まとめ:西野鉄兵/取材協力:スズキ
スズキの広報担当者のイチオシは「スウィッシュ」
スズキの原付二種スクーターは、2020年7月現在、「アドレス110」、「アドレス125」シリーズ、「スウィッシュ」シリーズをラインナップ。
今回「通勤通学」というテーマでイチオシの一台を、とスズキ二輪広報に尋ねるとすぐさま「スウィッシュで!」という回答をいただきました。
ちょっと意外だったかもしれませんね。スズキで「通勤快速」といえば、アドレスを思い浮かべる人も多いと思います。1991年に発売された「アドレスV100」が大ヒット。ここからアドレスの通勤快速伝説ははじまり、現在のアドレス110やアドレス125にいたるまで通勤ライダーに支持されています。
なぜスウィッシュなのか? でもこの回答、僕は納得です。今年に入ってから、一週間街乗り試乗を行ないました。詳しくその特徴を見ていきましょう!
通勤通学に適したバイク、それすなわち街中をキビキビ走れることが要求されます。
スウィッシュは前後10インチの小径ホイールを採用しています。(アドレス110は前後14インチ、アドレス125は前12インチ・後10インチ)。
この前後10インチのタイヤが生む、圧倒的な機敏性は第一の特徴。原付二種スクーターは近年、ヨーロッパの石畳や、アジアの未舗装路を走りやすい大径のタイヤを履いたハイホイール・スクーターが世界的に主流となっています。
そんななか、前後10インチタイヤを採用し2018年6月に発売されたスウィッシュは、日本の道路環境に合わせて生まれたモデルといえるでしょう。
スズキ二輪の広報担当・田中さんは「前後10インチは、取り回しの良さにも貢献しています」と話しています。
スウィッシュの車両重量は114kgとこのクラスでは平均的ですが、取り回しが圧倒的にラクなのは、タイヤサイズのおかげなんですね。
走っていても押していても、とにかく小回りが利き、クルっと自由自在に転回ができます。
それでいて安定感もあります。それは前後タイヤの幅が100mmの幅広タイヤを採用しているから。これにより接地感があり、安定性も両立しているのです。
続いてスズキの田中さんが挙げたのは、「ゆとりのあるフットスペース」でした。
全長1,830mm・全高690mm・全幅1,095mmの車体サイズは見た目にもコンパクト。だけど実際に乗ってみると窮屈な感じがしません。
シートとフットボードの形状や位置関係を追求することで、この快適なポジションは実現されました。シート高760mmで足つき性は抜群なのに、地面より近いフットボードに足を乗せると、とってもゆったり。これはちょっと不思議な感覚です。
足を投げ出せることも大きな要因。フットボード前方に足を乗せることができるタイプとなっています。ちょっと遠乗りする際、足の位置を変えられるというのは、それだけですいぶんとラクになります。
スウィッシュのエンジンは力強くて燃費もいい!
エンジンは、強制空冷4ストSOHC2バルブ単気筒。総排気量124cc。
反応が鋭く、加速性能は気持ちのいいもの。そして振動が少なく疲れにくいのも特長です。
瞬発力のあるエンジンと小回りの利く車体は、街乗りを楽しくさせるもの。はじめはあまりのクイックネスさに身体がついていかないかもしれませんが、慣れればしだいに自分の手足のような感覚に。
僕が試乗を行なった際、街中でぐいぐいアクセルを開けてストップ&ゴーを繰り返していたのですが、平均燃費は40km/Lを超えることも。燃料タンク容量は5.5Lなので、計算上1回の給油で200km以上も走れちゃいます。
たとえば片道10km・往復20kmの通勤なら10日に1回の給油でOK。レギュラーガソリンが1L125円と仮に計算すると、平均燃費40km/Lなら、1日20km走っても62.5円しかかかりませんね!
夜の帰り道も安心! スウィッシュのライトはLED
スズキの田中さんは「灯火類も好評を得ています」とのこと。スウィッシュは、ヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプにLEDを採用。
ヘッドライトは、明るいだけでなく照射範囲が広く、通勤の帰り道が真夜中になっても安心。ハイビームは遠くを照らすだけでなく、手前も照らしてくれるので、かなり走りやすいですよ。
スウィッシュは収納力も積載性も高い!
通勤や買い物ではかかせない収納力。スウィッシュは、スズキの原付二種スクーターで、最も大きいシート下ラゲッジスペースを有しています。
ヘルメットを入れて、さらにレインウエアなどが余裕で入る容量です。
さらに特筆したいのは、積載能力。使いやすいリアキャリアが搭載されており、荷物を運ぶのは大得意。
スクーターの定番であるコンビニフックももちろん装備。フロントラックも大きめで便利なことこの上なし!
上級装備車「スウィッシュ リミテッド」
いろいろと万能なスウィッシュですが、もし「冬も通勤で使いたい!」と考えているなら、上級仕様車の「スウィッシュ リミテッド」を推したいと思います。
ナックルバイザーが標準装備で、しかもグリップヒーターまで搭載。
そしてなんとシートヒーターまで備わっているんです! この充実装備は、原付二種の枠を完全に超えたもの。
それで価格差は、スタンダードモデルとわずか税込2万2,000円しか変わりません。明らかにお得!
スズキの原付二種のフラッグシップ「スウィッシュ」シリーズには、これまでスズキが培ってきた街乗り性能が凝縮されています。
通勤利用がメインでも、きっとそれは楽しいバイクライフになるはずです。
まとめ:西野鉄兵/取材協力:スズキ
スズキ「スウィッシュ」主なスペックと価格
全長×全幅×全高 | 1830×690×1095mm |
ホイールベース | 1250mm |
最低地上高 | 120mm |
シート高 | 760mm |
車両重量 | 114kg |
エンジン形式 | 強制空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 |
総排気量 | 124cc |
最高出力 | 6.9kW(9.4PS)/7000rpm |
最大トルク | 10N・m(1.0kgf・m)/6000rpm |
燃料タンク容量 | 5.5L |
変速機形式 | Vベルト無段変速 |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90-10 56J・100/90-10 56J |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・ドラム |
メーカー希望小売価格 | 32万4500円(税込) |