(2019年7月発行の『アドベンチャーズ』(モーターマガジン社)より)
それぞれにある快適速度レンジ、ペースが速いのはヴェルシスX250ツアラー
ホンダ CRF250 RALLY/ヤマハ TOURING SEROW/スズキ V-Strom250/ABS/カワサキ VERSYS-X250 TOURER。この4車がメインに想定しているステージは、トレールバイクのツーリングセローであってもオンロードが中心だ。排気量を考えれば、ほとんどが街乗りで、たまに郊外へツーリングというのが実際のオーナーの使い道だろう。
ただし、アドベンチャーとしての使い方を考えたとき、高速道路でのクルージング力と快適性はできるだけ高い次元で確保していて欲しい。250㏄でそれは欲張りすぎかもしれないが、最新機種たちの実力がどれほどのものなのか試すべく、ハイウェイへ上がって比較検討してみた。
やはり、ヴェルシスX250ツアラーの余裕ある走りに舌を巻かずにはいられない。車体にしっかりとした剛性感があり、速度域が上がっても落ち着いている。前後サスペンションもカッチリとしていて、硬質なクッションのシートも相まってクラスを超えた巡航力。追い越し車線にも積極的に出て、クルマの流れをリードできる。
エンジンにも余裕があって、最高出力33PSは群を抜いている。ニンジャ譲りのDOHC4バルブはショートストロークで中高回転域からの伸びが気持ちよく、加速感も物足りないなんてことはなかった。
Vストローム250/ABSは、スタイルこそアドベンチャーだが、前後17インチの足まわりはニュートラルなハンドリングをもたらし、ネイキッドバイクのように操れて身のこなしが軽い。
SOHC2バルブは低中速域で粘り強くトルクを発揮し、ロングストロークの並列2気筒は高めのギアを使って走ると鼓動感も強めで心地良い。高回転域の伸びこそないものの、ツインならではのパワフルさもあり、高速道路も無難にこなす。
CRF250ラリーは細身のタイヤを履くフロント21インチならではのヒラヒラ感が、アスファルトの上でも快適な走りを生むが、高速道路の追い越し車線を流すようなハイアベレージとなると心許ない。サスペンションがソフトで、速度が高まるにつれて車体の前後ピッチも大きくなってアクセル開度は控え目となる。
ただし、スクリーンとカウルの防風効果がとても高く、100km/h程度での巡航ならとても快適。ペースさえ上げ過ぎなければ、延々と走り続けても疲労感は少ない。
高速巡航がツライと感じるのはツーリングセローだ。スクリーン付きでウインドプロテクションの恩恵は大きいものの、車体とエンジンがハイスピード向きではない。しかし、単独で左車線をゆっくり流せば、長時間だって走れる。快適スピードは4車とも違うというわけだ。