ストリートライディングが楽しくなる左右2本出しフルエキゾースト
1970年代までオートバイのマフラーは1気筒に1本ずつが常識だったが、複数のエキゾーストパイプを1本に集合させると排気慣性効果によってパワーアップすることが判り、同時にサイレンサーの数も減らせるので重量や製造コスト面でも有利。これが現在のマルチシリンダー(2気筒以上)車の多くが『集合マフラー』を装着している理由だ。
CB400SF/SBのノーマルサイレンサーは右側1本だが、SP忠男は左右2本のフルエキゾーストを製作。左右対称のルックスと、公道で常用する低中回転域での乗りやすさで大好評を博している。
最初の発進で感じたのがクラッチミートからアクセルを開け始めたときの、後ろからグイッと押されるような感覚。CB本来のスムーズさに力強さが加わり、スロットルのオン/オフに対する反応も滑らかでギクシャクしない。市街地で常用する3500~5500回転あたりでの扱いやすさは明らかに向上している。
6500回転近辺でVTECが作動すると加速に勢いが増してパワーの盛り上がりが明確になり、高回転まで突き抜けるように伸びていくが、それよりもゾクゾクするのが弾けるような排気音に変わること。
左右2本出しマフラーなので両耳に排気音が響き、4気筒エンジン+集合マフラー独特の感覚を堪能できる。
サイレンサーはオーソドックスな円筒型で、特有の焼け色が付いたチタン製カバーと併せ、おとなしいCBのイメージが一変。乗りやすさと迫力あるルックスを同時に求めるライダーをも満足させる仕上がりだ。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
SP忠男のマフラーはベンチ上でのデータよりも車両の性格に合った特性を追求し、試走を繰り返して仕様を決定しているだけに完成度は文句なし。アイドリング時の排気音はもう少し小さい方が好みだけど、この音に痺れるライダーも多いだろう。
文:太田安治/写真:南 孝幸