インディアン「チャレンジャー ダークホース」試乗インプレ&解説(宮崎敬一郎)
滑らかで快適なクルージング性能が光る!
チャレンジャーは、水冷1768ccエンジンを搭載するバガースタイルの新作。インディアンにはさらに巨大な空冷1890ccを搭載するクルーザーやバガー、ツーリングなどのシリーズもあるが、そちらがワイルドさや豪華さ、重厚さをクラシカルなテイストで演出しているの対し、チャレンジャーは現代的で、かつ精悍。それにパワフルで軽いエンジン、頑丈なシャシーが生み出す優れた機動性が特徴。
フレームはスカウトシリーズにも似たアルミキャストフレームで、エンジンをラジエターごとがっちりと抱え込んでいる。このおかげで、巨大なバイクにも拘らず、そのハンドリングはダイレクトなタッチになっている。
直進安定性に適度な節度を残しつつ、身のこなしは意外なほど軽い。しかも、決してガチガチした硬さを感じるシャシーではない。このチャレンジャーは乗り心地まですばらしいのだ。
同じように頑丈なシャシーを持つスカウトシリーズよりもストロークに余裕のある前後ショックを採用しているので、大きな凸凹通過でも衝撃は伝えにくい。大きめのギャップを乗り越えたときに伸び側のストロークがもう少し欲しく感じるときもあるが、それはアドベンチャークラスの守備範囲だろう。
日本の道で遭遇するうねりや路面のつぎはぎ、アスファルトの剥げなどでは快適さをスポイルされることはない。シートは少し硬めだが、長時間のライディングもラク。大きなギャップで身構える必要もなかった。
このチャレンジャーはスポーツ、スタンダード、レインという3種類のライディングモード切り換えも付いている。通常はレイン以外の2モードを選ぶだろう。
このうち「スポーツ」は2500〜4000回転にかけてのレスポンスが強力で、この回転域でダッシュすれば、ビッグネイキッドが一瞬追従できないほどの瞬発力を生む。とにかくトルクのピックアップがダイレクトで、侮れない瞬発力だ。
「スタンダード」はそれがふたまわりほどマイルドになり、ラフなスロットル操作でも優しく応える。さらにマイルドなのが「レイン」といったところだ。
今回の試乗中ほぼ「スポーツ」モードだけで走ってしまったが、全く不便には感じなかった。それより、これだけの巨体を自在に扱えるパワーを、クルーザーらしい快適さと一緒に楽しめるのだ。これはスポーツクルーザーとして大きな魅力だ。
文:宮崎敬一郎/写真:南 孝幸
インディアン「チャレンジャー ダークホース」主なスペックと価格
全長×全幅×全高:2500.7×990.2×1428.5㎜
ホイールベース:1667.8㎜
シート高:672㎜
最低地上高:137.3㎜
車両重量:377㎏
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブV型2気筒
総排気量:1768㏄
ボア×ストローク:108×96.5㎜
圧縮比:11.0
最高出力:122HP
最大トルク:18.15㎏-m/3800rpm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:22.7L
レイク角/トレール量:25度/150㎜
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式 前・後:φ320㎜ダブルディスク・φ298㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後:130/60B19・180/60R16
メーカー希望小売価格(税込):364万8000円(ブラック)/368万8000円++**