「後半戦は総合順位は常に入れ替わる混戦レース」
砂丘ステージが続くダカールらしいコース
レストディを挟み、後半戦のステージ6は838kmを走る、今回で最も長いコース。
スペシャルステージは70%以上がサンド路面であり、太平洋沿いに広がるタナカ砂丘を含む4つの砂丘エリアを通過しなければならないという、今大会、最もタフなルートとなった。
このステージはペルー独特の非常に柔らかい砂が強風によって舞い上がり、視界を遮ることでライダーにとっては厳しい闘いに。
更に、ライダーが必ず通過しなければならない「ウェイポイント(ルート上に設定されたGPSの通過ポイント)」が7つ設定され、ライダーたちは、そのウェイポイント探しに苦労するという、トリッキーなナビゲーションルートとなった。
ダカールラリーがおこなれている1月は、日本では真冬であるが、地球の反対側に位置する南米ペルーは真夏。気温40℃に達するとも言われる暑さが更にライダーたちを苦しめた。
ホンダワークスチームに再び訪れた「不運」
ダカールラリーも終盤に差し掛かったステージ8で、ホンダワークスチームに更なる不運が襲いかかる。
順調にレースを続けていたケビン•ベナバイズが、コマ図以外の「指示書」をレース中に所有していたというルール違反で、3時間ものペナルティが課せられてしまう。
ホンダチームは主催者に協議を行なったが、最終結果として、このタイムロスが覆ることはなかった。この時点で優勝候補のひとりだったベナバイズは、順位を大幅に落としてしまう。
更に、これまで総合1位をキープしていたホンダのエース、リッキー•ブラベックがステージ8の難コースを走行中に、予期せぬエンジントラブルに見舞われ、レース続行が不可能となり、無念のリタイアとなってしまったのだ。
ホンダのトップランカーがリタイアするという不運によって、残されたホンダワークスチームの期待は、若手ラリーストのホセ•イグナシオ•コルネホに委ねられた。
高順位だったライダー達も次々とリタイヤしてしまう…
終盤ステージでKTMが追い上げをかける
やはり最後で強かったのはKTMだった。
レース終盤で徐々に順位を上げていったトビープライスは、左手を負傷していたにも関わらず、ラストステージで首位に立ち、33時間57分という素晴らしいタイムで総合優勝に輝き、KTMをダカールラリー18連覇に導いたのだ。
KTMがワン•ツー•スリー フィニッシュ! 前人未踏の18連覇達成!
KMTのチームメートで昨年のダカール覇者であるマティアス•ウォークナーも、後半のステージで王者の強さをみせ、総合2位でフィニッシュ。
更に、2017年の優勝者サム・サンダーランドが3位でゴールしたことで、KTMは、これまで誰も成し遂げていないダカールラリーをワン•ツー•スリー フィニッシュするという偉業を成し遂げたのだった。
HONDA 復活7年目 惜しくも7位
10日間、5500kmを走りきって74人のライダーが完走‼
「ラリー」と言う言葉には「再び戻って来る」と言う意味が込められている。
ペルーのリマからスタートした「世界一過酷なレース」に挑んだライダーたちは、計11日間、5500kmを超す旅を終え、74名のライダーがゴール地のリマ海岸へ戻ってきた。
ダカールラリーは完走者全てが勝者である。彼らは来年もこの舞台に戻って来るだろう。
ダカールラリー2019 総合ランキング
1位 トビー.プライス(KTM) 33:57'16
2位 マティアス.ウォークナー(KTM)34:06'29 +00:09'13
3位 サム.サンダーランド(KTM) 34:10'50 +00:13'34
4位 P.クインタニラ(ハスクバーナ)34:18'02 +00:20'46
5位 A.ショート(ハスクバーナ)34:41'26 +00:44'10
6位 X.ド・スルトレ(ヤマハ)34:51'16 +00:54'00
7位 ホセ・イグナシオ・コルネホ(ホンダ)35:05'22 +01:08'06
8位 L.ベナバイズ(KTM)35:06'26 + 01:09'10
9位 オリオール.メナ(HERO)36:05'57 + 02:08'41
10位 ダニエル・ノジリア(ホンダ)36:29'09 +02:31'53
PHOTO:ASO、KTM、HRC TEXT:岩瀬孝昌