PHOTO:ASO、KTM、HRC TEXT:岩瀬孝昌
前人未踏の18連覇達成!「KTMダカールラリー完全制覇」
揺るがない絶対王者の座
10日間、5500kmペルー一国での開催
1979年に始まったダカールラリーは今大会で41回目を迎える。南米に舞台を移してからは11年目となる2019年大会が、現地時間の1月6日からスタートした。
「砂丘70%。距離は短いが、濃いレース」
今年のダカールラリーはその長い歴史の中でも、少し珍しい大会になったと言えるだろう。
昨年大会はペルーの首都リマをスタートし、ボリビアを経由してアルゼンチンのコルドバまで複数の国をまたぐルートで設定されていたが、今年はペルー一国のみでの開催となり、総走行距離も昨年の14ステージ約9000kmから、10ステージで5534kmと短くなった。
しかし、総距離は短くなったが、タイムを競う競技区間である「スペシャルステージ」の合計は約3000kmで、全体の「70%」はダートや砂丘であることから、ルーティングの難しさや各ステージの難易度は例年以上になったと言われ、「距離は短いが、濃いレース」となった。
ダカールラリー常勝を続ける絶対王者のKTMに対して、マシンやライダーはもちろん、「運営面」も強化して30年ぶりの優勝を目指すホンダワークスチームとの優勝争いが見物となった今大会。
ファーストステージからホンダのエース、ホアン•バレダやリッキー•ブラベックが猛プッシュをしかけたことにより、KTMは総合順位のトップ5内から外れるという波乱の幕開けとなった。
例年以上の難しいコース、相次ぐエース達のリタイア
ステージ中盤でホンダチームにまさかの事態が起こる。ステージ2まで総合トップだったホアン•バレダが、霧で視界の悪いコースを走行中に、崖からバイクごと転落したことでマシンの修復が不可能となり、ステージ3でリタイアすることになってしまう。
ホンダの不運はさらに続き、ステージ5で転倒によるケガを負ったパウロ•ゴンサルヴェスもリタイアとなり、計5名で参戦していたホンダワークスチームは、残りのステージを3名で挑まなければならなくなってしまったのだ。
この間にKTMのサム•サンダーランドやヤマハのエイドリアン•ファン•ビファレンらが順位を上げ、総合順位はガラリと入れ変わってしまうが、各ステージで好タイムを記録していたホンダのケビン•ベナバイズは、この時点まで総合1位をキープすることが出来た。
各ステージごとの順位ももちろん大事だが、ダカールラリーは全てのステージを終えた時点での「トータルタイム」で競われるので、最後まで安定した走りが求められるレースなのだ。
ステージ5が終了し、前半戦を終えると、レースが行なわれないレストディに入り、ライダー達は後半戦に備えて身体を休められる休息日が設けられている。