新旧CBR250RRの徹底比較バトル、今回は「エンジンフィール編」をお届け!
同じ名前の2台が時代を超えて激突!
2016年にCBR250RR(MC51)が発表されたとき、その車名が物議を醸した。1990年に登場したスーパースポーツ(MC22)と全く同じ車名だったからだ。
1990年デビューのCBR250RRはアルミフレームに45馬力/1万5000回転という高回転・高出力型の4気筒エンジンを搭載したレーサーレプリカ。対して新しいCBR250RRはスチールフレームに38馬力の並列2気筒エンジン。同じ車名だと混乱するし、初代への冒涜だという意見もあった。
しかし、大事なのは車名よりもバイクの完成度。両車のデビューにはおよそ25年の開きがあり、その間に各種の環境規制が強化され、市場のニーズも激変したが、そんな中でホンダが生粋のスポーツモデルを発売したことは大いに評価できる。では実際のところ何がどう違うのだろうか?
ホンダCBR250RR 2気筒 VS 4気筒 エンジンフィール対決
なにより気になるのは、並列4気筒と並列2気筒のフィーリングの違いだろう。
旧CBRはレッドゾーンが1万9000回転から始まる超高回転型エンジンだが、低回転域のスムーズさを得るためにクランクマスはさほど軽くない。アイドリングは1800回転あたりで安定し、空吹かしでも6000回転程度までは穏やかなレスポンスだ。
8000回転までは眠たげな反応だが、6速・約5000回転の50km/hからでもスロットルを開ければスムーズに加速する粘り強さも備える。しかも2万回転近くまで引っ張れるから各ギアの守備範囲が広く、超高回転型エンジンのイメージに反して、市街地やツーリングでも扱いやすい特性だ。
対して新CBRのエンジンは現行モデル中で最高の38PS。旧CBRより7PS低いが、公道ではそこまでの差は感じない。むしろ6000回転以下で流すような市街地では力強いトルク感があって、旧CBRよりキビキビ走る。エンジンの基本設計が新しいことや、最新の電子制御技術の威力を思い知らされる。
大きく異なるのはトップエンドまで引っ張ったときだ。新CBRは6000回転を超えると活気づき、レッドゾーンまでフラットな加速感で軽く回る。高回転域での吸排気音は豪快で、スーパースポーツを駆っている高揚感を盛り上げてくれる。一方、旧CBRは1万回転超でパワーバンドを実感し、1万3000回転からはもう一段パワフル。
ただ、2気筒や2ストのような「弾ける」感覚ではなく、フロントが軽くなることもない。速度も上がり過ぎないから、2気筒にはない伸びやかさと耳をくすぐる高周波サウンドを恐怖感なしで楽しめる。
これこそ4気筒250㏄エンジンの魅力。25年の「年の差」などまったく感じさせなかった。