「楽しく疲れない」を重要テーマに開発!
「ロードスマート」はツーリングシーンで求められる現実的な性能を追求して2007年に登場したラジアルタイヤ。11年にハンドリングの素直さにこだわった『Ⅱ』へ、15年に疲れにくさを要件に加えた『Ⅲ』へと確実に進化してきた。
そして、ライフやウエットグリップといったツーリングタイヤの基本性能を底上げし、日本疲労学会名誉教授の協力も得て「楽しく疲れず走り続けられること」も重要テーマに掲げて開発されたのが『ロードスマートⅣ』(以下『Ⅳ』と略)なのだ。
すでにダンロップのweb上に開発コンセプトや構造などが詳しく紹介されているが、国内外のツーリングタイヤを取っ替え引っ替え装着している僕にとっては理屈よりも「乗ってどうか?」が関心事。
それだけに試乗会をクローズドのテストコースではなく、宮崎県にある道の駅を起点に行なうと聞いて大いに期待させられた。ダンロップは公道での性能に相当の自信を持っているはずだからだ。
軽快で優しいハンドリングは、疲労抑制に効果的
試乗車は400㏄のネイキッドからミドルクラスネイキッド、ハヤブサやZZ-R1400、FJR1300といった重量車まで、『Ⅲ』と『Ⅳ』を履かせた2台づつが用意されていたが、タイヤによる違いだけを感じ取りやすいよう、自分が普段乗っているのと同じ、ニンジャ1000をメインで走ってみた。
道路際の温度計が5℃を示す寒さにも関わらず、法定速度厳守の完全ツーリングペースで5分ほど走れば不足のないグリップが出てくる。低速域から軽いハンドリングだが、操舵に対する反応は『Ⅲ』よりも穏やか。それだけに走り出したときは応答性が薄れたと感じたが、ツーリングの速度/荷重域では間違いなく疲れない。前後それぞれのグリップ状態も掴みやすいので、路面状態が急に変化しても不安にはならなかった。
峠道に多い減速帯や橋の継ぎ目をバンクしたまま通過しても車体が揺すられる量が「Ⅲ」より大幅に少なく、前後タイヤがバタつきながらアウト側に膨らむ危険性が抑えられているし、荒れた路面を通過する際にフロントタイヤから伝わってくるノイズ(ザラついた振動)もかなり薄まって感じる。
こうした衝撃吸収性の良さは半年前まで自分のニンジャ1000に履いていた同社のスポーツタイヤ・ロードスポーツ2でも感じたが、『Ⅳ』はさらに優しい乗り心地。改めて軽快で優しいハンドリング特性は疲労を抑えるために効果的だと実感できた。
と、ここまでは開発の狙いどおりに仕上がったツーリングタイヤという話だが、意外だったのが穏やかさと引き換えに犠牲になりがちなスポーツ性も確保されていること。ダンロップにはサーキット走行重視のQ4とα14、公道でのファンライド性を大切にしたロードスポーツ2があるだけに、『Ⅳ』にとってスポーツ性は優先課題ではない。それを承知でペースを上げて走ってみると、『Ⅲ』よりも直進性が高くて旋回初期のクイックさは希薄。
しかしステップが接地するフルバンク近辺まで手応えが一定でコントロールしやすく、意図した分だけ素直に曲がってグリップも充分。峠道で遭遇する回り込んだコーナーでも安心して「もうひと寝かし」できる。なお、当日はグラディウス400、ニンジャ1000、ZX-14Rに乗ったが、どの車種でも相性の良し悪しがなかったことも付け加えておく。
完全なウエット路面でのテストは出来なかったが、前後ともシリカの配合比率を増やしたことでウエット性能に定評のある『Ⅲ』よりもさらに10%アップしているとのこと。ライフも『Ⅲ』よりフロントが23%、リアが26%向上し、新しいトレッドパターンの採用で偏摩耗が抑えられてタイヤの使用限界までハンドリング性能が低下しないというから、安全性に加えて経済的メリットも大きい。
快適で楽しい走行性能に加え、ウエットグリップも、ライフも、という欲張りな要求にも対応。ロードスマートⅣはツーリングライダーが選んで間違いのない超優等生タイヤだ。
文:太田安治/写真:南孝幸
DUNLOP ダンロップ ロードスマート Ⅳ
価格:オープン
ROADSMART Ⅳ
[フロント]
120/60ZR17M/C
120/70ZR17M/C
130/70ZR17M/C
110/80R18M/C
120/70ZR18M/C
[リア]
160/60ZR17M/C
160/70ZR17M/C
170/60ZR17M/C
180/55ZR17M/C
190/50ZR17M/C
190/55ZR17M/C
190/60ZR17M/C
140/70R18M/C
150/70ZR18M/C
170/60ZR18M/C
ROADSMART Ⅳ GT 「重量車スペック」
[フロント]
120/70ZR17M
[リア]
180/55ZR17M
190/50ZR17M
190/55ZR17M