Vツインの正しい進化系

959 パニガーレとして活躍してきたミドルモデルが、「パニガーレV2」として生まれ変わった。V4 と同じスタイリングを採用し、シャシーも大きく進化しての登場した。

画像1: 959 パニガーレとして活躍してきたミドルモデルが、「パニガーレV2」として生まれ変わった。V4 と同じスタイリングを採用し、シャシーも大きく進化しての登場した。

パニガーレV4登場以来、すっかり存在感が薄くなってしまった感のあるパニガーレの2気筒シリーズは、2020年のラインアップに2気筒のメリットと魅力を市場に問い掛けるモデルとしてパニガーレV2としてリリースされた。

これまで2気筒モデルは1299や959といったように排気量によって車名が変わり、また排気量に合わせて車体も異なる仕様になっていたが、1299パニガーレの生産終了を期にラインアップから外れたことで、パニガーレV2がドゥカティスーパースポーツツインの最高峰として位置付けられることになり、ツインエンジンの最大排気量も1299から955㏄を基軸に展開されることになった。

パニガーレV2は、カウリングのデザインが変更されV4ルックになっている。2020年モデルのV4シリーズに装備されるウイングこそ付いていないものの、三角形の大きなエアインテークや滑らかな曲線を描くフェアリングは明らかにV4と同じ流れを汲むデザインだし、エンジンの熱を効率良く吸い出すデュアルレイヤー構造もV4譲りだ。また959パニガーレで右側ステップ後方に張り出していた2本のサイレンサーは、複雑な内部構造を持つボックス形状の右出しマフラーに変更され、フェアリングとマフラーが一体化したスタイリッシュな仕上がりになっている。スイングアームは最上位モデルだった1299やV4と同じ片持ちスイングアームに変更され、パニガーレV2が2気筒シリーズの最上位モデルであることを印象付けている。

ドゥカティの栄光と歴史を築いてきたツインエンジンの復権を果たすべく、大掛かりな変更を加えられたパニガーレV2を温暖なスペイン南部のヘレスサーキットで試乗した。

画像2: 959 パニガーレとして活躍してきたミドルモデルが、「パニガーレV2」として生まれ変わった。V4 と同じスタイリングを採用し、シャシーも大きく進化しての登場した。

ルックスはV4だが中身はスーパースポーツツイン

抜群のブレーキングスタビリティ

バックミラーやプレートホルダーなどの保安部品が取り外された試乗用のパニガーレV2は、マシンの先端部から最後部までが滑らかな曲線で構成された美しいマシンだった。跨ってみるとV4より40㎜細くフィット感も良好。ツルンとした面構えのV2は威圧感を感じさせないし、ガソリンタンクからフロントカウルに段差なく繋がるデュアルレイヤー構造のフェアリングは、その巧みなデザインにより、フェアリングの中がモノコック構造になっていることを忘れさせる。

操作が軽いクラッチを握り、ギアをローに入れる。ニュートラルからローにギアが入るときの衝撃は小さい。走り出すときのクラッチミートには少しばかり神経を遣うが、走り出した後はクラッチ操作が不要でシフトアップは操作が軽くギアの入りもスムーズだ。ただシフトダウンもクラッチ操作は不要だが、減速時はしっかりとアクセルを全閉にしないとギアがスムーズに切り替わらず、操作も重くなる傾向が見られた。

走り出して真っ先に感じるのは、エンジンの吹け上がりが軽快でレブリミットの1万1000回転まで滑らかに吹け上がる。5500回転から最大トルクの60%を発揮するエンジンは、8000~1万1000回転では良い意味で一本調子に吹け上がるので安心してアクセルを開け続けられる。

画像1: 抜群のブレーキングスタビリティ

4・3インチTFTカラー液晶ディスプレイの画面右半分に円筒表示される回転計とその左横に数字表示されるスピードは、太陽光の下でも視認性が高い。最高速はバックストレートエンドで5速1万1000回転に達した。ピット前のメインストレートでは1000回転ほど最高速は落ちるが、圧巻なのは最高速からのハードブレーキングで見せるパニガーレV2のブレーキングスタビリティーの高さだ。

バックストレートでは150メートル看板付近からブレーキングを開始するのだが、減速Gでフロントタイヤが押し潰され、リアタイヤがわずかにリフトしていることが感じられるにもかかわらず、ヘッドパイプを中心としたフロント周りは微動だにせず、その状態を保ったまま急激に速度が落ちていくのが分かるのだ。

パニガーレV2ではフロントタイヤの存在感がしっかり感じられ、ブレーキング時のコントロール性も大きく向上している。レースモードでの試乗だったが、レーシングABSがブレーキング時のスタビリティー向上に貢献している可能性は高い。

画像2: 抜群のブレーキングスタビリティ

バックストレートエンドや1コーナーのブレーキングでは、最高速からのハードブレーキング後、フロントブレーキを引き摺りながらマシンを倒し込んでいくのだが、フロントタイヤ主体で旋回を始めたマシンはすぐにリアタイヤもグリップを取り戻し、前後輪にバランス良く荷重が掛かった定常旋回を始める。ほぼ直角の1コーナーでは一旦旋回を始めるとマシンを引き倒すしかできないが、コーナーの半径が大きく回り込む5コーナーでは、旋回中にアクセル開度の調整や身体を使った前後左右への荷重コントロールで自在に旋回力をコントロールできる。

またタイトな90度カーブの9コーナーではリアがスライドしても、後に揺り戻しが来ないのでアクセルを開け続けられる。スライド後の寄り戻しが発生しないのは、トラクションコントロールとウイリーコントロールが最高のバランスで機能しているからだ。電子制御の進化には驚くばかりである。

レースレギュレーションの影響でツインの排気量は1200㏄まで拡大してしまったが、ツインのメリットを最大限に活用するには1000㏄で十分なのだとパニガーレV2に試乗して改めて気付かされた。955㏄を基軸に据えたドゥカティの決断は大正解だ。

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