東京-宗谷岬を走り切り、帰路のウイニングランで北海道ツーリングを満喫
ホンダのGL1800・ゴールドウイングを駆り、東京ー宗谷岬間の約1500kmを走り切った。所要時間は約23時間。無事チャレンジを達成し、最北端の街で祝杯をあげた。
ぐっすり眠ったゴールの翌朝、眼が覚めると宗谷岬は良く晴れていた。
ここまでひたすらに走ってきたので、北海道の景色は見ているが楽しんではいない。そんな俺たちサポートカーのふたりの気持ちを知ってか知らずか(本当は分かってくれていた)ライダー担当の編集者が昨日とは別のルートを選択。「ここが北海道の中で一番好きな道」と編集者が教えてくれたのは、稚内から西海岸沿いを走るオロロンライン。
真っ直ぐな道が緩い丘を超えて延々と続く。撮影は最初の5kmで終わるけど、この先何10kmも続く道。何と編集者は「好きなだけ乗っていいよ」とGLのシートを譲ってくれたのだ。
この極上に気持ち良い道で、日本最高の一台に乗る喜び。ありがとう編集者! ありがとうゴールドウイング! ありがとう北海道! 最高体験を共有し、弾丸ツーリングチームの結束が強まる。
こうして北海道ならでは景色を撮影しつつ、札幌の時計台を見物し、あちこち寄り道。2日目の宿は函館になりそう。だったら夕飯は是非とも函館のさんぱちラーメンにしたいと編集者。なぜか急に盛り上がる3人。新しいターゲットを得て、急にやる気を充電。
ところが「ラーメンさんぱち」に着いたのは閉店5分後。店の駐車場でうなだれる編集者。このツーリングの中で一番のダメージ。俺もこの夜、何を食べたか覚えていない。
3日目の朝、函館からフェリーに乗る。フェリーのデッキから北海道へサヨナラ。青森に戻って来た欲しがりさんの編集者は「せっかくだから岩手山に登りたい」と再び寄り道の提案。
岩手山へ行った事がある俺が八幡平アスピーテラインへ道案内することになった。青森から行くと国道341号経由で西側から登った方が山頂レストハウスまでの距離が短い。ナビもそう言っていた。
ところが鹿角八幡平ICで降りてみると見知らぬ田舎道。「こりゃ高速で東側へ回り込んでアプローチした方が早いのでは」と時間を優先するつもりでUターン。
結果的に山頂での撮影が3時過ぎに。ロスタイムのおかげで帰りの高速道路はとっぷりと日が暮れてしまった。
余談になるが、この編集者との組み合わせて6年後に再び東北ツーリング取材へ。この国道341号線を走っていた時に、二人ほぼ同時に「宗谷岬弾丸ツーリングの時にUターンした道だ」と思い出していた。実は国道341号線は極上のツーリングルートで、本当に気持ちの良い道であった。「ツーリングに無駄な回り道無し」と心に刻んだ。
深夜になり東京~宗谷岬~東京と約3000kmを走りきって、無事編集部に到着。帰ってくると本当に北海道まで行ってきたのか? そんな不思議な気分になるほどの弾丸ツーリングだった。
安易に勧めることはしない。ただ、夢のある企画だった。
一生に一度あるかないかの「本気の挑戦」だと思う。カメラを通し、一人のライダーの旅を見届けてそう思った。
写真・文:柴田直行
柴田直行/プロフィール
柴田直行 しばたなおゆき
1963年3月生まれ
横浜市在住
オートバイとライダーをカッコ良く撮るのを生業にしているカメラマンです。
ホンダVT250Fが発売になった1982年(19歳の頃)にオートバイブームに乗じて雑誌編集部にバイトで潜入。
スズキGSX-R750発売の翌年1986年に取材のため渡米。
デイトナでヤマハFZ750+ローソンの優勝に痺れてアメリカ大好きに。
ホンダCRM250R発売の1994年に仲間とモトクロス専門誌を創刊して、米国系オフロードにどっぷり。
カワサキニンジャ250が発表された2007年から、ゴーグル誌でも撮影を担当し現在に至る。
オンでもオフでも、レースでもツーリングでもオートバイライフが全部好き。