※この記事は月刊オートバイ2018年11月号(別冊付録 RIDE)で掲載したものを加筆修正しております。
ご利益に大小なんて無い
ある日、頼朝公は夢を見ます。その夢に出てきた老人の言うことに従い、ある場所に祠を祀りました。その場所は崖に囲まれたところで、水が湧いていたのです。
その場所こそ、銭洗弁財天宇賀福神社が建っている場所。駐車場にSRを停め、急な坂道を歩いて登って行きます。
昔から大きく変わっていないであろう鎌倉の道は、細い道が入り組んでいるのでバイクの機動力がとても便利で神社を巡りやすかったです。
すると道に沿って立つ崖に、トンネルの入り口が。さらに、その前に鳥居が立っています。境内は線香の香りが漂う、不思議な雰囲気。
お寺では線香の香りは普通ですが、神社では珍しいもの。こちらの神社も、昔はお寺の文化と合わさっていました。その名残を今も体験できます。
参拝をすると、その先にさらに洞窟が見えました。ここは奥宮。なかは薄暗いのですが、光が射し込んでいて神秘的でした。ここに湧いている水で、自身の持っているお金を洗います。
【なんでお金を水で洗うの?】
日本人は世界的に見ても「キレイ好き」なんです
世界の宗教のほとんどは、良いか悪いかで判断すると言われています。しかし日本では、キレイかケガレているかで判断します。
毎日お風呂に浸かったり、靴を脱いで家に上がったりと、実は日本人ってめちゃくちゃキレイ好き。
そんな日本人だからこそ、自分から世の中に回していくお金を洗うという発想が生まれたのかも知れませんね。
自らが人へ手渡すお金を洗うことで、結果それを使う自分の心も清めることになります。
授与所で100円を収め、ザルとロウソクと線香のセットを受けとります。
そして奥宮へ向かいます。
お金を洗っても、価値が上がる訳ではありません。きっとご利益はそういう事じゃなくて、お金を
洗おうとする心にあるのでしょう。
この日は「巳の日」で、こちらの神社では大切な日です。頼朝公が夢を見た「ある日」とは、巳の日だったのです。タイミングが合えば、巳の日に参拝するのも良いですね。
銭洗弁財天宇賀福神社の神様とご利益
源頼朝によって祀られたこの神社。後に北条時頼が、霊水で銭を洗い一族繁栄を祈願したそうです。
よって、一族繁栄や商売繁盛を願う人々から信仰されるようになりました。もちろん財運は、言わずもがなですね。
銭洗弁財天宇賀福神社の御朱印
鎌倉五名水の印も捺されています。三角形が組み合わさったマークは、三鱗という神社の紋です。こちらを信仰した北条氏の家紋も三鱗で、それを受けたと言われています。
また、江ノ島の龍神の落とした鱗という伝説も。
全国各地にある神社は一見すると、大きくて豪華絢爛な神社の方が「ご利益も強いのでは?」と思ってしまいがち。
だけど、神社の大きさは関係ありません。日本の神様には、姿かたちが無いのです。お寺の仏像のように、目には見えないんですよ。
神社は「かみのやしろ」と書くように、言うならば神様の家。だから、見えている建物の大小と、ご利益は比例しないと言えるでしょう。
あるとするならば、知名度の差では無いでしょうか。人知れず建っている神社でも、深い歴史を持っているところがあります。
その全てに神様が宿っていて、地域の人たちの想いを感じることが出来ます。そんな小さなお社を巡るのも、神社の楽しみ方の一つですね!