ご存じ、ベテラン俳優の大鶴義丹氏がダートバイクのコアなファンであることは、わりと知られているところ。様々な雑誌でも連載を書いていて、ライダーとしてもベテランだ。さらには、デカイバイクでもガンガンオフへ入っていく、スキルも持ち合わせている。そんな大鶴氏が愛車としているCRF1000Lアフリカツインアドベンチャースポーツに、点火チューニングを施すというので帯同させてもらった。
点火系チューニングは、車種を選ばない
大鶴氏が目をつけたのは、オカダプロジェクトのプラズマブースターだ。
昔から点火系チューニングとして名のあるプラズマブースターは、幅広い車種設定も魅力。だが、実はこれまでCRF1000Lアフリカツイン用の設定がなかったのだが、大鶴氏の車両をテストベースとして開発されることになったという経緯である。
通常は、タンクを取り外すような必要はないのだが、今回は開発を兼ねているため、カウル・タンクを取り外してハーネス類を探りながらの設置。プラグの点火前に、プラズマブースターを割り込ませて、適切な処理をおこなうことで「点火エネルギーを増大させ」「点火回数を複数回に増やす」。混合気が効率よく燃焼することで、パワー&レスポンスが向上したり、指導性の向上、振動の低下などアップデートされるという触れ込み。
こちらが、オシロスコープ。イグニッションコイルの波形を見るツール。
テストとして、いくつもオカダプロジェクトで持っているジャマーを合わせ込み、最適な波形になるものをチョイス。いくつか候補を用意し、この先は大鶴氏が実走して、もっともフィーリングがいいものを採用。それを製品化に落とし込んでいくというわけだ。
後日、実走テストした大鶴氏によれば「低速向けのパターンを装着すると、2000から4000回転に迫力が出て、効果が、かなり分かりやすいですね。2速1500回転くらいから、ノッキングせずに、バーンと回るフィーリングが好印象です。
アフリカの弱い部分を、補正できた感じがあります。中速向けのパターンは、高速などでは分かるのかもしれませんが、ストリートでは分かりにくい感じでした」とのこと。昨今のオートバイは、排気ガス規制の影響を受けて、低速でもかなり薄めの混合気になりがち。メーカーもノッキング耐性にはとても気を遣っているはずだが、長く使うユーザーの中には、不満としてでてきてしまうこともある。点火系チューニングは、大きな違いを体感しづらいものだが、特に低速に効くとなれば感心を持つユーザーも多いことだろう。