指定します。
2 前項の場合において、指定インターチェンジ等で退出した場合の料金は、転回前の進入インターチェンジ等から、指定インターチェンジ等までの料金とし、指定インターチェンジ等で退出せずに他のインターチェンジ等で退出した場合の料金は、転回前の進入インターチェンジ等から、指定インターチェンジ等までの料金と、指定インターチェンジ等から、退出したインターチェンジ等までの料金の合算額とします。

要約すると、利用者の事情によってやむなく進行方向を転回する場合、係員が指定した区間の料金を免除するということ。このような規則は全国の高速道路にある。

また、この優遇を受けるためには基本的に「特別転回証明書」が必要になる。行き過ぎた先の一般レーン(有人料金所)で、乗り過ごした旨を伝えると係員が「特別転回証明書」というチケットを発券してくれる。これを本来降りるべきだった出口の一般レーンで提示、事情を話せば乗り過ごした区間の料金を免除してくれるのだ。

画像: 料金所の仕組みによって、またスマートインターチェンジで特別転回証明書を発行できないので、要注意だ。

料金所の仕組みによって、またスマートインターチェンジで特別転回証明書を発行できないので、要注意だ。

画像: 「特別転回証明書」を利用する場合、無人のETCレーンではなく、必ず有人の一般レーンを進もう。

「特別転回証明書」を利用する場合、無人のETCレーンではなく、必ず有人の一般レーンを進もう。

と、上記は“ETCを利用しない場合”の作法。先日実体験した“ETC利用時の特別転回”では、ペーパーレス化が進んでいた。

乗り過ぎた先の東名川崎で「特別転回証明書」は発行されず、係員の指示に従ってUターン。本来の目的地、横浜青葉の有人料金所で「乗り過ごした」旨を口頭伝達すると、本来のルート「横浜町田→横浜青葉」のETC料金だけ請求されたのだ。

ただし、スマートインターチェンジや料金所の構造などによっては利用できないので注意が必要だ。

こんな素晴らしい制度があるに、実はあまり知られていないようだ。降りる出口を間違え、焦って高速道路上でUターンしないためにもぜひ覚えておいてほしい。

画像: 特別転回証明書を利用した時の、東名高速道路「利用証明書」。横浜町田→横浜青葉の料金だった。

特別転回証明書を利用した時の、東名高速道路「利用証明書」。横浜町田→横浜青葉の料金だった。

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