電子制御を満載したドゥカティADVの真打ち
4台分の機能を1台に。街乗りバイクであり、旅バイクであり、スポーツバイクでもあって、ダートも楽しめる。それがムルティストラーダのコンセプト。そのミドルライン「950」が2019年モデルはフェイスリフトを行い、全体のデザインもアップデートされた。さらに各所をブラッシュアップしたアップグレードモデル「950S」も登場した。
先代モデルとの大きな違いは、クラッチを使用せずにシフトダウンを行ない、さらに効果的なブレーキングを可能にする「DQS」(ドゥカティ・クイック・シフト・アップ&ダウン)を新採用。その他、「ドゥカティ・スカイフック・サスペンション」や、クルーズコントロール、ボッシュ製の「コーナリングABS」などを装備しているところだ。
ムルティストラーダの真骨頂とも言える「4 Bikes in1」を可能にしたのがライディングモード設定。電子制御でエンジン特性、ABS、トラクションコントロールの介入度、そして場面にあったダンパー特性に変わるセミアクティブサスにより、場面展開に合わせた乗り味に変化させることができる。
950Sはフロントに19インチ、リアに17インチタイヤを履き、スカイフックサスペンションと相まって、市街地の荒れた路面でもスムーズに吸収してくれるので乗り心地がとても良い。特に低速からの軽快なハンドリングは軽快そのもの。そこに上質になった乗り味と、アップグレードされたブレーキ回りの上質な操作感が加わり、ぐっと大人びた印象だ。
さらにモード変更によってサスペンションとアクセルレスポンスが変化し、走りのシャープさが増すような印象だ。先代モデルの950のコンベンショナルなサスも決して悪くなかったが、適宜ダンパーの速度を調整してくれるセミアクティブサスは、ハードブレーキングでも安定感がとても高い。無駄な動きを完全に抑えつつ、路面をしっかり捉えてくれるのだ。
舗装の荒れや朝露で濡れた森の中の道も安心して楽しめた。ムルティシリーズのなかでもぐっと魅力的な一台となった950シリーズ。これで上位モデルの1260より価格は80万円以上安い設定だ。これはムルティシリーズの真打ち登場と言えるだろう。
文:松井 勉
ムルティストラーダ 950/S Detailチェック!
RIDING POSITION ライダー身長:183㎝・体重:83㎏
950/Sは840mmの標準シートで販売される。820mmのローシートに対し、身長165㎝のライダーも足つきは標準シートのほうが幅が狭く安心感があると語っていた。幅広のローシートより足つき感が良かった。
COLOR VARIATION
レッドとグロッシーグレイの二色が選択可能。本国ではスポークホイール仕様も用意される。日本ではオプションでホイールを交換する方式を採用。
レッド
グロッシーグレイ
<SPECIFICATIONS>
全長×全幅×全高 NA×NA×NA mm
ホイールベース 1594㎜
シート高 840㎜(オプションシート820/860mm)
車両重量 227㎏(STD)、230kg(S)
エンジン形式/総排気量 テスタストレッタL型2気筒デスモドロミック4バルブ水冷/937㏄
ボア×ストローク/圧縮比 94×67.5㎜/12.6
最高出力 113PS/9000rpm
最大トルク 9.8㎏-m/7750rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 20L
キャスター角/トレール量 25度/106㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ265㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR19・170/60ZR17
価格:ムルティストラーダ 950
173万6000円(レッド)※受注生産
ムルティストラーダ 950 S
196万5000円(レッド)
200万5000円(グロッシー・グレイ)